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祖母をがっかりさせた授業参観と空気の読めない私と、それを良しとしてくれた父のバランス


父子家庭育ちなのは、何回も書いています。


授業参観なども全て祖母が来てくれていました。

小学校のうちはまだ元気だったし、自分で動けたので、それは本当にありがたいなぁと思っています。

でも若いお母さん達に紛れて『おばあちゃん』の存在は、結構クラスで弄られるのです。

祖母本人も気にしていたんだろうなぁと思うのですが、高学年になるとクラスには入らず
廊下からこっそりと見てくれていた姿を覚えています。


私には
忘れもしない授業参観があります。

1年性の時、もうすぐ進級ですね、2年生になりますね、と言う時の授業参観の日。

私は吃音持ちだったので、
自分から手をあげて何かを発言するタイプではありませんでした.
今でこそ、何かいわなきゃそんだわ!!なんて
前のめりにガツガツした性格になりましたが
当時は今から想像も出来ないくらい
静かで隅っこが好きな子どもでした。

確か先生が
『小学校に入って一年が過ぎようとしています。
どんな事をしている時間が1番好きですか?』
のような質問をクラス全員にしたのです。


もちろん1年生なので仕込みは済んでいます。

授業参観の前に
どんな事が好きかを考えて書く時間がありました。

私は全く書けませんでした。
国語は好きでしたが、本読みが当たると地獄でしたし、
算数は好きでも、これまた答えの発表は地獄
とにかく授業全て、発表すると言うことを考えると好きじゃないのです。
かと言って体育は苦手でしたので論外。
給食も牛乳が嫌いで飲めなかったので論外。

私の様に書けない子も何人か居て
だったら先生が『通学路をお友達と歩くのが楽しい、でも良いのですよ』と助け舟を出してくれました.

我が家って学校まで、歩いて2ふんもかからないのですよ・・・。
しかも近すぎて、一緒に行く友達も居なかったのですよね・・・。

ますますもって、どうしようかと。

本が好きだから図書室に行く時間って書こうと思ったのですが、
本を借りる時に自分の名前とクラスを言う時、
いつも吃ってしまう事を思い出しました.

やだな。

鉛筆を持ったまま、私の手はぴくりとも動きませんでした。

先生は『今日書けなくても、授業参観の日までに考えておきましょうね』と言ってくれました。

家でもずっと考えましたが
どれもこれも吃音がついて回るのです。
好きな時間って言えなくなるのです。

そこの融通が効かないのも1年生だったからでしょうね。

結局何も考えのないまま、参観日になりました.

クラスには我が子を見ようと
ぎゅうぎゅうに着飾ったお母さん達の
香水やらお化粧やらの匂いがプンプンしていました。

クラスのみんなも何回ともなく後ろを振り返っては、自分の親を確認し
ある子は手を振って
ある子はニコニコして
授業が始まるのを待っています。
どんより憂鬱な私以外、きっとクラスの気分は花畑だったと思います。


先般の質問が先生から出されます。
元気の良い子は『はい!』と手をあげて
『体育でマット運動をしている時です』なんぞ
言い、座り際に後ろを誇らしげに振り向いたりしています。

元気な子が一通り発表してしまうと、
手をあげない子ども達を、先生は順番に当てていきました。

私は廊下側の隅っこでした。

若いお母さん達に弾かれる様に
祖母も廊下との入り口のドア近くに立っていました.

このままお腹が痛いとか、頭が痛いとか言って
逃げたいなと思っていました。

でも私にはそれを言う勇気さえありません。

無常にも私の順が来ました。

はいと消え入るような声で返事をし
立ち上がると
私は下を向いて答えました。
『私は寝ている時が1番好きです』

一瞬沈黙の後、どっとクラスのみんなが笑いました.
立っているお母さん達も、クスクスっと笑いを堪えるような声を漏らしています。

私は笑い声の中、座りました.
そして廊下に立つ祖母をチラッと見ると
ものすごい顔で私を睨んでいました。

その後、どうなったのか全く覚えていません。
先生が、楽しい夢が好きかなとか
フォローしてくれた様な
その後、給食で揚げパンが好きだと言った子が
違う笑いをさらっていったのか
もう記憶がほとんどありません。

とにかく重い足取りで
たった2分しかかからない通学路を
20分以上かけて帰りました.

ただいまの声に
祖母のおかえりは聞こえたけれど
それ以上の言葉は何もなくて
私もあの祖母の怒った顔を思うと
怖くて
とにかく父が仕事から帰ってきて食事の時間になるまで居間で本を読みながら静かに過ごしました。


父が帰って来て、さぁご飯の時間となった時です。
祖母が口火を切りました.
『今日は大恥かいた。Norikoのせいで恥をかいた』と。
『嘘でもいいから授業とか、給食とか何でかかんの!! 寝てる時とか年寄りでもあるまいし、本当に恥ずかしかったわ』と。

それを聞いて俯向く私はポロポロと涙が出ました。
本当やん…。
吃音でも本が好きなんだから、国語って書けばよかった…と
計算問題が好きなんだから、そう言えば良かったとか、後悔がグルグルと心に渦巻いて
『ばあちゃん、ごめんなさい』と
絞り出すように言いました.

すると父がビールを手酌で注ぎながら
『まぁ寝る子は育つって言うしな、いっぱい寝ていっぱい育てば良いさ』と、あっけらかんと言ったのです。


祖母は
あんたがそんなお気楽な事ばかり言うから!と
怒りの矛先が父に向かってしまいましたが
私は父に救われ、ほっとしました.

この事は、
ずっとずっと祖母が私の事を思い出す時に、
必ず出てくるエピソードです。

大人になってから知ったのは
入学式の後、祖母が先生に、父子家庭であることや吃音がある事で、クラスに上手く馴染めない事もあるかもしれませんと相談していたと言うことです。

そっか。
優しくても厳しかった祖母は
私を想い、先手を打ってくれていたのかと
ありがたく想いました。

祖母は私の『家の顔』を知っています。
元気いっぱいで
おしゃべりが好きな私を知っているからこそ
弱気で黙りを決め込む私を悔しく見ていたのかも
知れません。


穏やかな祖母の勝ち気なところと
ぐるぐる考えてしまって
着地点がおかしくなっちゃう私、
それになんとかなるさー♪な父。

血の遺伝だと直系な3人だけど
バラバラの絶妙なバランスだったんだなと
懐かしく思います。


あ、好きな時間はやっぱり今も
寝てる時間かなぁ( ´ ▽ ` )❤️

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