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ほぼ毎日エッセイ『わたしに翼』

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2024.03.09〜 タイトルは大好きな朝ドラ『虎に翼』をもじって。 書くことで、大きくて豊かな、どこまでもいける、「私だけの翼」が手に入りますように。
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記事一覧

自分にいちばん似合う宝石

自分にいちばん似合う宝石

私の誕生日は6月だ。6月の誕生石はパール(真珠)らしい。だから、なんとなく自分にはパールが似合うのかな、なんて思っていた。

しかし、実際にパールを身につけてみると、なんとなくしっくりこない。似合わなくはない……のだけど、ベストではないのだ。

それに対し、妹はものすごくパールが似合う。彼女は胸元がふっくらしていて、でも手のひらが薄くて指が長い。

曲線を描くような、もちもちした彼女のボディーライ

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侮れない。「ぼーっとする」時間

侮れない。「ぼーっとする」時間

ここ2日ほど、とにかくぼーっとしている。やることはまああるし、やろうと思えばできるのだろうが、私は「やらない」方を選んだ。

特にこの1年はずっと気忙しくて、あれもしなきゃこれもしなきゃと息つく暇がなかった。できることはたくさん増えたけど、しんどいことも多くて、泣きそうになることもあった。

それも仕方ない。ここ1年でしたことといえば、息子の初社会参加、ワーママデビュー、家購入、たびたびの入院、自

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最近、よく読んでいただいたエッセイ

最近、よく読んでいただいたエッセイ

ほぼ毎日エッセイ『私に翼』を開始してから、2ヶ月あまり。

ときどき中断することはあれど、毎日ぽつぽつと思いを綴っていると、思いがけずたくさんの方に読んでもらえるときがある。

連載のなかでも、最近特に読んでいただけた記事をいくつか紹介したい。

無印良品夫(24.04.16)新居への引越しにあたり、夫が「無印良品、無印良品」と言い募るので「ほんまに無印良品がすきなやつやな〜」と思って書いたエッセ

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怒りを封じ込めるな

怒りを封じ込めるな

「私たち、怒ってるんです」

昼食後、ソファに寝そべってうとうとしていると、テレビから凜とした声が聴こえてきた。

それは、一週遅れで視聴していたNHKの朝ドラ『虎に翼』で、主人公の寅子が言い放ったセリフだった。

寅子は男女の持つ権利の違いと、そこから起こる”見えない”不平等について、滔々(とうとう)と語り始める。

普通のドラマなら、ここで一気に盛り上がるBGMを流すだろう。しかし、一切の無音

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「本を読むこと」について、考えてみる

「本を読むこと」について、考えてみる

最近『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』という小説を読んでいる。タイトルからわかるとおり韓国文学で、これまたタイトルどおり「本屋さん」のお話しだ。

数年前、『81年生まれ、キム・ジヨン』に出会って脳天を撃ち抜かれてから、私にとって韓国文学は、一目置けるジャンルとなった。K-POPにハマる人、韓流ドラマにハマる人とそれぞれだろうが、私の場合は韓国文学だったのである。

韓国の人びとが感じていることは(少

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グラデーションな他者

グラデーションな他者

さまざまなバックグラウンドを持つ方々とお話しする機会が増えたからだろうか。人間ってほんとうに多彩なんだなぁと感じている。

属性とか性格とか、一見同じ色にみえる人たちでも、よく見てみると微妙に色が違う。当然だが、正義も倫理も、快・不快もみんな、異なるものだ。

若い頃は、こういったことになかなか気づけなかった。そのせいで自意識に苦しめられた。

きっと、細かな色の違いを見極める力がなかったんだろう

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わたくしの小さな相棒と、サードプレイスとしての本屋

わたくしの小さな相棒と、サードプレイスとしての本屋

サードプレイスとは、カフェや公園、コミュティ活動の場など、自宅、学校、職場とは別に存在する、居心地のいい居場所のことを指す言葉である。

先日、とてもいいサードプレイスに出会えたので、この経験をシェアしたいと思う。

✎✎✎

その日は朝から大荒れの天気で、気圧の変化に弱い私はゲンナリしていた。いつもはショートスリーパーの息子も、大雨の日にはよく眠る。夫を会社へ送り出したあと、息子とふたり、昼過ぎ

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キミと物語

キミと物語

息子が最近、映画『魔女の宅急便』にハマっている。

主人公のキキが大好きで、テレビを観る時間になると「キキちゃんみる!」と言ってきかない。リビングではしょっちゅう、ホウキにまたがって空を飛んでいる。

試しに、同じスタジオジブリ作品の『となりのトトロ』や『猫の恩返し』を見せてみたが、彼の心には刺さらなかったらしい。10分もしないうちに「キキちゃんみたい!」といって、キキのいる世界へ旅立って行く。

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自宅の「ナワバリ化」計画

自宅の「ナワバリ化」計画

私は「物が多い状態」で暮らすのに非常なストレスを抱えてしまうタチだ。物の気配、というのだろうか。それが苦痛なのだ。

ところが、私の夫という人は非常に物が多いタイプ(捨てられないタイプ)で、前に住んでいた狭いマンションのときには、家が夫の物であふれかえっていた。

引越しの際、バンバン物を捨てたのだが、その7割は夫のものだった。もう思い出したくもない。

そんなだから、新しい家では、極力物を増やさ

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土曜の夜は

土曜の夜は

週末は、1日中息子といられる楽しい時間である。

少しでも楽しい時間を過ごしたくて、まだ自動車免許を取得していない私は、電動自転車に息子を乗せ、どこまででも行く。

今日は、自転車で行けるというファーマーズマーケットに行ってきた。少し足を運ぶだけでこんなにのどかな風景が広がっているのか、と驚きながら、畑のなかを続く小道を進んだ。

そこで買った新鮮な野菜は、驚くほどおいしかった。都内にもすぐだし、

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緊張という壁

緊張という壁

私はいわゆる「緊張しい」である。多感な頃には、緊張のあまり過呼吸になってしまうことも珍しくないほどだった。

そんなものだから、未知なることに挑戦するときの「緊張」という壁がものすごく高い。そのために尻込みしてしまい、気づけばずいぶん時間が経ってしまった……なんてことも多々。

しかし、「緊張」の壁をいちど登ってしまったら、堰を切ったようにがんばりはじめるのが、私という人間である。

それならさっ

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インタビュアーデビューの感想

インタビュアーデビューの感想

今日、はじめて「インタビュー」をした。

詳細は追って報告したいのだが、とにかく素晴らしい時間だった!お相手の方が理路整然とわかりやすく話してくださり、非常に助けられました……ありがとうございます。

これから文字起こしをしたり、構成を練ったりして記事を完成していくわけだが、私はインタビューがものすごく好きだな、と感じた。

お相手の輪郭がどんどんみえてくるというか、インタビューを通じてその方のこ

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親友からの感謝状

親友からの感謝状

とかく、私の身近には「死」が多い。親戚付き合いが盛んだからかもしれないけれど、一番は私の母の存在が関係しているのだろう。

母は自らを「おくりびと」と称するほど、たくさんの人の死に立ち会ってきた。姑、大姑、自分の父親……。死に立ち会うということは、彼らの介護をしていたということだ。

美容室を経営し、子育てをし、協力的とは言い難い(娘の目線からだが)夫を持ちながらの介護は、どれほど大変だったろうか

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こんなの、はじめて!

こんなの、はじめて!

GW中に訪れたショッピングモール。吹き抜けの天井いっぱいに泳いでいる大量の鯉のぼりをみて、息子が「こんなの、はじめて!」と目を輝かせた。

その様子があまりにもかわいくて、網膜でもシャッターを切れたらいいのになぁ、なんて思ったものだ。

息子の感性には、日々驚かされる。強い風が吹けば「かぜがうたってる!」と叫び、地震があったときには「じしん、もうおうちにかえったの?」と聞いてきた。

私がとっさに

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