骨盤回旋がうまくできない理由
こんにちは、高岡です。日曜日のハーフマラソン、トレイルでもないのに、上り坂がしんどすぎて5回も歩いてしまいました。
さて前回は、骨盤周囲の「腱の弾性エネルギー」、つまりバネを引き出すための「手の平返し」についてお話しました。
手の平の操作を工夫することによって、骨盤回旋を誘導しやすくなり、「腱の弾性エネルギー」をフル活用しましょうね、という話でした。
まだ前回の内容を読んでらっしゃらない方は、そちらもぜひチェックしてみてくださいね。
ただですね…「手の平」を操作するコツを掴めたとしても、骨盤回旋をうまく引き出せないケースもあります。昨日の僕も、あれだけ平地では再現性を高めていたのにもかかわらず、上り坂となるとてんでダメで、打ちひしがれて歩いてました。
しかし、上り坂の途中から「あれ?こういうことかな?」というコツが掴めて、それ以降は歩くこともなく、ペースを取り戻して走ることができました。
今日の内容は、骨盤回旋のコツを掴むためのファーストステップと言えるかもしれません。
それでは始めましょう!
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▼急がば回れ
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骨盤を回旋する。
もしかしたらイメージがつかないという方もいらっしゃるかもなので、こちらの動画をご参照ください。
このように、骨盤を回旋することによって、骨盤周囲腱の弾性エネルギーをを活用することができます。足は地面に置くだけでいいんです。
この運動自体はそんなに難しいことではありません。
しかし、この運動を、前進運動である「ランニング」に組み込もうとすると、途端に難しくなります。
なぜなら、ランニングで求めるアウトプット(成果)が「前に進むこと」だから。
特に、マラソン大会に出る場合は「どれだけ速く前に進むことができるか?」が、求めるアウトプットになります。
フルマラソンを2時間ちょっとで走る人も、5時間で走る人も、求めるアウトプットは「どれだけ速く前に進むことができるか?」です。
だって、逆ってあまりなくないですか?「できるだけ遅く、前に進むか?」なんて。
フルマラソンを完走したい!という方でも、大会には制限時間がありますから、それはそれで「速く前に進む」ことを求められます。
このように僕たちは、ランニングする際に「できる限り速く前に進む」ということに注意を向けがちです。
ただ、この「できるだけ速く前に進みたい」という欲が、結構厄介で。というのも…
骨盤を回旋することによって腱の弾性エネルギーを発揮する。この弾性エネルギーこそが、一歩の推進力を高め、ランニングエコノミーを向上させてくれるわけです。
しかし、例えば「骨盤を左回旋」する場面を想像してみましょう(上のXの動画は骨盤を左回旋してます)。このときって、左の骨盤を後方に引きながら着地・荷重するわけです。
前に進みたいのに、後ろに引かなきゃいけないわけですね。
ここがポイントで。
前に進もう。少しでも速く前に進もう。この集団に置いていかれないようにしよう。
たしかに、その「アウトプット」はすごく重要なんだけれども、その「アウトプット」を達成するために「前へ前へ」と偏りがちな注意を一旦脇に置いて、「後ろ」に注意を向ける必要があるわけです。
だから僕は「頑張って走りましょう」という声掛けを極力しないようにしてます。そもそも「走る」という単語に「前へ進む」という意味がセットになっている方がほとんどだからです。
「急がば回れ」とはよく言ったもので、目指すアウトプットに対して、一旦「非生産的」とも思える行為を挟むことによって、逆に物事が滑らかに進む。この諺は、骨盤回旋のスキルを身につけるための心構えを端的に説明してくれています。
ここで「後ろ」へ意識を向けることによって、僕たちの身体の「仕組み」が駆動します。
腱の弾性エネルギーを発揮する、という仕組みです。
昨日僕は、トレイルでもないのに、上り坂を5回も歩きました。僕のタイム(1時間22分)くらいで走ってる人に、上り坂で歩いてる人なんて1人もいません。
これは「前に進む」という欲を捨てるためにやったことなんです、実は。
上り走ってても、全然しっくりこない。
違う、この感じじゃない。
そんなことを自問自答しながら、ようやく5回目になんとなくその境地に入れて、そこからは身体に身を預け、骨盤の弾性エネルギーを活用しながら走ることができました。
昨日のレースの失敗は、入りの1kmで速く入りすぎたこと。これで息が上がってしまい、脚がブレーキかけたがってました。脚の制御が効かない状態で上り坂に入ったのが良くなかった。
レースとなると、自分1人で走るのとはもちろん勝手が違います。まだまだ甘いな、と痛感しました。
次の勝田マラソンに向けて、今日からまた精進したいと思います。
それではまた🙌
高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員