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【週末投稿】つれづれ有用植物#229(ヒガンバナ科ネギ属:ノビル)

人里の手の入った土地に生える、野生のネギとして有名なのが今回ご紹介するノビルです。ノビルは東アジアに広く分布しており、日本では北海道から沖縄までの山野、土手、道端、畦道や堤防上などで、比較的日当たりの良い丈の低い草が生えているところによく自生している多年草です。
ネギ科だけあって、全体の姿や臭いは小ネギやニラに似ています。

春の代表的な山菜の一つで、古来から薬草としても用いられてきたそうで、滋養強壮や食欲増進に役立つとされています。

【ノビルの群生】

晩秋から少しづつ細長い葉を伸ばして越冬し、春には上記の写真の様に少々黄緑に近い細葉が群生して生えます。
周囲の雑草たちが勢いよく伸び始める頃に、花を咲かせその後にムカゴをつけて繁殖します。

ノビルの開花
花が咲き終わるとムカゴが出来ます

ムカゴが出来た後は、散布体としてポロポロと地上に落ちて新しい個体になって繁殖します。地下の球根も盛んに分球する事で株が増える事でも群生を作ってゆきます。
気温が夏に近づいてくると、親株の地上部は枯れて地下の球根は休眠して気温が下がる秋を待ちます。

葉と地下の球根は食用になり、古代から食べられていたといわれいます。
知る人ぞ知るで、結構都内でもちょっとしたところに生えている事があります。

若芽を鱗茎ごと掘りとって利用し、陽だまりに生えている所ではで2 ~ 3月頃、他のところでは4 ~ 5月ごろが収穫適期となります。

味はネギやラッキョウに似て、多少の苦みと鮮烈な辛みがあります。
軽く炙ったり、熱を加えると辛味が和らぎ、甘味が出ます。
ムカゴは、香辛料としても利用されています。

葉は万能ネギやニラに準じて用いられ、鱗茎は酒の肴として生やゆがいて酢味噌などの味付けで食べる他に、軽く湯通ししてぬたにしたり、みそ汁の具や薬味としても用います。
鱗茎は醤油漬けや酢漬けとして調理されたり、若芽は天ぷらにして楽しまれています。灰汁抜きをする必要がなく、塩漬けや味噌漬けで保存もできます。意外と身近にある万能山菜です。

ノビルのぬた
【葉を利用したパスタ】

ノビルに似た毒草として、スイセンが有名です。
以下の動画を参考にされて、採取する時は十分に気を付けて頂ければと思います。よく野生のニラと間違えて水仙を摂取してしまい、事故になる例が過去にあります。

■野草ノビルの見分け方と似た毒草と無限ループ栽培方法 自給自足
(約18分強)

【ぴかる】田舎一人暮らしの食卓事情ch 様

ネギ属として見た目が近いものに「ワケギ」というものがあります。こちらはネギと玉ねぎの交雑種として、葉や茎はネギよりしなやかで、地下部は赤褐色に肥大します。こちらは生産栽培がされています。

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