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パーキンソン病の方の評価「MDS-UPDRS」について少し深めに知りましょう!

こんにちは。
やまゆう(@Yuyama)です。

臨床・研究の学び場マガジン「Studish!!!」をご覧いただきましてありがとうございます。

わたしは普段は回復期リハビリテーション病棟と訪問リハビリテーションで仕事をしています。

昨年まで保健学の大学院に通っており、研究活動にも従事していました。
(無事卒業し、学位も取得できました!)

臨床や大学院で研究をしてきた経験と知識をいかして、特に神経リハビリテーション領域の世界の研究論文の紹介や日々の臨床での工夫案を伝えるため、note記事を書いております。

対話の中で学びを深め、対象者の方により還元していけるように頑張っていきたいと思っています!宜しくお願いします✨

今日は
「パーキンソン病の方の総合評価 MDS-UPDRS」のエビデンスや内容について
論文紹介も兼ねて書きたいと思います。

パーキンソン病の総合評価MDS-UPDRSを使ったことがありますか?


パーキンソン病は4大症状と言われる、とても有名なものがあります。

▶︎安静時振戦
▶︎筋固縮
▶︎無動・寡動
▶︎姿勢反射障害

これらは主にパーキンソン病の中でも運動症状を示しております。

一方、運動以外の症状を呈することもいわれています。

▶︎抑うつ
▶︎認知機能障害
▶︎幻覚・妄想
▶︎睡眠障害
▶︎感覚障害
▶︎自律神経障害

これらは非運動症状と呼ばれるものです。

運動症状、非運動症状と多様な症状を呈するパーキンソン病ですが、やはり一面のみならず、多面的に評価する必要があります。

こういった時に使用できる評価ツールとして、

Movement Disorder. Society Unified Parkinson's Disease Rating Scale
(MDS-UPDRS)

があります。

評価表はこちら

↓↓

評価表はネット上で無料でダウンロードもできますし、よろしければ上記からどうぞ!

評価項目としては

①非運動症状
②日常生活で経験する運動症状の側面
③運動症状全般
④運動合併症

があります。

こちらがMDS-UPDRSを発表した元論文です。

よろしければご確認ください。


オリジナルのUPDRSとの違い

もともとのUPDRSは1980年代に発表されたものです。

このオリジナルをもとに改良をされてきたようですが、違いとはどういった部分になるのでしょうか?

上記の2007年の論文をもとに確認してみたいと思います。


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評価項目の点数付けについて
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オリジナルのUPDRSでは、多くの項目が0〜4点の点数付けであったものの、partⅣのいくつかの項目で「はい」か「いいえ」の2択になっている部分がありました。

なので、それぞれの項目で同様の意味付けがなされていませんでした。

一方、MDS-UPDRSはすべての項目で0〜4点の5つの点数付けになっています。

それぞれの点数の意味付けとしては、

0点=正常
1点=ごく軽度
2点=軽度
3点=中等度
4点=重度

となっています。

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各項目の数と中身について
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オリジナルのUPDRSでは、合計42の項目がありました。
(内訳としてpartⅠ=4つ、partⅡ=13、partⅢ=14、partⅣ=11)

一方、MDS-UPDRSでは、合計50の項目になっています。
(内訳としてpartⅠ=13、partⅡ=13、partⅢ=18 右・左・もしくは体の各部位、partⅣ=6つ)

では、項目の中身はどのように変わったのでしょうか?

全体的にいうと、非運動症状の項目が増えています。

partⅠの

「不安感情」
「排尿の問題」
「便秘の問題」
「起立性低血圧」

partⅡの

「趣味」
「ベッドからの立ち上がり」

partⅢの

「つま先のタッピング」
「手の振戦」で行ってもらう指示が加えられた

partⅣ

もともとあった起立性低血圧などがpartⅠへ。
ジスキネジア、ジストニア、On/Offの項目のポイントが絞られています。

上記のような項目の変化がなされています。


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評価時間はどれくらい?
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もともとのUPDRSでは全部行うと、30分程度の時間を要していました。

項目数自体は42→50項目へ増加していることで、必要時間が増してしまうことが懸念されます。

その中で、MDS-UPDRSではpartⅠの13項目のうちの7項目とpartⅡの13項目すべてがアンケート形式になっています。

このため、
partⅠ-Ⅱで10分、partⅢで15分、partⅣで5分要し、オリジナルのUPDRSと同じ30分の時間で実施可能となっています。


他には、評価表を見ていただけると分かるように、
On/Offのそれぞれの状態を定義付けしてあったり
実際の検査場面で詳細の指示方法について明記されていたり
とても丁寧な作りとなっていることが分かります。

エビデンス的裏付け


実際に評価表を作成したり、使用したりするときには、評価表の信頼性や妥当性といった、エビデンスが確立されているかどうかはとても重要です。

論文を参照しながら解説していきたいと思います。


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ガイドラインを見てみる!
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評価自体が各専門家集団が判断したうえで推奨しているかはガイドラインを確認すれば分かることが多いです。

しかし、MDS-UPDRSについては日本神経学会の「パーキンソン病治療ガイドライン2018」や2014年にオランダ理学療法士協会が発表している「European Physiotherapy Guideline for Parkinson’s Disease」では特に明記がありませんでした。

2011年に本邦の理学療法士協会が発表した「パーキンソン病 理学療法診療ガイドライン」では推奨グレードAとしています。

研究や臨床において使用頻度が多いことも書かれていますね。

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信頼性についてはどう?
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MDS-UPDRSを使用して、疾患進行を評価することは重要であると思います。

MDS-UPDRSは患者さんの症状の変化が経時的に捉えることができるかどうかは不明でした。

しかし、2019年に発表された、こちらの研究では被験者内信頼性を確認しています。

パーキンソン病の方423名を対象に、反復評価されたMDS-UPDRSのスコアを検討しています(追跡調査期間の中央値:54ヶ月)。

それでわかったことは下記の通り。

※被験者信頼性 = 被験者側の要因による変動(被験者の疲労、気分、など)。今回は「被験者内信頼性」なので違う時点での被験者の変動を捉えられるかどうか。

▶︎被験者内信頼性は0.13-0.62
▶︎とくにpartⅡ、partⅢにおいて最も高い被験者内信頼性を示した(いずれも0.5)


上記のように症状の変化を捉えるうえでは、

信頼性は低いか中等度

であったことが分かりました。

なので、症状の変化についてはMDS-UPDRSのみならず、
他の評価ツールも併用して確認することが重要になりそうです。


2008年、2011年の下記の論文を確認していきましょう。

こちらによると、以下のことが確認されています。

※内的整合性=各項目が、全体として同じ概念を測定しているといえるかどうかを表す指標。通常、α係数が0.8以上であれば内的整合性があり信頼性の高い尺度といえる。

▶︎内的整合性は各項目においてクロンバックα = 0.79 - 0.93
▶︎partⅠにおける「うつ」「無関心」「不安」項目のクロンバックα = 0.69

その時期のみにおける評価では信頼性が高いですね。

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妥当性についてはどう?
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妥当性は、その評価が測定したいものを測定できているかどうかの指標になります。

MDS-UPDRSの妥当性についてはどうでしょうか?

上記の2008年の論文が参考になります。

オリジナルのUPDRSは信頼性、妥当性ともに確認がされていました。

このUPDRSとMDS-UPDRSの合計点と各partでの相関について確認しています。

これによると下記のことが分かりました。

▶︎合計点の相関 r = 0.96
▶︎各part同士での相関 r = 0.76 - 0.96

そして、MDS-UPDRSの各part同士での相関を確認すると、r = 0.22 - 0.66と相関係数が低い結果でした。

これはそれぞれの項目がパーキンソン病の症状の違う側面を評価できているという裏付けになり、MDS-UPDRSが4つの大項目にて多面的に評価をするツールであることを表していると思います。


以上がエビデンスの紹介でした。

臨床的にどのように使用していくか?


パーキンソン病の方を担当になった際に、自身の持つ時間や対象者さんの状況に合わせて、評価にかけられる時間を考えるといいです。

この評価自体は30分要するので、時間をあまり多くかけられない方に対しては、問診などして困っていること、気になる症状の含まれるpartを評価してみるなど工夫されてみてはどうでしょうか?


理学療法士としては、運動項目であるpartⅢはとっておきたいですね。

でも個人的にはできるならば、総括的に評価をしたいので全partを測定するのが望ましいと考えています。


また、さきに書きましたように、疾患の症状進行に対する信頼性はそこまで高くないことも確認されています。

経時的な変化に対しては、他の評価ツールも使用、参照しながら確認することが大事だと思います。

ぜひ、今回の情報が読者のみなさまの日々の臨床や研究に役立ちますと幸いです。


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それでは、最後までご覧頂きましてありがとうございました。

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また宜しくお願い致します。

やまゆうでした。

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