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【映画所感】 “極私的2021年鑑賞映画TOP10”

一昨年の12月より「note」にて、鑑賞した映画の感想を身勝手極まりない解釈で書き殴ってきました。今回、2021年1月1日〜12月31日までを区切りとして、「この感動を今すぐ誰かと分かち合いたい」と思った順に作品をランキングして発表していきます。どうぞよろしくお願いします。

【第1位】 街の上で

今泉力哉監督作品、現時点での最高作だと思う。若葉竜也を筆頭に、今後、日本映画界を牽引していくであろう、若き俳優陣の見本市なのかと思うほどの贅沢さ。中盤の長回し、クライマックスの喜劇的な展開など、2021年いちばん笑わせてもらった映画かもしれない。


【第2位】 子供はわかってあげない

オープニングの不条理アニメの衝撃だけで高得点。本編も尻すぼみとはならずにどんどんテンションが挙がっていく。有終完美の最たる例。高校生活、夏休み、プール……と、自分の大好物が詰まっていた。これぞ“日本版ジュブナイル”の代名詞といっても過言ではない。


【第3位】 クルエラ

本編に使用される楽曲が、ことごとく自分の趣味に合致することで起こるトランス状態を経験。自然に笑みがこぼれ、ムービー・ウォッチング・ハイ状態になってしまった。もちろん音楽だけでなく、ストーリーも完璧。


【第4位】 猿楽町で会いましょう

『クルエラ』を観に劇場に足を運んだものの、その日は運悪くソールドアウト。仕方がないので、ちょうどタイミングの合う作品を探して、飛び込んだのが『猿楽町で会いましょう』だった。

結果、思わずガッツポーズ。まったくのノーマークだったことも幸いし、話の展開に呼応してドキドキもどんどん高まっていく。ひとことで言うなら「上京残酷物語」。

体を張った石川瑠華の演技が、どこまでも生々しくて痛々しい。夢の対価としてはあまりにも理不尽なエンタメビジネス。無知な若者の金銭を毟り取るグレーなシステムや、尊厳を踏みにじる大人たちの気持ち悪さなど、芸能界周辺に巣食う“今”を、最高のリアリティで再現してくれている。

※この作品に関するレビューは、残念ながら「note」には書いていません。

【第5位】 すばらしき世界

「ソニー損保」のCMの役所広司を見るにつけ、「おぉ、三上のヤツ、しっかり更生してちゃんと働いているな」と、ついつい思ってしまう。それほど、役所広司は主人公の三上にハマっていた。もちろん、他のキャストも申し分なし。

この映画のなにがすごいって、服役を終えた人間の社会復帰の難しさを散々見せておいて、最終的にはもう一段階、人間の持ついやらしい部分に切り込んできたところ。ジョーカーとの戦いのみならず、最後にトゥーフェイスのエピソードまでぶっこんできた名作『ダークナイト』(2008)のようで、心底驚かされた。


【第6位】 花束みたいな恋をした

恋愛の王道ストーリーのはずなのに、サブカル好きのオタクカップルというだけで、話は二転三転。セリフの妙と、映り込む情報の量にただただ翻弄される気持ちよさ。あらためて自分が生粋のオタク体質だということを痛感させられた。


【第7位】 ジェントルメン

ガイ・リッチー待望の新作は、原点回帰のクライム・ムービー。麻薬取引を巡るドタバタ群像劇は、「待ってました!」の安心保証。老舗の看板は、伊達ではなかった。同じくガイ・リッチー監督の『キャッシュトラック』よりも、こちらを断然推したい。


【第8位】 シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

なにも言うことはない。自分の25年の想いが満願成就したというだけのこと。ただそれだけ。


【第9位】 あのこは貴族

主演の一人、水原希子の学校ジャージ姿の破壊力たるや、常軌を逸している。彼女の演技力の高さに驚くとともに、由緒正しき東京のお金持ちの暮らしぶりにも、大いに驚嘆させられた。自転車を使った演出が、すこぶる気持ちいい。


【第10位】 マトリックス レザレクションズ

やっぱり、トリニティー(キャリー=アン・モス)に尽きる。彼女なくしては成り立たなかった『マトリックス』の世界。本作でラナ・ウォシャウスキーが提示した表現は、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』で見せた庵野秀明の手法と微妙にリンク。そこには、壮大なる私小説の地平が広がっていた。

【総評】

2021年は、配信サービスも含めると100本強の映画を鑑賞したはずです。一部例外はありますが、印象に残った作品は「note」にて感想を書くようにしてきました。例年にくらべて「邦画の躍進がすごい」と自分の中では、総括しています。面白い邦画が増えることで、自然とミニシアターにも足が向いた一年でした。

次点というわけではないのですが、『まともじゃないのは君も一緒』、『少年の君』、『空白』などランキングから漏れた作品でも、思わず膝を打つような秀作は目白押し。2022年もこの調子で、大いに“非日常”を楽しませてもらいたいものです。


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