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吃音の不思議

うちの三番目の子、ミコの吃音の記録をつけ続けて四ヶ月。

なんとなく今日はいいかな?今日は悪いかな?と思っていたのが、記録をつけると何日間良くてこの日からまた悪くなったとか、そういうバイオリズムみたいなものがはっきりとわかって興味深い。

そして、「私の調子が悪いときに吃音も悪くなる」と確信に近いものがあったのに、私がイライラしたり落ち込んでいる期間に吃音が良くなっていく様子もあって「???」だった。

私の体調は無関係ではないけれど、毎回毎回同じ結果になるものでもないらしい。

そもそも、主観的に「私は今落ち込んでいるな」と思っていても、周りにはそう見えていないという事だってある。

そんな簡単なものではないのだ。

そして、この一ヶ月。なんと、ミコは人生で最大に吃音が少ない。

年中さんのミコは絶賛成長中で、脳も成長してくれたのか。何か楽しいことでもあったのか。それとも、吃音がよくなってきたところに、感染症のあれこれで保育園の閉鎖が重なり、家でゆっくり過ごしたあの数週間が逆に良かったのか。よくわからないけれど、とにかく少ないということが喜ばしい。

ただ、もともと目立っていた「あああああ、あのね」という繰り返しがなくなったというだけで、話をするときに大きく深呼吸する様子や、言葉をうまく出そうとして指折り数えるような仕草はまだある。

更に、症状が変わってきて、新たな発見があった。

吃音には

「ああああ、あのね」(繰り返す)
「あーのね」(引き伸ばす)
「………あのね」(つまる)

の三種類があって、ミコは繰り返しとつまりだけだと思っていたのが、繰り返しがなくなったことにより、引き伸ばしもあることに気付いたのだった。

いや、言語の先生は気付いていたのかもしれない。

繰り返しやつまりは、本人も苦しそうで目立つけれど、引き伸ばしは「そういう喋り方の癖なのかな?」と思うくらいで、あまり目立たない。

現状で言うと、その引き伸ばしも一日に数回気が付くくらいで、そこまで頻繁でない。

でも、「ミコ、あなた三種類全部あるじゃないの!」と気がついたのは、それなりに驚きではあった。

「三種類全部ある」
「今は一ヶ月も調子が良い」
「呼吸や手の動きはまだ継続」

観察結果を今後に活用できたらいいけれど、そこからの分析結果がない。

今後ミコがもっと話すのが楽になったら良いし、もし何か私がミコに良い影響を与えているのだったら、それを教えてほしいのに。

何にもない。

【吃音って不思議なもんだなあ】

そんなぼうっとした感想だけを残して、私は今日もこどもたちのご飯を作る。

吃音の見届人にできることは、そのくらい。あとは、自分の人生をサボらないことくらい。

吃音が属する分野は、サイエンスのどれかなんだろうし、模範的な話しかけ方なども教わった。

でも、見えないものと共存する当事者としては、生活にゆとりを持つとか、心を健やかに保つとか、そういう数値化されないアプローチも大変気になる。

それだってただの気休めで、効果があるかどうかもわからない、と知りながら。

わからないまま暮らしていく。



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