塩谷舞(mai shiotani)

1988年大阪・千里生まれ。京都芸大在学中にSHAKE ART!を創刊。会社員を経て2…

塩谷舞(mai shiotani)

1988年大阪・千里生まれ。京都芸大在学中にSHAKE ART!を創刊。会社員を経て2015年より独立。2018年からNYでの生活を経て2021年に帰国。noteメンバーシップ『視点』更新中。著書に『ここじゃない世界に行きたかった』『小さな声の向こうに』(文藝春秋)

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固定された記事

[もくじ] 過去記事ほぼぜんぶリンク集

(最終更新 2022年2月28日) インターネットのあちこちに散らかっている文章をまとめました。 古い文章は、今とは主張が違うことも、ときには正反対であったりもしますが…

エッセイに書かなかった、本当のこと

今から、3年前に書いた「"意識高い系"おんなともだち」というエッセイ。 国際女性デーにあわせて、女友達との話を……という依頼を受けて書いた文章なのだけれど、私自身…

美大コンプレックス、なるものはどうして生まれるのか

美大コンプレックス、という言葉について考えている。 画家やイラストレーター、デザイナーなどの仕事をしているけれど専門教育を受けたことがなくて……という立場の人が…

『小さな声の向こうに』 はじめに 全文公開

 今夜は嵐のように強い風が吹いている。  窓の外では蕾を携えた桜の枝が大きく軋み、空からは轟音が鳴り響く。不穏なばかりの夜からできるだけ距離を取るように全ての窓…

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『小さな声の向こうに』 副読ノート。その1

今週火曜日に発売となった、『小さな声の向こうに』。桜が散るなか、外で読んでいます……という嬉しい便りがちらほら届き、とても嬉しい。各地の書店で、オンラインショッ…

仮に妊娠したとすれば、いつそれを伝えるのが最適なのだろう

「念校、ご確認ください!」 3月8日のお昼過ぎ。病院の簡易ベッドで支度を済ませ待機している最中に、担当編集さんから125ページに渡るPDFが送られてきた。1ヶ月後に…

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大丈夫。大人になってからでも、友人はできるから

「アンタはほんまに、友達の運がないなぁ」 小学生の頃。仲良くしていた友達が遠くに行ってしまう……という報せを受けて心底落ち込む私に、母は度々そう言った。というの…

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「お元気ですか?31歳の私です。」

「お元気ですか?31歳の私です。」 ……というタイトルのメールが今朝届き、スパムかな? と思ったけれど、開いてみると確かにそれは31歳の私が書いた文面だった。 「PRE…

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冬の香りと五感の回復

秋頃から抱えていた大きな仕事が、一段落。 ここ数ヶ月(大晦日と元旦の帰省を除いて)、出かけることも、友人と会うことも、外食に行くことも諦めてとにかく原稿、不妊治…

自分を調律するための音楽

 感覚を文字にする仕事をしていると、取りこぼしてしまうものがあまりにも多いな……と思うことがある。もちろん言葉だからこそしっかり筋を通して伝えられることもあれば…

人生なんて自己矛盾の数だけ愛おしくなるのに!

数多の自己矛盾に、呆れながら向き合っている。 絶賛エッセイ本の準備中……なのだけれど、単発のエッセイとして発表していた文章は、その文章の中だけではいちおう、整合…

もし、自分ひとりの部屋を持つならば

"女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない。" ヴァージニア・ウルフの『自分ひとりの部屋』にある一節から着想を得て、お部屋の設えをさ…

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最近なにを買いましたか? ということで

『視点』 購読者のみなさまへ。今月も更新が遅れてしまって、申し訳ありません。現在、春に販売される新刊のために、毎日血を吐く思いで自分の文章と闘っております。新刊…

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2023年、ありがとうございました!

2023年のはじめ、前厄ということで東京大神宮で厄払いをしてもらった。その効果がどれ程か……というのはわからなかったけれど、今年も生きて、暮らしていくことが出来まし…

古く美しい暮らしは、なぜ消えた?

古くから在る美しい景観を前にすると、心の奥のほうからあたたかいものが湧き出てくるような、なんとも満たされた気分になる。それは石垣や木造建築が並ぶ彩度の低い街並み…

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不妊治療、予定の組めない移植周期

「来月は50%の確率で仕事を受けられるかもしれないし、受けられないかもしれません。その如何は、来月にならないとわかりません」 仕事を発注しようか、という段階でそん…

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[もくじ] 過去記事ほぼぜんぶリンク集

[もくじ] 過去記事ほぼぜんぶリンク集

(最終更新 2022年2月28日)

インターネットのあちこちに散らかっている文章をまとめました。

古い文章は、今とは主張が違うことも、ときには正反対であったりもしますが、それはそれで自分の考えていたことなので残しておきます。とはいえ過去記事全てを掲載するとあまりにも収拾がつかなくなるので、載せてないものもあります。すみません。テーマが1つに限定できないものは、重複して登場していたりします。

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エッセイに書かなかった、本当のこと

エッセイに書かなかった、本当のこと

今から、3年前に書いた「"意識高い系"おんなともだち」というエッセイ。

国際女性デーにあわせて、女友達との話を……という依頼を受けて書いた文章なのだけれど、私自身非常に熱を込めて書き、沢山の人が読んでくれた。書籍の編集さんも気に入ってくれて、本にも収録することになった。

でも実は、このエッセイには話の流れが悪くなるから……と書かなかった事実があり、そのことに対する罪悪感がずっとあった。以下、中

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美大コンプレックス、なるものはどうして生まれるのか

美大コンプレックス、なるものはどうして生まれるのか

美大コンプレックス、という言葉について考えている。

画家やイラストレーター、デザイナーなどの仕事をしているけれど専門教育を受けたことがなくて……という立場の人が使うことが多いこの言葉。まず、こうした言葉は他の分野でもあるのだろうか?

たとえばこれが、「医者をしているけれど専門教育を受けたことがなくて、医大コンプレックスなんだよね」であれば即刻通報案件である。医師法は医師免許を持たない無資格者に

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『小さな声の向こうに』 はじめに 全文公開

『小さな声の向こうに』 はじめに 全文公開

 今夜は嵐のように強い風が吹いている。
 窓の外では蕾を携えた桜の枝が大きく軋み、空からは轟音が鳴り響く。不穏なばかりの夜からできるだけ距離を取るように全ての窓をぴたりと閉めて、部屋の中で耳に馴染んだ静かな音楽を流し、飲み慣れた茶を淹れる。呆れるほどに何度でも反復してきたそんな行為の中に身を置くことで、心はいくらか穏やかさを取り戻していく。文章を書くには、そうした準備運動が必要だ。

 いまから3

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『小さな声の向こうに』 副読ノート。その1

『小さな声の向こうに』 副読ノート。その1

今週火曜日に発売となった、『小さな声の向こうに』。桜が散るなか、外で読んでいます……という嬉しい便りがちらほら届き、とても嬉しい。各地の書店で、オンラインショップで、お手にとっていたいた皆様、本当にありがとうございます!

本日は副読本……ならぬ、副読ノートとして、執筆時のちょっとした裏話や、ささやかなこだわりを書いてみたいな、と。

好きに本文を読んでいただいて、その後の付録として楽しんでいただ

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仮に妊娠したとすれば、いつそれを伝えるのが最適なのだろう

仮に妊娠したとすれば、いつそれを伝えるのが最適なのだろう


「念校、ご確認ください!」

3月8日のお昼過ぎ。病院の簡易ベッドで支度を済ませ待機している最中に、担当編集さんから125ページに渡るPDFが送られてきた。1ヶ月後に世に出る拙著、『小さな声の向こうに』の最終原稿が送られてきたのだ。レディースクリニックの待機時間というのは往々にして長いので、できるだけ今スマホでチェックしてしまおう……とそのファイルを開いた瞬間に「◯◯番の方、手術室にお入りくださ

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大丈夫。大人になってからでも、友人はできるから

大丈夫。大人になってからでも、友人はできるから

「アンタはほんまに、友達の運がないなぁ」

小学生の頃。仲良くしていた友達が遠くに行ってしまう……という報せを受けて心底落ち込む私に、母は度々そう言った。というのも、こうしたことは一度や二度じゃなかった。私が親しくしていた友達は、なぜかいつも遠くに行ってしまうのだ。親の転勤で、家の引っ越しで、私立への受験で。休み時間、みんながドッヂボールをする中で教室に残り、一緒に絵を描いてくれたのっちゃん。運動

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「お元気ですか?31歳の私です。」

「お元気ですか?31歳の私です。」

「お元気ですか?31歳の私です。」

……というタイトルのメールが今朝届き、スパムかな? と思ったけれど、開いてみると確かにそれは31歳の私が書いた文面だった。

「PRESENT 4229」という、4年に1度の2月29日から、4年後の2月29日に送れるメールサービス。そういえば2016年から使い始めていたのだった。

そして、開いたメールに掲載されていた4年前の自分からの文章に思わず苦笑。詳細を

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冬の香りと五感の回復

冬の香りと五感の回復

秋頃から抱えていた大きな仕事が、一段落。

ここ数ヶ月(大晦日と元旦の帰省を除いて)、出かけることも、友人と会うことも、外食に行くことも諦めてとにかく原稿、不妊治療、原稿、不妊治療、原稿……という日々だったのだけれど、それがやっと、ようやっと落ち着きました。今、世界一好きな言葉は「脱稿」です。

そうしたタイミングで少し羽根を伸ばそう……と、一番好きな場所に行って参りました。一泊二日、山梨県の乙女

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自分を調律するための音楽

自分を調律するための音楽

 感覚を文字にする仕事をしていると、取りこぼしてしまうものがあまりにも多いな……と思うことがある。もちろん言葉だからこそしっかり筋を通して伝えられることもあれば、言葉を介さない感覚と感覚での会話……というものも必ずあって、それが美術や音楽と呼ばれたり、愛と呼ばれたりすることもあるのだろう。

 書いて、読んで、書いて、読んで……を反復しつづけていると、頭のほうがうんと優位になってくる。知識を蓄え、

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人生なんて自己矛盾の数だけ愛おしくなるのに!

数多の自己矛盾に、呆れながら向き合っている。

絶賛エッセイ本の準備中……なのだけれど、単発のエッセイとして発表していた文章は、その文章の中だけではいちおう、整合性が取れている。が、それを二十数本集めると、あっちとこっちでは主張が微妙に違うな? あれ、人間性も違うな??? ということが多々発生してしまう。

小説であれば、登場人物の性格が定まらないと、読んでる側は苛々してしまうでしょう。それが筆者

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もし、自分ひとりの部屋を持つならば

もし、自分ひとりの部屋を持つならば

"女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない。"

ヴァージニア・ウルフの『自分ひとりの部屋』にある一節から着想を得て、お部屋の設えをさせていただきました。前回のnoteにも書いた通り、

・自分で作ってみる
・出来るだけ古いものを選ぶ
・現代の作家さんの作品は購入する

……というマイルールに出来る限り従いつつ。素人なもので色々と悩みましたが、なんとか先日設営を終えま

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最近なにを買いましたか? ということで

最近なにを買いましたか? ということで

『視点』 購読者のみなさまへ。今月も更新が遅れてしまって、申し訳ありません。現在、春に販売される新刊のために、毎日血を吐く思いで自分の文章と闘っております。新刊には24編の文章(まえがき・あとがきを除く)を収録予定なのですが、そのほとんどは『視点』の文章を転載……ではあるものの、大幅に、それはもう大幅に加筆・修正を加えている真っ最中です。

Web上で読む文章と、紙に印刷された文章というのは、かな

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2023年、ありがとうございました!

2023年、ありがとうございました!

2023年のはじめ、前厄ということで東京大神宮で厄払いをしてもらった。その効果がどれ程か……というのはわからなかったけれど、今年も生きて、暮らしていくことが出来ました。

通院の合間になんとか記事を……という足元のぐらついた日々ではあったけれど、なんとか考えて、書いて、出して……というサイクルを回し続けられたのは、呆れずにこの『視点』を読んでくださっていた皆様のお陰です。本当にありがとうございます

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古く美しい暮らしは、なぜ消えた?

古く美しい暮らしは、なぜ消えた?

古くから在る美しい景観を前にすると、心の奥のほうからあたたかいものが湧き出てくるような、なんとも満たされた気分になる。それは石垣や木造建築が並ぶ彩度の低い街並みであり、苔の生した岩であり、縁側や床の間のある古い家屋、そのゆらゆらとしたガラスの向こう側に見える内庭の紅葉でもある。

子どもの頃から、古い街並みに焦がれていた。原体験として色濃いのは、小学生の頃に修学旅行で訪れた倉敷の美観地区。柳が枝垂

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不妊治療、予定の組めない移植周期

不妊治療、予定の組めない移植周期

「来月は50%の確率で仕事を受けられるかもしれないし、受けられないかもしれません。その如何は、来月にならないとわかりません」

仕事を発注しようか、という段階でそんな答え方をしてしまうと、「では今回はご縁がなかった、ということで……」となるのが目に見えている。プロジェクトを複数人で進めていく上で、とくに制作陣のスケジュールは何ヶ月先であれ絶対に確保しておけと社会人1年目にしつこく教えられたものだ。

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