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野球哲学の手引

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テクノロジーの進化による、プレイスタイルや戦術の変化、日米における野球の違いについて、持論を書き溜めております。
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記事一覧

やっぱりイチローって凄い

やっぱりイチローって凄い

改めてイチローは偉大だなと思う。

イチローはこれまでのMLBの固定観念を覆した。
2001年、ホームラン全盛の時代に、安打製造機の概念を持ち込むだけでなく、スピード、レーザービーム、フィールディング、そして豊かな知性をもたらした。
この年から10年間当たり前のように200安打を放つようになり、イチローのようなバッティングスタイルのメジャーリーガーも次第に増えていった。

そして、それは日本人選手

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MLBの魅せ方

MLBの魅せ方

MLBはコンテンツとして年々クオリティが高まっている。

わたしが推しているTampa Bay RaysはBoston Red Soxにサヨナラ負けを喫し、地区シリーズでの敗退となった。
とはいえ、Bostonも好きなチームなので、是非ともRaysの分までワールドシリーズに進出していただきたい。

さて、わたしはMLB.TVのサブスクリプションを利用して試合を観ているわけだが、とにかく映像のクオリ

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逸材 #10

逸材 #10

昨日は、投手・大谷翔平のスタッツを振り返りながら、来季の展望を述べた。

後半は、打者・大谷翔平のスタッツである。

【2021年 スタッツ】
155試合 639打席 46HR 96四球 出塁率 .372 長打率 .592 OPS .965
※代打出場含む
【Yusuge予想 開幕前】
99試合 445打席 31HR 66四球
※代打出場は除外
【Yusuge予想 6/20修正】
148試合 60

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逸材 #9

逸材 #9

大谷翔平の2021年シーズンが幕を閉じた。

正真正銘の二刀流として、野球ファンのみならず、日本中、そしてアメリカ中を席巻するほどのスタッツを残した。
ここで、開幕前予想と前半戦の活躍ぶりを踏まえての修正版を振り返りながら、投手・大谷翔平と打者・大谷翔平の2つに分けて、2021年シーズンの数字を見てみよう。

前半は、投手・大谷翔平のスタッツである。

【2021年 スタッツ
投手:23試合 13

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MLBにおける生存戦略

MLBにおける生存戦略

なぜ二番あるいは一番にチームの得点源となる強打者を置くチームが増えたのか?

昨日、四番打者についての持論を述べた。本日はこの持論について、もう少し掘り下げてみることにする。

結論から申し上げると、MLBでは従来のような一、二番タイプが絶滅危惧種となり、一、二番が省略された形が現在の最適解となりつつあるということだ。
従来の一、二番とは、イチローさんのような俊足巧打の一番打者が出塁し、井端さんの

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過度な四番打者信仰

過度な四番打者信仰

どうして日本の野球界はいまだに昭和臭がプンプンとするのだろうか?

とある記事に、中田翔選手の不祥事に伴う四番打者不在問題について言及していた。そこには現在四番を務める近藤健介選手は長距離打者ではないから四番タイプではないこと等、つらつらと書いてあった。正直論点がずれているように思えた。

そもそも、四番打者とは何か?昭和の四番打者像は確かに落合博満さんのような典型的なホームランアーチストかもしれ

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野球とBASEBALL

野球とBASEBALL

野球が好きだからこそ、苦言を呈させていただく。

現在、東京オリンピックにおいて様々な熱線が繰り広げられている。一方で、今回復活した野球はどうも気持ちが前のめりにならない。他の競技と比べて公平性が担保されていないと感じるからだ。

例えば、日本代表は日本のプロ野球の前線で活躍している選手で構成されている。一方、アメリカとドミニカ共和国はそうではない。両国ともに最前線で活躍している選手はMLBに所属

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MLBオールスターゲームを通して

MLBオールスターゲームを通して

本当の意味で、アメリカのベースボールが日常に戻りつつある。

大歓声の中で大谷翔平選手が史上初となる投手と野手での同時出場を果たしたMLBオールスターゲーム。そこにはコロナの前と何ら変わらない光景が広がっていた。
観客の収容人数も制限なく、お酒を飲みながらベースボールに熱狂していた。選手もその大歓声の中、約2年ぶりのオールスターゲームを楽しんでいるように見えた。

MLBファンのわたしにとって、こ

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ストライクだけスイングするには?

ストライクだけスイングするには?

ストライクだけスイングすることはシンプルだからこそ難しい。

なぜ難しい?以前ストライクゾーン思考について、簡単にご紹介した。

端的に言えば、取捨選択である。ストライクをスイングしてボールは見逃すわけであるが、これがなかなか難しい。白か黒であれば容易であるが、ほとんどの場合、そんなに甘くはない。中にはストライクからボールに変化するものも存在する。

わたし自身、幾度となくボールゾーンに手を出し失

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規格外の投手 #8

規格外の投手 #8

世界最高峰の投手、New York MetsのJacob deGrom投手について語ります。

現地2021年7月7日現在
15試合 防御率 1.08 7勝 2敗 92.0回 四死球 11 奪三振 146 自責点 11

ここ3試合で7失点を喫してしまい、防御率は1点台へと悪化した。それでもなお、神の領域とも呼べる1.08である。
決して本調子とはいえないまでも、この3試合で29個の三振を積み上げ

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逸材 #8

逸材 #8

大谷翔平を形容する言葉がいよいよ底を尽きようとしている。

現地7月4日のBaltimore Orioles戦の第二打席で31号ホームランを放った。シーズン83試合目、大谷翔平選手にとって78試合目での到達であった。31本のホームランはシーズン前にわたしが予想した本数であり、オールスター前に早くも到達してしまった。

ここで、シーズン前の予想と31号ホームランを放った時点での成績を比較する。

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困ったら野球思考

困ったら野球思考

野球思考は公私で大いに役立っている。

ストライクゾーン思考野球のルールはよくできている。例えば、統計学を学ぶ際に野球にあてはめると非常にクリアである。しかも、毎月、毎年、トータルといったあらゆる時間軸で評価することができる。
本日はそのような統計学な観点というよりも、概念的な観点から実例を挙げる。

まず、ストライクゾーン思考だ。野球においてストライクゾーンがもしなかったら、野球という概念が崩壊

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逸材 #7

逸材 #7

大谷翔平はとどまることを知らない。

現地6月29日のNew York Yankees戦の第二打席で3試合連続となる27号ホームランを放った。このホームランによって、ついにMLBリーグ単独トップに躍り出た。さらに、第三打席で二打席連続となる28号ホームランを放った。

6月だけで13本のホームランを量産している。特に、最近13試合で11HRという確変モードに突入している。前日まで同数で並んでいたV

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もしも野球教育に携わることになったら

もしも野球教育に携わることになったら

わたしの妄想にしばしお付き合いください。

野球楽しんでますか?小学3年生から約10年間、プレイヤーとして野球に携わっていた。そして現在、MLBを通して見る側の立場から野球に携わっている。
MLBを知れば知るほど、日米における野球観、テクノロジー、プレイスタイルが大きく異なることに気が付いた。特に野球観に関して、MLBの選手は選手、コーチ、年齢、人種に関係なくベースボールを楽しんでいるように見える

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