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【週末投稿】つれづれ有用植物#224(センダン科センダン属:センダン)

原産地のミマラヤ山麓のほかに、中国・台湾・朝鮮半島南部および日本などの乾燥した熱帯から温帯域に分布し、20mくらいにまで成長する落葉高木です。日本では、伊豆諸島、四国、九州、沖縄の海岸近くや森林辺縁に多く自生する分布していますが、宮城県以南であれば植栽はできる様です。
日向であれば土質を問わず丈夫に育ち、花や実をつけます。

庭木や公園、寺院、街路樹にも植えられ、薬傷植物の一つとしても知られています。

ちなみに同じセンダン科でインドを原産とする「インドセンダン(ニーム)」は常緑樹で、葉や樹皮に昆虫の生育を阻害する成分を含んでおり、日本でも「虫除けの木」として苗木が流通しています。

センダンの開花は初夏です。
花はその年に伸びた枝葉の基部にまとまって咲きますが、たいていは高い場所に咲くため観察が難しいです。

【センダンの花】

9~12月ごろに熟すクリーム色の大きな果実は、枝先で鈴なりになり、遠目からもよく目立ちます。その姿は数珠がたくさんあるように見えるため、「千珠」と呼ばれ、それが変化してセンダンとなったとする説や、千団子祭の団子になぞらえたとする説などがあるそうです。
種子の直径は1.5~2センチほどで数珠に使うことができます。

果実は落葉後も枝に残り、ヒヨドリ、ムクドリ、ミヤマガラスなどの野鳥は好んで食べますが、人間にとっては不味くて食用になりません。
サポニンを多く含み、五粒以上食べると嘔吐、腹痛、胃炎、呼吸停止を引き起こすとされています。
漢方ではセンダンの果実を「苦練子」と呼び、整腸、鎮痛、あかぎれ、ひびわれに使われます。苦楝皮はかつて「日本薬局方」に収載されていましたが、より有効な合成医薬品が台頭しため、今では収載品ではなくなりました。民間療法では果肉をそのまま擦り込んだり、煎じてつけて手当をしたそうです。

樹皮は虫下し、葉は虫除けにするなど利用されています。

材は建築・器具用材や家具にもなり、下駄の材や仏像彫刻に使われたこともあったそうです。ミンディ材と書かれているのはこのセンダン材を示します。苗を植えて15 - 20年で木材に製材できるので、熊本県の天津市では中間地域にある耕作放棄地の活用策として植林されているそうです。

■センダン 春のころ枝先に散状花序を出し芳香性のある薄紫色の花を密に咲かせた開花風景令和4年~種子島の植物(4分)
akameeba

■センダン(栴檀)(2023年5月24日)(3分弱)
【公式】京都府立植物園

■【製材】栴檀(センダン) Chinaberry(約45分)
きりしま木材 kirishima sawmill

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