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《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法   その12 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-⑥「一人だけ、話し続ける子ども」

事例6「今、何を聞くのか」が自動的にできない
    ので、先生が話し始めたことに気がつか
    ないで喋っている子ども

 小学校3年生のクラスです。1時間目の授業を始めようと「えー、今日は…」と話し始めたが、みんな口々に話していてなかなか静かにならない。先生が仕方なく「静かにしないさい」と怒鳴ったら、さすがにみんな先生が話し始めたことに気がついて、シーンとなった。
 しかし、F君だけが、一人だけまだしゃべっていて全然黙る気配がない。
話されている、相手の子も迷惑顔だ。

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【解説】先生が「静かにしないさい」と怒ってから、初めてこのクラスは静かになっています。ということは「先生が話し始めたら、どうする」かというクラスルールがしっかりと定着していないことになります。
 その上、F君は先生が怒鳴っても先生の言葉が耳に入っていません。
   ・注意集中が全く先生に向いていない
   ・聞く力が大変弱い
   ・先生のことなど全く気にしていない
これのうちのどれかなのでしょう。

 この様なクラスは「先生が話し始めたら、今やっていることをやめて、先生の話を分かろうと思って先生の方を見る」というルールを徹底して覚えさすことが必要です。それには、クラス全員でこのルールを大きな声で唱えていくといいでしょう。

【セリフ】
 ここでは、クラス経営として「先生が話し始めたら、今やっていることをやめて、先生の方を見る」などのルール作りをやっている前提で書きます。

先生「F君。話しやめてくれますか?」

F君「なぜ?」

先生「今、お友達と話したいんだね(「想像」)。それは悪くないよ(「共
   感」
)。授業中じゃなければね。でも、今、1時間目が始まりまし
   た。授業中です。授業中、先生が話し始めたらどんなルールでした
   か?」

F君「やっていることをやめて、先生の方を見る。」

先生「F君偉いじゃないか。よく覚えていたね(「共感」)。じゃ、どうし
   て話を止めて、先生の方を見てないのかな?」

F君「分かった。」

先生「『分かった』じゃないよ。そ言うときは『すみませんでした。次から
   気をつけます』と言わなくては(「覚えて」)。分かったかな。じ
   ゃ、言ってみて。」

F君「すみませんでした。次から気をつけます。」

先生「よく、言えました(「共感」)。今回は許しておきましょう。
   みんなも、頼むよ。先生が話し始めたら、今やっていることをやめて
   先生の方見てよ。分かったね。じゃ、大きな声で1回言っておきまし
   ょう。」

皆「先生が話し始めたら、今やっていることをやめて先生の方を見る!」

先生「はい、よくできました。では、1時間目の授業を始めるよ。」

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