マガジンのカバー画像

エッセイと呼ぶにはおこがましいモノ

27
エッセイっていうとなんだか大袈裟なだなぁと思ってしまう今日この頃。いかがお過ごしでしょうか。なんだか恥ずかしいようなソワソワする気持ちでマガジン化しております。
運営しているクリエイター

記事一覧

夜中に爪を切る

夜中に爪を切る

大昔、ほのかな油の明かりで爪を切っていた時代。もちろん爪切りなど便利な道具はないので、小刀で切っていた。
夜、そんなことをしていたら、ザックリ指先ごといってしまうので危ないよ、という戒めが『夜に爪を切るな』だという。

私の地元では、それが変化したのか『夜中に爪を切ると親の死に目に会えない』といわれてきた。

「お前なんかがデザイナーになれるわけがない」

当たり前に、そう母は言った。
デザイナー

もっとみる

褒められた一文を舐めまわします

noteは、紙媒体と違って書き直せるところがいい。
自分が納得できるまで何度だって書き換えられる。
逆に言えば修正に終わりがないともいえるが、今のところ、ありがたいほうが勝っている。

一文字でも、あなたに刺さりたい。
歩く剥き出しの承認欲求であり、自尊感情の低さが地べたを這う私である。

褒められるとその一文を舐めるように読み返します。
気持ち悪いって言うな。
生きがいだ。

つまり何が言いたい

もっとみる
曇りか雨か。決断は大体はずれ。

曇りか雨か。決断は大体はずれ。

ザ・曇天が広がっている。
雨雲は活動していないように見えた。
犬の散歩に出るなら、今しかない。
念には念をと、ガサガサとして着心地のよくないレインコートの上着と蒸れる防水ズボンを着用し、ポーチを斜め掛けに。リードをつけた10キロの犬を抱きかかえて、マンションのエレベーターを1階まで降りた。

扉が開いたとたん、自転車置き場の屋根をポツリポツリと打ち付ける音が聞こえてきた。
「またか」
私は泣き出し

もっとみる

スマホ故障で大騒動

突然、スマホが壊れた。

充電しながら音声会話アプリを使っていたら、それは熱を帯び、前触れもなく電源が落ちた。

大手キャリアで契約しておらず、appleストアから保証なしで買ったiphoneなので、修理をするのも自分頼りである。この大事故に助けはこない。

最初は軽い気持ちでいた。
どうせ『音量上→音量下→電源長押し』で治るだろうと。
あれ間違えたかな『音量上→音量下→電源長押し』。
繰り返す『

もっとみる
ミミズ大博打

ミミズ大博打

ミミズと小枝の違いを教えてください。

雨の夜、犬の散歩をする。
「家では絶対におしっこもウンチもしない」と決めた愛犬がいると、天気に関係なく散歩に駆り出される。

ここは田舎道。雑に放置されボコボコのコンクリート道には両端の土手から次々と這い出してくるミミズに溢れている。

それと同じ数だけ、イチョウ並木から落ちてきた細い小枝群が雨に打たれてぬらぬらと光っている。

パッと見、違いが分からない。

もっとみる
本を読みなさい、と母は無理強いした

本を読みなさい、と母は無理強いした

読書アレルギー

恥ずかしながら、宮沢賢治も夏目漱石も司馬遼太郎も、ヘミングウェイも村上春樹も伊坂幸太郎もハリーポッターも、全てまともに読んだことがない。

本が手元に無かった訳ではない。

母は本の虫だったため、棚には小難しそうな百科事典から漫画まで様々並んでいたし、積んでもあった。
教科書に載るような文学は、幼い頃から手の届く範囲にあった。全集は、ふりがなが振ってあって小学生用に読みやすくされ

もっとみる
今話してみたい、あの人

今話してみたい、あの人

仙道さん、お元気ですか

革パンに革ジャン。歩くと腰元の鍵束がジャラジャラと鳴る。焼けて浅黒い肌。指には当時流行していたクロムハーツが光る。カルバンクラインのCK ONEがクラクラするほど香る。

それが人生で初めての上司だった。
チャラい。
恐ろしいところに入社してしまった。

だがその第一印象は、すぐにひっくり返されることになる。

ここは求人広告会社の制作部

仙道さん(仮名)は、仕事量は人

もっとみる
小さな小さな日常の怖いもの。

小さな小さな日常の怖いもの。

怖がりで小心者の私です。
以下、誰か共感してくれますか?

ある一定の距離から近づいてくる近所の人姿も顔も認識できるけれど声をかける距離ではないってところから、徐々に近づいてくるまでの間にいつ挨拶するのが正解ですか。
体感時間10分。実際30秒。心がざわざわします。しかも親しくもない近所の人にどれくらいのトーンで挨拶すればいいんでしょうか。

病院の待合室、同様にサウナ小さな空間で他人と過ごさなき

もっとみる
運動会でコケるお父さんの気持ちが分かった。

運動会でコケるお父さんの気持ちが分かった。

私は中学は美術部、高校は美術科、芸大出身です。

でも絵が描けないのです。
それはもう全く描けないのです。

お恥ずかしいことに
思った場所に線を描けない。
イラストで誤魔化さずに『手』『腕』『足』『胴体』が描けない
ひとつの絵を描くのに2時間かかる
右向きの顔が描けない
思った通りに粘土が盛れない
モチーフを特徴的に捉えられない
筆の使い方を忘れている

書いてて悲しくなってきました。

これは

もっとみる
【傷口】脚本版

【傷口】脚本版

登場人物姉21歳
妹21歳
男23歳
姉友人21歳

何が言いたいか形にもならない、ごく薄い悪意。判断しない、放置するのも悪意。

モチーフ口裂け女現代バージョン

〇集中治療室前、夏の夜21時をさす時計。男と妹が待合室の長椅子に腰掛け、うつむき待っている。
手術中のライトが消え、手術室のドアが開く。執刀医登場。かけよる妹と男
妹「先生、姉は」
医師「命に別状はありませんが、どうしても顔の傷は残り

もっとみる
家庭内、見て見ぬふり選手権

家庭内、見て見ぬふり選手権

私は見て見ぬふりが得意なので、ここに選手宣誓致します。

「わたくしはー
毎日のなんやかんやをー
正々堂々、見て見ぬふりすることをー
ここに誓いますー」

まずはウォーミングアップから。
・トイレの黒ずみ
サボったリングってやつですね。皆さんどのへんの黒さまで許容できます?

・テレビ台のほこり
あるあるですね。我が家も御多分にもれず積もってます。積もりまくってます。テレビ自体とゲーム機とかの込み

もっとみる
小林賢太郎さんの“手の奴”やってみた。

小林賢太郎さんの“手の奴”やってみた。

構想まる1日、制作期間4日。
まるまるずっーと作ってました。
嫌がる夫を無理やり引きずり込んで、完成しました。

…完成度のことは言わないでください。
目を細めて、画面から遠く離れて見てください。

チャレンジしたことだけでも褒めると私が喜びます。
誠意って何だね。スキすることじゃないのかね。

ちなみに音声はメトロノームなので、例のあの曲を脳内再生してください。

それではご覧ください、iPho

もっとみる
マグリットになりたかったので、実際になってみた

マグリットになりたかったので、実際になってみた

ルネ・マグリット作『人の子』とは作品になろうと思った。私が。
「ハァ?」というご意見ごもっとも。
まぁ、順を追って説明するので、そう焦りなさんな。

『人の子』の作品名は知らなくても、絵は見たことがある方が多いんじゃないでしょうか。これです。

象徴的な山高帽と顔前の青リンゴ。

マグリットは、普通のものを描いているのにどこかに不自然なところがあって、鑑賞者を不安にさせるような独特の魅力があります

もっとみる
運動音痴が、アンパンマンの如く勇気の鈴がりんりんりんしながら乗り込むスポーツジム

運動音痴が、アンパンマンの如く勇気の鈴がりんりんりんしながら乗り込むスポーツジム

病弱な小学生時代クラスに一人はいる、体育の授業はだいたい見学している女子。
それが私でした。
小学生のとき患っていたのは、小児喘息とアレルギー。
乳製品や卵が食べられないので給食も食べられず、クラスの中で私だけお弁当持参でした。薬も一日三回欠かさず飲む。ひどいときは入院をしたことも。

文字に起こすとなかなかに可哀そうだな小さいときの私。
心配はご無用、現在は元気です。

運動音痴にもほどがある中

もっとみる