和合亮一

詩人 「未来の祀り」/М×М×TOKYO 発起人  毎日新聞・共同通信・産経新聞・河北…

和合亮一

詩人 「未来の祀り」/М×М×TOKYO 発起人  毎日新聞・共同通信・産経新聞・河北新報・福島民報新聞や雑誌などに連載中  ラジオパーソナリティー(RFC、KBS、HBC) 新作随時掲載中 → http://wago2828.com

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記事一覧

雨がやさしさを降らせているままに

 雨がやさしさを降らせているままに空は目を閉じて わたしはずっと話しつづけたいのに 風がこの部屋を出ていってから ずっと独りぼっちで 世界をつつみこむような 孤…

和合亮一
4年前
31

野原でそっと揺れている木は孤独だ

野原でそっと揺れている木は孤独だ、風は手のひらと葉裏とを連れてくる、いろんな寂しさが吹かれている、静寂の音楽が高鳴ると、見えない四本足が、しなやかに駆け抜け…

和合亮一
4年前
18

お知らせです

和合亮一オフィシャルホームページ ほぼ2年ぶりに 更新いたしました 書き下ろしエッセイ「本棚の前で話しませんか」を新作24本(!)と ショートエッセイセレクショ…

和合亮一
6年前
2

歌でも歌いたいところなんだけど

歌でも 歌いたい ところなんだけど  窓にもたれて  夜が更けていくのに  まかせて  口笛を吹いてみる  心の中で  ずっと  風が吹いているから  口をすぼめて  息…

和合亮一
6年前
15

ナイフ

さびしさは 果物の内側にある  それを探し当てたくて  わたしはナイフを入れる  甘い果肉も  したたる汁も  いらない  たった一個の  泣きたくなるような …

和合亮一
6年前
10

風が吹くのを待つのではない こちらから吹かせるのだ 
告知 ふくしまからこえをあげる 「未来の祀り」 
8月27日(土)午後1時から 福島市 本法寺にて
詳細 http://www.mirainomatsuri-fukushima.jp/

和合亮一
7年前
4

風が吹くのを待つのではない こちらから吹かせるのだ 
イベント告知 ふくしまからこえをあげる 「未来の祀り」 
8月28日(日)午後1時から 福島市稲荷神社にて
詳細 http://www.mirainomatsuri-fukushima.jp/

和合亮一
7年前
3

静かな音楽のあとで

詩 和合亮一 曲 伊藤康英 歌 見角悠代

和合亮一
8年前
9

静かな音楽のあとで

静かな音楽のあとで わたしたちは 語りださなくてはならない どんなに それぞれが 小さくて弱い人間で ひとつひとつのことに傷ついているのかを 静かな音楽のあとで…

和合亮一
8年前
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圏外へ

「生活圏外の森林は除染しない方針 土砂流出など懸念」 (2015・12・21)  生活圏とは何ですか  生活圏外とは何ですか  たとえば日本圏とは何ですか  日…

和合亮一
8年前
3

和合亮一 開沼博 JFN 全国ネット「サードプレイス」「この震災を語る本当の言葉を探して」ノーカット版 ポッドキャスト配信中→ http://www.jfn.jp/News/view/place_wk/33338

和合亮一
8年前
1

エッセイ「駅から駅へ」

 横並び。私の右側では、大学生らしい若者が二人、何も語らずに席に座っている。一言も言葉を交わしていない。すぐ隣の彼は「ティファニーで朝食を」を熟読し始めて。もう…

和合亮一
8年前
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エッセイ「その子守唄に耳を澄ませたい」

 「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの」。中学の頃。机の上で国語の教科書を見るともなしに眺めていると、母が後ろから覗き込んできた。この世に数…

和合亮一
8年前
3

エッセイ「少し歩いていった先に」

 キンコンカンコン。チャイムの音は教師をしていて、いつも傍らにある。時の知らせ。正確な音。授業開始、休み時間、清掃…。  教室にいるたくさんの人々が一斉に行動…

和合亮一
8年前
1

心のなかで 火が燃えている 誰かと話していると いつも熱い思いがこみあげてくる これが情熱なのだということに気づく 胸のなかで 火が燃えている 何が正しいのか …

和合亮一
8年前
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中澤沙央里ヴァイオリン・コンサート 「シャコンヌ ~そこに響くもの~」:トーキョー・ストーリー2014 第3期

中澤佐央里さんのヴァイオリンとのコラボレーション 無声音のリーディングを試みました ワンダーサイト渋谷 - トーキョーワンダーサイトにて

和合亮一
8年前
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雨がやさしさを降らせているままに

雨がやさしさを降らせているままに

 雨がやさしさを降らせているままに空は目を閉じて わたしはずっと話しつづけたいのに 風がこの部屋を出ていってから ずっと独りぼっちで 世界をつつみこむような 孤独といっしょに 口ずさむのだ 光と雲と海と大地の歌を それはわたしもあなたも知らないメロディ これから出会う鳥の羽の白さ  
    
 雨がかなしみを降らせているままに空は目を閉じて わたしはずっと話しつづけたいのに 風がこの部屋を出てい

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野原でそっと揺れている木は孤独だ

野原でそっと揺れている木は孤独だ

野原でそっと揺れている木は孤独だ、風は手のひらと葉裏とを連れてくる、いろんな寂しさが吹かれている、静寂の音楽が高鳴ると、見えない四本足が、しなやかに駆け抜けていく、雲の涙に濡れるようにして、茨の冠を頭に飾って、無人の5月が急ぎ足で、心にひづめの跡を残していって、ハイヤ、ハイヤ。

 野原でそっと揺れている木は孤独だ、風は音楽のミューズを招いて、その歌声はたおやかでこぼれるほどの光を降らせて

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お知らせです

お知らせです

和合亮一オフィシャルホームページ ほぼ2年ぶりに 更新いたしました 書き下ろしエッセイ「本棚の前で話しませんか」を新作24本(!)と ショートエッセイセレクション「小さな窓を探して」を17本(!) 計41本 先ほど一挙掲載となりました → http://wago2828.com

歌でも歌いたいところなんだけど

歌でも歌いたいところなんだけど

歌でも
歌いたい
ところなんだけど 
窓にもたれて 
夜が更けていくのに 
まかせて 
口笛を吹いてみる 
心の中で 
ずっと 
風が吹いているから 
口をすぼめて 
息を 
優しく 
涙が出てくるね 
×
さびしさは 
果物の内側にある 
それを探し当てたくて 
わたしはナイフを入れる 
甘い果肉も 
したたる汁も 
いらない 
たった一個の 
泣きたくなるような 
種子が 
真ん中に 
確実に

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ナイフ

ナイフ

さびしさは

果物の内側にある 

それを探し当てたくて 

わたしはナイフを入れる 

甘い果肉も 

したたる汁も 

いらない 

たった一個の 

泣きたくなるような 

種子が 

真ん中に 

確実に 

あればいい 

皮を剥けば 

涙が流れる 

白い秋だ

風が吹くのを待つのではない こちらから吹かせるのだ 
告知 ふくしまからこえをあげる 「未来の祀り」 
8月27日(土)午後1時から 福島市 本法寺にて
詳細 http://www.mirainomatsuri-fukushima.jp/

風が吹くのを待つのではない こちらから吹かせるのだ 
イベント告知 ふくしまからこえをあげる 「未来の祀り」 
8月28日(日)午後1時から 福島市稲荷神社にて
詳細 http://www.mirainomatsuri-fukushima.jp/

静かな音楽のあとで

詩 和合亮一 曲 伊藤康英 歌 見角悠代

静かな音楽のあとで

静かな音楽のあとで

静かな音楽のあとで わたしたちは

語りださなくてはならない どんなに

それぞれが 小さくて弱い人間で

ひとつひとつのことに傷ついているのかを

静かな音楽のあとで わたしたちは

語り 涙を拭かなくてはならない どんなに

とめどない 悲しみが眠っていて

ふとしたことでそれがあふれてくるのかを

静かな音楽のあとで わたしたちは

語り 手をにぎり わたしは木となり

あなたは風となり わ

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圏外へ

圏外へ

「生活圏外の森林は除染しない方針 土砂流出など懸念」

(2015・12・21) 

生活圏とは何ですか 

生活圏外とは何ですか 

たとえば日本圏とは何ですか 

日本圏外とは何ですか 

現在 〈生活圏外〉よりイノシシなど 

多数の野生動物が 

〈生活圏〉へと移動してきています 

この動物は〈動物圏外〉ですか

私たち日本人はあの日から幽霊と暮らしています 

巨大なものの影と暮らして

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和合亮一 開沼博 JFN 全国ネット「サードプレイス」「この震災を語る本当の言葉を探して」ノーカット版 ポッドキャスト配信中→ http://www.jfn.jp/News/view/place_wk/33338

エッセイ「駅から駅へ」

エッセイ「駅から駅へ」

 横並び。私の右側では、大学生らしい若者が二人、何も語らずに席に座っている。一言も言葉を交わしていない。すぐ隣の彼は「ティファニーで朝食を」を熟読し始めて。もう一人はスマホで「ぷよぷよ」を熱心にやり始めた。いつまでも会話はない。

 しばらくすると本から顔を離して、少しだけ首をかたむけてきっぱりと言った。「ガム食べる?」「いらない」。そしてまた二人は、押し黙ったままでそれぞれの世界に没入していった

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エッセイ「その子守唄に耳を澄ませたい」

エッセイ「その子守唄に耳を澄ませたい」

 「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの」。中学の頃。机の上で国語の教科書を見るともなしに眺めていると、母が後ろから覗き込んできた。この世に数多くある詩の中で、これが一番好きだと言った。ちなみに母の故郷は隣町であり、バスで三十分ぐらいの道のり。例えばどんなに近くたって、簡単には帰れないものなのよ…。そのような会話をしているうちに、この二行から静かに染み入るような慕わしさと寂しさと

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エッセイ「少し歩いていった先に」

エッセイ「少し歩いていった先に」

 キンコンカンコン。チャイムの音は教師をしていて、いつも傍らにある。時の知らせ。正確な音。授業開始、休み時間、清掃…。

 教室にいるたくさんの人々が一斉に行動を開始する。例えばただいま現代文の授業を担当しているが、話し足りないことがあったとしても、切り上げなくてはならない。 

 少し歩いていった先に学校がある。たまに代休などがあって、平日に家にいたりすると、学び舎のチャイムを耳にする。

 

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火

心のなかで 火が燃えている

誰かと話していると

いつも熱い思いがこみあげてくる

これが情熱なのだということに気づく

胸のなかで 火が燃えている

何が正しいのか 間違っているのか

それが分かってくるといい

正しさは煙をあげないと見えないものだから

言葉のなかで 火が燃えている

傷をつけてはいけない人に

出来るだけ やさしく話しかけたい

話したいことをあぶりなおしている

手のな

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中澤沙央里ヴァイオリン・コンサート 「シャコンヌ ~そこに響くもの~」:トーキョー・ストーリー2014 第3期

中澤佐央里さんのヴァイオリンとのコラボレーション 無声音のリーディングを試みました ワンダーサイト渋谷 - トーキョーワンダーサイトにて