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泣ける映画、ひとりで観るのは危ない

2018年3月。
いつも通り、一人で映画館に行った。

鑑賞したのは、当時ディズニー・ピクサーの最新作だった「リメンバー・ミー」。予告が非常に面白そうで、公開を楽しみにしていた。
場所は新宿ピカデリー、午後一ぐらいの回だったと思う。

ディズニー映画だけに、周辺はカップルが多く。
仕方ないと思いながら、僕は劇場のド真ん中に鎮座した。

観たい映画はド真ん中のベストな位置で観る。
これが僕のポリシーだ。
一人だと、良い席も確保しやすい。

しかし、このポリシーが裏目に出ることもある。
真ん中を一人で陣取ると、左右をグループに囲まれやすいのだ。
その日も、左右は若いカップルだった。

まあ、ディズニー映画だし仕方ないね。
始まってしまえば、すぐ気にならなくなるさ。
そう自分に言い聞かせた時、劇場が暗転した。
僕はすぐさま、映画の世界に入り込んだ。
やはり、ディズニーの作品は面白い。

しかし、映画が終わるまであと15分となった時。
僕に予想外の事態が発生した。
映画が良すぎて大号泣してしまったのである。

当時祖父がなくなった直後の僕に、この物語はちょっと刺さり過ぎた。
前述の通り左右は若いカップルだったが、どう見ても僕が一番泣いていた。

エンドロールが流れ始めても、涙が止まらない。
必死で上を向いても、次から次へと涙が溢れてくる。

左右で、女子が彼氏に寄りかかりながらかわいく泣いている。
その間に挟まれ、天を仰ぎ滂沱の涙を流すアラサー男。
もはや地獄絵図である。

あまりに涙が止まらないので、僕はエンドロールの終わり間際にカップルより早く退席した。

涙を、彼らに見られたくなかった。
なんか、こういう言い方をすると僕がフラれたみたいに聞こえる。
ただでさえ泣いているのに、ちょっと死にたくなった。

泣ける映画は、一人で観ない方が良い。

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