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【今でしょ!note#78】 少子化対策白書から少子化の現状を把握する

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

「少子高齢化」は、日本の大きな社会課題の1つです。

この先数十年、おそらくこの言葉と向き合い続けることになると思いますが、国の施策の妥当性などをきちんと自分の頭で判断するための最低限の知識は持っておきたいです。

まずは現状の正しい認識からということで、「令和4年版少子化対策白書」の内容を整理しておきます。


総人口と人口構造の推移

2053年には1億人を割る見込みの総人口

日本の総人口は、2021年10月時点で、1億2,550万人です。

年少人口(0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)、65歳以上人口は、それぞれ1,478万人、7,450万人、3,621万人となっており、総人口に占める割合は、それぞれ11.8%、59.4%、28.9%となっています。

日本の総人口及び人口構造の推移と見通し

総人口は、2053年には1億人を割って9,924万人となり、2065年には8,808万人となる推計です。
人口が1億人を下回る年次は、前回推計結果の2048年から2053年と5年遅くなっており、人口減少の速度は多少緩和されたものとなっています。

過去を辿れば、日本は1967年には初めて1億人を超え、2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じています。
日本の長い歴史の中で見れば、戦後〜2010年あたりの約60年間が、右肩上がりで人口増を続けた特異な時期であったとも言えます。

各世代人口推移は、次の推計が出ています。

  • 年少人口
    2056年には1,000万人を割り、2065年には898万人(総人口比10.2%)

  • 生産年齢人口
    2056年には5,000万人を割り、2065年には4,529万人(総人口比51.4%)

  • 65歳以上人口
    2042年に3,935万人でピークを迎え、その後減少。
    2065年には3,381万人(総人口比38.4%)

65歳以上人口は、2042年までは増加、生産年齢人口は2065年にかけて減少が続きますから、社会保険料負担問題は、少なくとも先30年間は付いて回るということです。

世界と比較して年少人口割合が小さい日本

諸外国における年齢(3区分)別人口の割合

世界全体の年少人口割合(国連推計)は、25.4%ですが、日本の総人口に占める年少人口の割合は、11.9%と世界的にみても小さいです。
日本以外では、シンガポール12.3%、韓国12.5%、イタリア13.0%が年少割合が低い国となっています。

出生数・出生率の推移

100万人を割る出生数

日本の年間出生数は、第1次ベビーブーム期には約270万人、第2次ベビーブーム期の1973年には約210万人でしたが、1975年に200万人を割り込み、それ以降、毎年減少を続けています。

1984年には150万人を割り込み、1991年以降は増加と減少を繰り返しながら、緩やかな減少傾向となり、2022年の出生数は77万747人でした。

出生数及び合計特殊出生率の年次推移

諸外国(フランス、アメリカ、スウェーデン、イギリス、ドイツ、イタリア)の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に生むとしたときの平均子ども数)の推移では、1960年代までは、全ての国で2.0以上の水準でした。
その後、1970年から1980年頃にかけて、全体として低下傾向となった背景には、子供の養育コストの増大、結婚・出産に対する価値観の変化、避妊の普及等があったと指摘されています。

2020年の日本の合計特殊出生率は、1.33となっていますが、近隣のシンガポールが1.10、台湾が0.99、香港が0.88、韓国が0.84と、日本を下回っています。

諸外国の合計特殊出生率の動き(欧米)

30歳代の出生率が上昇

女性の年齢別出生率をみると、そのピークの年齢と出生率は、1975年は25歳で0.22、1990年は28歳で0.16、2005年は30歳で0.10、2020年は31歳で0.10と推移しています。
ピークの年齢は高くなり、当該年齢の出生率は低下傾向があります。

女性の年齢別出生率

婚姻・出産の状況

低下傾向が続く婚姻件数、婚姻率

婚姻件数は、第1次ベビーブーム世代が25歳前後の年齢を迎えた1970年から1974年にかけて年間100万組を超え、婚姻率(人口千人当たりの婚姻件数)もおおむね10.0以上でした。
その後、婚姻件数・婚姻率ともに低下傾向となり、2020年は52万5,507組と、過去最低を更新しています。

婚姻件数及び婚姻率の年次推移

未婚率を年齢別に見ると、下図の通り例えば25-29歳男性で72.9%が未婚、25-29歳女性で62.4%が未婚となっています。

これまで晩婚化・晩産化の進行傾向が見られ、平均初婚年齢は2020年で、夫が31.0歳(1985年比で2.8歳上昇)、妻が29.4歳(1985年比で3.9歳上昇)となっています。

出生時の母親の平均年齢を出生順位別にみると、2020年で第1子が30.7歳(1985年比で4.0歳上昇)、第2子が32.8歳(1985年比で3.7歳上昇)、第3子が33.9歳(1985年比で2.5歳上昇)で、近年は横ばい傾向にあります。

また、全体的に未婚化も進行しており、50歳時未婚割合は、1970年で男性1.7%、女性3.3%でしたが、2020年は男性28.3%、女性17.8%まで上昇しています。

若者の結婚をめぐる意識

結婚をめぐる意識

「いずれ結婚するつもり」と答えた未婚者(18~34歳)の割合は、2015年調査で男性85.7%、女性89.3%となっており、ここ30年間を見ても若干の低下はあるものの、男女ともに依然として高い水準を維持しています。

未婚者(18~34歳)のうち「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合

未婚者(25~34歳)が独身でいる理由について、男女ともに「適当な相手にめぐり会わない」(男性:45.3%、女性:51.2%)が最も多いですが、「結婚資金が足りない」という経済面の理由も男性3割、女性2割程度となっています。

20歳代・30歳代の所得分布

2017年の所得分布を1997年と比べると、20歳代では、150万円未満の雇用者の割合が増加しており、30歳代では、100~400万円未満の雇用者の割合が増加しています。
若い世代の所得分布は、低所得層にシフトしていることが分かります。

男性の従業上の地位・雇用形態別有配偶率

就労形態による家族形成状況の違い

上図の通り、正規雇用・非正規雇用で有配偶者率が大きく異なることも読み取れます(それぞれ59%、20%前後)。下図の通り、年収800万円水準までは、どの年齢層でも年収が高い人ほど配偶者がいる傾向も分かります。

男性の年収別有配偶率

出産・子育てをめぐる意識

出産に対する意識

夫婦に尋ねた理想的な子供の数は、1987年から低下傾向にあり、2015年は2.32人と、過去最低を更新しています。
夫婦が実際に持つつもりの子供の数も、過去最低である2.01人です。

予定子供数が理想子供数を下回る夫婦の理想の子供数を持たない理由としては、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(56.3%)が最も多く、30~34歳で8割を超えています。

妻の年齢別にみた、理想の子供数を持たない理由

やはり、若い世代の低所得化が、結婚・出産ができない理由に直結していると言えるでしょう。

女性の出産前後の就業継続割合

出産後に就業を継続した女性の割合は53.1%と、まだ低い割合にあると思います。
特に問題なのは、「仕事を続けたいけど、仕事と育児の両立の難しさで辞めた」割合が多いところです。

末子妊娠判明当時の仕事を辞めた理由

子育て期にある30代、40代の男性のうち、2021年でそれぞれ9.9%、10.4%が週60時間以上就労しており、育児にほぼ参画できていないというところにも、女性が仕事を諦めざるを得ないという負の実態があります。

6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間の推移(1日当たり)

夫が子育て・家事に費やす時間推移を見ても、2016年時点で1時間23分となっており、妻の家事・育児関連時間(1日当たり7時間34分)と比べて圧倒的に低いです。

まとめ

少子化の真因は、「いつかは結婚しようと考えている」若い人が経済的な理由で晩婚化・晩産化傾向となっていることにあるのだと改めて理解しました。

また、仕事を続けたいのに、仕事と育児を両立できず、仕事を諦めざるを得ない人が未だ少なくない割合でいることは大きな問題と感じます。
その根っこには、日本の長時間労働・男性の育児参加がまだまだ足りないことがあります。

子育て真っ盛り世代としては耳が痛い情報ばかりですが、この数字に向き合い、自分たちの働き方を改めて見直す必要性を痛感しています。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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