見出し画像

【週末投稿】四季がある日本のバナナ #29(遺伝子分類と耐寒性)

バナナ愛好家やマニアのディープな世界では、珍しい品種を探し出し、個人輸入をして育てている人が少なからず居る。品種選定の一つの指標として、「遺伝子分類」を参考にする場合がある。

現在の種なしバナナの殆どは、acuminata (A-genome) と、 balbisiana (B-genome) という原種のバナナ雑交により多くの品種が出来、そして何かのきっかけで2倍体のバナナと4倍体が雑交(掛け合わせ)して、現在の3倍体のバナナ(種なし)が出来たのである。そして人の手によって種なしバナナを選択・選抜して、植えられ広められ今の多彩な種なしバナナが広まったのである。

遺伝子解析では、acuminata と balbisiana の組み合わせにより、さまざまな組み合わせのバナナを「遺伝子分類(Genetic Group )」という表現を使う。acumnata だけの3倍体は(AAA)と表現し、同様に balbisiana だけの3倍体は(BBB) と表現される。あとは交雑の組み合わせにより(AAB)とか(ABB)などの「遺伝子分類」型のバナナが存在する訳だ。また、acuminata の突然変異により(AA)でも種なしが出来た。

balbisiana は、acminata より耐寒性があるという特性がある。そのため、遺伝子分類で "B" 表記が多いバナナほど耐寒性があるという定説がある(あくまでも説であり、学問的に証明されている訳ではない)。例えば、日本の市場の殆どが Cavendish という品種であるが、これは遺伝子分類で(AAA)である。この品種は耐寒性が無いために、沖縄や石垣島などの暖かい所以外では、露地で越冬が困難である。しかし、IceCream(AAB)、Namwa(AAB)、Orinoco(ABB)、Saba(ABB)  などは、比較的耐寒性がある。

すなわち、バナナマニアたちは、この遺伝子分類(Genetic Group )で "B"の組み合わせが多いものを選らぶ場合がある。実際に、IceCrema、Namwa、Orinoco バナナは比較的耐寒性がある。

さて、ここまでは acuminata と balbisiana の組み合わせによるバナナ分類について解説してきた。しかしこれら2つの原種バナナによらずに独自に進化してきたバナナもある。Fei Banana が有名であり通常のバナナと違い実が空に向かってそびえ立つ様に出来る。バナナの進化は奥が深いようだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?