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蓮田隆秀1961.6.16生まれ。noteを始めた日2021.3.8~。映画と読書とツ…

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蓮田隆秀1961.6.16生まれ。noteを始めた日2021.3.8~。映画と読書とツイッターのまとめnoteにしようと思います。とりあえず俳句をアップしたいな。

マガジン

  • 源氏物語

    源氏物語の感想など。与謝野晶子訳Kindleから。

  • 読書日記

    読書感想文

  • 五行詩は短詩だけど俳句や短歌に比べて規則もないのでもっとも作りやすい詩かもしれない。目指せ五行詩の芭蕉? 五行詩だけでなく他の多行詩も加えました。

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    毎日、日記をアップします。

  • シン・俳句レッスン

    俳句研究、自由律作成

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落語「柳田格之進」と映画『碁盤斬り』の違いについて 

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「コンパートメントNo.6」はシャネルの5番より香ばしい

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後鳥羽院、孤独なうた詠み

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卯の花や古歌(ふるうた)腐らず文字と化す

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「聞き書き」のスタイルを築いた森崎和江

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『奈落の神々』 森崎和江(平凡社ライブラリー – 1996)

ETV特集で森崎和江の番組をやっていたので再アップ。

森崎和江は、ユネスコ世界記憶遺産となった山本作兵衛の絵を辿っていく映画『作兵衛さんと日本を掘る』で知った。炭鉱所で保育園を開いて女坑夫から聞き書きをして『まっくら』という本を出したというので興味を持つ。『まっくら』は絶版だった(岩波文庫で再販されるそうです)ので、さらに労働史とし

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『源氏物語』から疎外された光源氏の小説

『源氏物語』から疎外された光源氏の小説

『窯変 源氏物語〈8〉 真木柱 梅枝 藤裏葉 若菜上』橋本治 (中公文庫)

真木柱

原作が面白すぎたのか「真木柱」は期待してたほどではなかった。やはり御息所のもののけがいないと。真木柱よりもその弟たちに関心が行くんだなと思った。

梅枝 藤裏葉

夕霧がやっと雲井の雁と結婚するのだった。夕霧にはイライラさせられたが光源氏目線だと結構出来のいい息子という感じになっている。明石の姫よりも夕霧の方が

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無関心領域に関心を向けるには?

無関心領域に関心を向けるには?

『関心領域』(アメリカ・イギリス・ポーランド/2023)監督: ジョナサン・グレイザー 出演: クリスティアン・フリーデル/ザンドラ・ヒュラー

アウシュヴィッツに関心がある人はいいんだけど、無関心領域の人にどう伝えたいのかというと困った映画のように思える。まあ、アカデミー賞取っているし斬新なホラーのようだよと勧めればいいのか?

批評家とか関心領域にある人は面白いのかなと思うのだが、無関心な人は

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シン・現代詩レッスン16

シン・現代詩レッスン16

テキストは寺山修司『戦後詩―ユリシーズの不在』。詩の虚構性を記号的体験と言う。詩が現実通りでなくても成り立つのは文学であるからである。それを否定して、リアリズムに固執するのは非礼だと言うのだ。そこはよくわからないが、寺山修司は記号(言葉)的体験を現実へ持ち帰ることによって詩は有効なのであり、その逆ではないという。つまり現実を記号的体験へ持ち込む(リアリズム)詩は何が駄目なのか、よくわからん。

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短編小説ベスト5

短編小説ベスト5

読書メーターで「短編小説ベスト5」という題が出たので考えてみたいと思います。まずすぐに浮かぶのがカフカ。カフカは短編小説だけではなく文学全般で一番だと思っているので、短編小説もやはり外せない。一番のショートショート『インディアンになりたいという願い』は短歌みたいな作品で、インディアンになりたくて馬に乗って走ったら風を感じて馬のたてがみと共に消えてしまうというような内容なのだが、その疾走感がたまらな

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立葵おいやるときの目覚めかな

立葵おいやるときの目覚めかな

もう立葵の花が咲いている。五月も月末だった。時間が流れるのが早い。

立葵だから一行立ちのほうがいいのか

立葵の赤が強烈に時を追いやるように咲いていたみたいな。

こっちか。改作すると最初の印象がなくなると何かの本で読んだのだが、それは上級者なんだろうな。初心者はどこまで改作すればいいかわからなくなるから諦めも必要かも。それよりも多作多捨だった。

そういうことです。

「シン・俳句レッスン」を

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シン・俳句レッスン122

シン・俳句レッスン122

ドクダミ

「どくだみ」、俳句では否定的なことばを嫌うので「十薬」とか使われるようだ。同じ日本を代表するハーブなのに蓬は文学になり(『源氏物語』「蓬生」が有名)、歌にも読まれたりするのだが、十薬は少ないようだ(歌はあった)。どくだみ茶はほとんどハーブティというより薬湯としてのイメージだ。また「蓬餅」は厄を払うものとされているのに、どくだみはそういう効用はないのだろう。花は可憐で綺麗なだけに名前がネ

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『船長の行方』は現代俳句の行方であった

『船長の行方』は現代俳句の行方であった

『船長の行方』林桂

すでに出版社自体がない絶版本なのだが、「高柳重信論」が書かれているのと林桂の名を俳句界に留めた「鶏頭論」が掲載されている本だった。

俳句批評の本。現代俳句に大きな足跡を残した高柳重信論、彼が亡くなった後の現代俳句の方法論を意識した作家。そして、自身の俳句との関わり方で方法論を極めていくことで、その俳句を鍛えていくこと。それは船長(高柳重信)が亡き後の俳句(船)の行方なのか。

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スキャンダル影に花あり忍冬

スキャンダル影に花あり忍冬

スイカズラの花。いい匂いがするのだった。

俳句では「忍冬」の漢字が使われるのは、冬に枯れずに葉が緑のままだからという。花のイメージは蜜が甘い「吸葛」なんだが「忍冬」の俳句が多い。芥川龍之介は春の歌だから葉っぱを読んだのか、季語は夏だから、春と冬と夏が入っていることになる。でも葉っぱよりもやはり匂いに惹かれたのだと思うがどうなんだろう?芥川龍之介の句は女の匂いを感じてしまう。愛人とか。日かげの愛人

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泡風呂に沈む鐘の音(ね)蓮の花

泡風呂に沈む鐘の音(ね)蓮の花

昨日遅くまで映画を観て帰ってからも録画とか観ていたので、今日は遅い目覚めだった。足が攣るので風呂に入った。洗濯するにも風呂の残り湯を使いたかったら。蓮だった。今日の一句。

鐘は煩悩の音(ね)。泥の中に咲く蓮の花を泡風呂に咲かせてみせた。蓮も泡の中できえてしまったかも。また多行俳句に戻したのは高柳重信の俳句を忘れないためである。まあ多行にしても、韻律は五七五に繋がれてしまう奴隷状態の俳句なのだが。

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シン・現代詩レッスン15

シン・現代詩レッスン15

テキストは寺山修司『戦後詩―ユリシーズの不在』は前回と同じ。前回作った「空回りするモルモット」(仮題)は安永稔和の詩「鳥」に似ているな。めちゃくちゃ否定されていた。彼は書くことによって、鳥になったつもりだがその飛行行為は、ことごとく「飛びそこねた詩人」であると言われてる。人生に意味があると思っているからいけないのだろうか?別の世界(想像世界)が見えているとも言っている。そこまで辿り着ければいいのか

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落語「柳田格之進」と映画『碁盤斬り』の違いについて 

落語「柳田格之進」と映画『碁盤斬り』の違いについて 

落語は落語家という一人の話者が語るエンタメ(談志は「イリュージョン」という)だった。映画は今では最大のエンタメかもしれないが、総合芸術(エンタメ)としての映画と古典落語の違いを楽しむのも興味深い。たぶん、これは私だけの観点であり、大多数の映画ファンは『碁盤斬り』に高評価を与えているのだ。そこのところをお見知りおき下さい(舌を噛みそうである)。

まず原作は落語のほうなのだ。題は「柳田格之進」という

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「コンパートメントNo.6」はシャネルの5番より香ばしい

「コンパートメントNo.6」はシャネルの5番より香ばしい

『コンパートメントNo.6』(2021年/フィンランド,ロシア,エストニア,ドイツ/107分)【監督】ユホ・クオスマネン 【キャスト】セイディ・ハーラ,ユーリー・ボリソフ,ディナーラ・ドルカーロワ,ユリア・アウグ,リディア・コスティナ,トミ・アラタロ

オープニングの音楽とクレジット・タイトルに惹かれる。やはり音楽がいいと映画も良く感じられるのだ。オープニングはホームパーティ会場のシーンから。明る

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後鳥羽院、孤独なうた詠み

後鳥羽院、孤独なうた詠み

『女房文学から隠者文学へ 王後期朝文学史』折口信夫

折口信夫の歌論。批評家、国文学者としての折口信夫は柳田國男の後継者のように見られるが短歌の世界では釈迢空での実績があり、その創作研究から『万葉集』を口語訳するという(翻訳ではなく、『万葉集』を口承文学として読みの指針を示した)実践的な研究者の歌論である。

日本の古歌でも五七調や七五調を繰り返すことで、人々の共感を呼んで宴会ソングとなるわけだっ

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どくだみや藪の十字星降誕し

どくだみや藪の十字星降誕し

どくだみ、俳句では否定的なことばを嫌うので「十薬」とか使われるようだ。同じ日本を代表するハーブなのに蓬は文学になり(『源氏物語』「蓬生」が有名)、歌にも読まれたりするのだが、十薬は少ないようだ(歌はあった)。どくだみ茶はほとんどハーブティというより薬湯としてのイメージだ。また「蓬餅」は厄を払うものとされているのに、どくだみはそういう効用はないのだろう。花は可憐で綺麗なだけに名前がネックとなっている

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卯の花や古歌(ふるうた)腐らず文字と化す

卯の花や古歌(ふるうた)腐らず文字と化す

ウノハナと思ったらネズミモチだった。卯の花は古くから和歌や俳句で詠まれてきたが「ネズミモチ」はどうなのだろう。一応季語にはなっているが、木の意味が鼠の糞という冬に実る実のことらしい。あまりいいイメージはないな。季語だと女貞(ねずみもち)と読ませるのは。実は薬にもなり貞操な女の意味だそうだ。実際にはトウネズミモチはネズミモチと違うそうなのだが。

例えばこういう花の勘違いはよくあることで、ほんとうは

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