塩谷舞(mai shiotani)
記事一覧
[もくじ] 過去記事ほぼぜんぶリンク集
(最終更新 2022年2月28日)
インターネットのあちこちに散らかっている文章をまとめました。
古い文章は、今とは主張が違うことも、ときには正反対であったりもしますが、それはそれで自分の考えていたことなので残しておきます。とはいえ過去記事全てを掲載するとあまりにも収拾がつかなくなるので、載せてないものもあります。すみません。テーマが1つに限定できないものは、重複して登場していたりします。
エッセイに書かなかった、本当のこと
今から、3年前に書いた「"意識高い系"おんなともだち」というエッセイ。
国際女性デーにあわせて、女友達との話を……という依頼を受けて書いた文章なのだけれど、私自身非常に熱を込めて書き、沢山の人が読んでくれた。書籍の編集さんも気に入ってくれて、本にも収録することになった。
でも実は、このエッセイには話の流れが悪くなるから……と書かなかった事実があり、そのことに対する罪悪感がずっとあった。以下、中
美大コンプレックス、なるものはどうして生まれるのか
美大コンプレックス、という言葉について考えている。
画家やイラストレーター、デザイナーなどの仕事をしているけれど専門教育を受けたことがなくて……という立場の人が使うことが多いこの言葉。まず、こうした言葉は他の分野でもあるのだろうか?
たとえばこれが、「医者をしているけれど専門教育を受けたことがなくて、医大コンプレックスなんだよね」であれば即刻通報案件である。医師法は医師免許を持たない無資格者に
『小さな声の向こうに』 はじめに 全文公開
今夜は嵐のように強い風が吹いている。
窓の外では蕾を携えた桜の枝が大きく軋み、空からは轟音が鳴り響く。不穏なばかりの夜からできるだけ距離を取るように全ての窓をぴたりと閉めて、部屋の中で耳に馴染んだ静かな音楽を流し、飲み慣れた茶を淹れる。呆れるほどに何度でも反復してきたそんな行為の中に身を置くことで、心はいくらか穏やかさを取り戻していく。文章を書くには、そうした準備運動が必要だ。
いまから3
『小さな声の向こうに』 副読ノート。その1
今週火曜日に発売となった、『小さな声の向こうに』。桜が散るなか、外で読んでいます……という嬉しい便りがちらほら届き、とても嬉しい。各地の書店で、オンラインショップで、お手にとっていたいた皆様、本当にありがとうございます!
本日は副読本……ならぬ、副読ノートとして、執筆時のちょっとした裏話や、ささやかなこだわりを書いてみたいな、と。
好きに本文を読んでいただいて、その後の付録として楽しんでいただ
仮に妊娠したとすれば、いつそれを伝えるのが最適なのだろう
「念校、ご確認ください!」
3月8日のお昼過ぎ。病院の簡易ベッドで支度を済ませ待機している最中に、担当編集さんから125ページに渡るPDFが送られてきた。1ヶ月後に世に出る拙著、『小さな声の向こうに』の最終原稿が送られてきたのだ。レディースクリニックの待機時間というのは往々にして長いので、できるだけ今スマホでチェックしてしまおう……とそのファイルを開いた瞬間に「◯◯番の方、手術室にお入りくださ
大丈夫。大人になってからでも、友人はできるから
「アンタはほんまに、友達の運がないなぁ」
小学生の頃。仲良くしていた友達が遠くに行ってしまう……という報せを受けて心底落ち込む私に、母は度々そう言った。というのも、こうしたことは一度や二度じゃなかった。私が親しくしていた友達は、なぜかいつも遠くに行ってしまうのだ。親の転勤で、家の引っ越しで、私立への受験で。休み時間、みんながドッヂボールをする中で教室に残り、一緒に絵を描いてくれたのっちゃん。運動
「お元気ですか?31歳の私です。」
「お元気ですか?31歳の私です。」
……というタイトルのメールが今朝届き、スパムかな? と思ったけれど、開いてみると確かにそれは31歳の私が書いた文面だった。
「PRESENT 4229」という、4年に1度の2月29日から、4年後の2月29日に送れるメールサービス。そういえば2016年から使い始めていたのだった。
そして、開いたメールに掲載されていた4年前の自分からの文章に思わず苦笑。詳細を
冬の香りと五感の回復
秋頃から抱えていた大きな仕事が、一段落。
ここ数ヶ月(大晦日と元旦の帰省を除いて)、出かけることも、友人と会うことも、外食に行くことも諦めてとにかく原稿、不妊治療、原稿、不妊治療、原稿……という日々だったのだけれど、それがやっと、ようやっと落ち着きました。今、世界一好きな言葉は「脱稿」です。
そうしたタイミングで少し羽根を伸ばそう……と、一番好きな場所に行って参りました。一泊二日、山梨県の乙女
人生なんて自己矛盾の数だけ愛おしくなるのに!
数多の自己矛盾に、呆れながら向き合っている。
絶賛エッセイ本の準備中……なのだけれど、単発のエッセイとして発表していた文章は、その文章の中だけではいちおう、整合性が取れている。が、それを二十数本集めると、あっちとこっちでは主張が微妙に違うな? あれ、人間性も違うな??? ということが多々発生してしまう。
小説であれば、登場人物の性格が定まらないと、読んでる側は苛々してしまうでしょう。それが筆者
もし、自分ひとりの部屋を持つならば
"女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない。"
ヴァージニア・ウルフの『自分ひとりの部屋』にある一節から着想を得て、お部屋の設えをさせていただきました。前回のnoteにも書いた通り、
・自分で作ってみる
・出来るだけ古いものを選ぶ
・現代の作家さんの作品は購入する
……というマイルールに出来る限り従いつつ。素人なもので色々と悩みましたが、なんとか先日設営を終えま
最近なにを買いましたか? ということで
『視点』 購読者のみなさまへ。今月も更新が遅れてしまって、申し訳ありません。現在、春に販売される新刊のために、毎日血を吐く思いで自分の文章と闘っております。新刊には24編の文章(まえがき・あとがきを除く)を収録予定なのですが、そのほとんどは『視点』の文章を転載……ではあるものの、大幅に、それはもう大幅に加筆・修正を加えている真っ最中です。
Web上で読む文章と、紙に印刷された文章というのは、かな
2023年、ありがとうございました!
2023年のはじめ、前厄ということで東京大神宮で厄払いをしてもらった。その効果がどれ程か……というのはわからなかったけれど、今年も生きて、暮らしていくことが出来ました。
通院の合間になんとか記事を……という足元のぐらついた日々ではあったけれど、なんとか考えて、書いて、出して……というサイクルを回し続けられたのは、呆れずにこの『視点』を読んでくださっていた皆様のお陰です。本当にありがとうございます