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詩「1234」   2018 5 28

1 捕まえたはずの鳥がするりと手を抜け木々の向こうに到達している
2 必ず守ってねと言われた約束を守っている途中で約束を破られる
3 こちらを見ている奴の目を見ないように顔を下げ太ももに爪を立てる
4 あいつの家の嫁さんがよだれをたらしながら何度も俺を誘ってくる

1234

1 聞き耳を立てている人間がどれだけいるかについて密かに確かめる
2 どれだけ多くのものを壊せるかを聞くために電話をかけまくる
3 信実がどこにあるかを知るために着ている服を順に脱ぎ散らす
4 豪雨でも爆発は起きるかどうかを調べるために火薬だけ用意する

1234

1 予測される事態に注意していままでに書き出したモノを買い漁る
2 金にかえられないものに気をとられないように端から捨てていく
3 心の暴動をまだ抑え用意周到に準備するガレージの戸を閉める
4 計画を遂行するための全方位に配慮して喜びを配置し始める

1234

1 入口に集まるところを狙って息を止めてからかためて打ち殺す
2 手の届くところに逃げてきた泣き叫ぶ頭を軒並み叩き割る
3 最後に辿り着く井戸の水に渾身のバイラスをこれでもかとまき散らす
4 血みどろの中から君を探し出し交差点の真ん中でかたく抱きしめる

1234


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最後まで読んでいただいてありがとうございます。この詩は過去に発表したものを再掲載しています。

あなたに会えて幸せです。

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