「天国と地獄どっちに行くかって、どうやって決まるの？」
まだ5歳だった私が問いかけた。
地獄についての絵本を読んだ後だった。

「うーん…悪いことをたくさんした人は地獄に行くんだよ」
母が答えた。

悪いことって、なんだろう。

「ママは死んだら地獄行きだよ、きっと。」
物憂げな表情で、そう呟く母。

「なんで？」

「ママね、弟に『キャラメルあげる』って言ってコンソメ食べさせたことあるんだよ」

「かわいそう笑」
イタズラ好きのお母さん、いかにもやりそう。
その後どんな反応されたのかな。

「あとね、弟を自転車の後ろに乗せて走ったら、弟の足巻き込んじゃって、怪我させちゃった。
次の日、弟は遠足だったのに、私のせいで行けなくなった」
お母さんは優しいから、相当後悔しただろうなぁ

「他にもいろいろ、悪いことしたから。ママは天国には行けないんだ」
他にもいろいろ、の意味が今になってわかったよ。
だけど、
流産も、病気も、入院も、
お母さんのせいなんかじゃないよ

天国には行けないなんて、悪いことたくさんしたなんて、そんなことないよ、
お母さんは、私の自慢のママだよ

って、あの時ちゃんと言っておけばよかった。

あれから2年後、
お母さんはこの世を去った。

きっと、天国にいけたよね。

とってもとっても、優しくて。
人のことばかり優先する、そんなお母さんだったから。

「私が天国でいいんですか？？」
なんて、言ってそうだなぁ。

「自殺したら地獄に行くんだよ」

祖母に、何度も言われた言葉。

お母さんに、会えないところだった。

1度間違えちゃったけど、このまま、まともに生きれば、お母さんのところに行けるかな。

だめかな。

ごめんね、
せっかく産んでくれた命、自分で捨てようとして。

きっとあなたが生きていたら、
あの人みたいに、たくさん泣いたんだろうなぁ  

もしかして、天国から見てた？
ごめんね、ほんとに。

もうしないから、

したいけど、しないから。

ちゃんと、天国に行けるように頑張るね