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松下幸之助と『経営の技法』#47

4/2の金言
 愛されるような仕事をする。それができない人は必ず失敗する。

4/2の概要
 松下幸之助氏は、以下のように話しています。
 ビジネスマンとしての一番大事な責任は、みんなに愛されることである。ビジネスマンはみんなに愛されないといけない。あの人がやっているならいい、物を買おう、とならなければならない。そのためには、奉仕の精神が必である。愛されるような仕事ができない人は、必ず失敗する。

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 まず、社長が率いる会社の内部の問題から考えましょう。
 会社は、社会に受け入れられなければなりません。
 なぜなら、会社が社会の一員として活動し、その活動を通して継続的に利益を上げようとする存在だからです。近時の食品や産業素材に関する品質偽装に関し、多くの会社が、言わば社会的制裁を受けていることが、このことを如実に表しています。
 会社が社会に受け入れられるための議論は、非常にたくさん行われています。最近は、CSRやIRなどがこれに該当しますが、コンプライアンスという言葉にも、本来そのような意味が含まれていました。また、会社は誰のものか、というステークホルダー論も、この議論に繋がります。
 そして、会社が社会に受け入れるためには、経営者だけが表面を取り繕っているだけでは駄目です。特に、従業員個人の自由な情報発信が可能な現代社会では、内部告発によって簡単にな以上が暴露されますし、仮にそのようなことがなくても、取引先や顧客に簡単に見抜かれます。
 したがって、従業員にも社会性を持ってもらうことが重要です。それを、松下幸之助氏は従業員の義務としてではなく、ビジネスマンとして成功するための心構えとして説いています。従業員の規範として強制する傾向が強い問題ですが、松下幸之助氏の時代に、このように従業員への動機づけを考えた説明方法は、非常に参考になる方法です。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 次に、ガバナンス上の問題を検討しましょう。
 株主と経営者の関係で見た場合、経営者の素養の重要な要素が、社会性である、と指摘できます。
 しかし、それだけではありません。
 株主にも社会性が必要です。これは、特に短期的な利益だけを追求するかつてのアメリカ市場での株主の行き過ぎた要求が、利益至上主義の弊害をもたらしたと非難されることからも明らかなことです。投資家自身の社会性が求められることは、例えばスチュワードシップコードとして定められているだけでなく、CSRのはっきりした企業に投資するファンドが流行する点からも、明白です。

3.おわりに
 社会性、という観点から見ると、経営者、従業員、株主、すべてに必要とされるものであることがわかります。会社が社会の中で活動し、そこから利益を得ていることから、明らかですが、実際にはなかなか難しいものです。
 どう思いますか?

※ 「法と経営学」の観点から、松下幸之助を読み解いてみます。
 テキストは、「運命を生かす」(PHP研究所)。日めくりカレンダーのように、一日一言紹介されています。その一言ずつを、該当する日付ごとに、読み解いていきます。


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