こそ泥は朝のうちにやってくる。

 今日は六月九日。

 語呂合わせでロックの日なのだそうだ。

 音楽のロックももちろんだが、ほかにも防犯の鍵をかける意味でのロックの日でもあるらしい。
 
 私が子どもの頃には家に鍵をかける習慣が無かった。

 なので小さい頃には鍵を持たずに暮らしていた。

 日中は祖父や祖母、母が家にいる事が多かったので完全に留守になることは少なかった。

 たまたまみんなが出かけていても家に帰れば玄関に鍵がかかっていなかったので自由に出入りすることが出来た。

 そんな大らかな環境だったが、ある時隣の家に空き巣が入ったことがあった。

 隣の家はお婆さんの一人暮らしで出かける時には必ず鍵をかけていたそうだ。

 空き巣は窓ガラスを割って侵入しており、仏壇に置いてあった結構な額の現金を盗られたという話だった。

 泥棒の嗅覚と言うのは大したもので金目のものが何もない我が家は全くのスルーだった。

 それでもお巡りさんがやってきて不用心だから家を空ける時は必ず施錠するようにと指導された。

 それから家の玄関に鍵をかけるようになったが隠し場所は玄関マットの下という防犯意識の低さが顕著に現れる始末だった。

 さすがに今は鍵を隠さずに持ち歩くようにしている。

 父も母ものどかな人なのでいまいち危機感が無いと思う。

 空き巣と言えばもう一つ妻が若い頃に被害に遭ったことがある。
 
 いつもと同じように出かけて帰った時に何か違和感を感じたそうである。

 おかしいなと思ってタンスの引き出しを開けるとそこにしまってあった現金を根こそぎやられていたそうである。

 たまたま家賃の支払いで用意していたお金で被害金額は七万円だったと言っていた。

 すぐに警察に連絡して犯行現場になった寝室で指紋の検出も行ったが犯人につながる手掛かりは何もなかったとのこと。

 その頃妻はアルバイトでギリギリの生活をしていたのでこの被害は生活に大ダメージで消費者金融から一時的にお金を借りて凌いだそうである。

 その悔しさと犯人の憎さから今でも防犯意識はかなり高い。

 例えば歩いて五分のごみステーションに二人でごみを捨てに行くときも必ず施錠をする。

 日中に家にいても換気で窓を開ける以外は鍵をかけっぱなしである。

 何もそこまでと思わないでもないが、一度でも被害に遭った悔しさはずっと忘れられないらしい。

 まあ我が家も金目のものは一切ないので空き巣の犯罪ネットワークには登録されていないと思うが油断はできないので備えはしておきたい。

 そんなロックの日の思い出を語りつつ昨日の晩御飯の話を少しばかり。

 昨日は牛肉が安かったので久しぶりにステーキをメインにした。

 焼く三十分前に冷蔵庫から取り出して常温に戻しておく。

 その間に副菜づくり。

 ジャガイモをよく洗って皮を剥いて細切りにする。
 
 ベーコンも細く切って火を点けて温まったフライパンに入れる。

 油が跳ねるようになったらそこにじゃがいもを加えて炒める。

 ジャガイモが透き通ってきたらそこに水を加える。

 煮詰めるように炒めたら味付けは白だしと砂糖を少々。

 仕上げにタバスコを隠し味に振りかけたらジャガイモとベーコンのさっぱり炒めの完成。
 
 汁物はプチトマトのみそ汁を作る。

 それからメインのお肉を焼いていく。
 
 お肉は二人で食べるには少々量が少なかったのでキノコでかさましをする。

 シイタケを細切りにする。

 牛肉も一口サイズに切り分けて軽く塩を振って下味をつける。

 フライパンに牛脂を入れて溶けたらシイタケを投入。

 全体がクッタリしたら牛肉を加える。

 火加減を強火にして一気に焼き上げる。

 塩コショウを振ってからウイスキーでフランベ。

 盛大に炎が上がるので髪の毛が焦げないに注意しつつ炒めていく。

 火が収まったらお皿に盛る。 

 フライパンに残っている脂には美味しさが詰まっているのでこれを逃す手は無い。

 再び火にかけて醤油とウスターソース、ケチャップを加えてとろみが出るまで煮詰めたら即席ソースの出来上がり。

 うん、まぁこんなもんかなと思って晩御飯だよーと妻を呼ぶ。

 はいはい、とやってきた妻とまずは乾杯。

 昨日のお酒は定番のビールでスタート。

 ファッピュとプルタブを起こしてグラスにトコットコッと注ぐ。

 ではではと言いながらグラスを傾ける。

 クビビッと飲むと喉がヨロコビの声をあげる。
 
 ククッ、はぁ美味いと思う。

 ではまずは炒め物からとジャガイモに箸を伸ばす。

 ベーコンの塩気と白だしの旨味と砂糖のほんのりとした甘さが合わさってお酒のつまみにはもってこいである。

 ジャガイモは父の畑で採れたものなで素材に間違いはない。

 ホックリとしておりベーコンとの相性も抜群に良い。
 
 ホグホグと食べながらみそ汁を飲む。

 トマトのみそ汁は酸味があってさっぱりしている。

 今位の時期から夏が終わるまで楽しめる変わり種のみそ汁だ。

 ではいよいよメインのステーキに狙いを定める。

 お肉と一緒にシイタケをつまんで口に運ぶ。

 レアのステーキとクンニャリしたシイタケの組み合わせが面白い。

 シイタケも旨味の濃い食材なのでお肉の良さを引き出してくれていた。

 付け合わせとして有能だなぁと思いつつお肉をモグリ。

 妻もステーキは好きなのでパクパク食べていた。

 二本目のビールを飲みつつゆっくりと食べてご馳走様。

 お酒は控えめだったので偉いと思う。

 さぁて今日は週末、何か楽しい晩御飯にしたい。

 妻の好物を作ろうかしら。

 そうなるとあれとこれを買い足して…と。

 よし何となくイメージは固まったぞぅ。

 鼻歌交じりにレッツクッキング♪


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