何も付けない、無防備な夜は続く。
最近はずいぶん寒くなった。
夜に歩くのが好きで最寄り駅からは歩きで時々遠回りしたり、買い物が終わってから真っ直ぐに自宅に帰らず、あえて遠回りしながら夜のあの空気や冬の匂いを確める。
だが最近は寒いのである、加えて道路は雪や凍結で滑りやすいのでなるべくは、早めに帰宅するようにしている。
これからの話は、まだ雪が降る前の話だ。
とにかくその時はいっぱいで頭も心も何かに煮えたぎり、ぐつぐつ、ぐらぐらしていた。
正直に言えば怒りにも情けなさにも悲しさにも全てに負けた自分に悔しくよく分からない感情で、頭から爪先までいっぱいで自宅より離れた位置から歩いて何かを消化したかったし、意識的にそうせざるを得なかったのかもしれない。
自分と自分との対話の時間が、散歩というか帰宅までの時間である。
もう、終電は終わったのか。
歩く人はあまり見かけないどころかいなかった。
ボソッと声を出す、自分にしか聞こえないような、もしくは誰かには聞こえるような、そんな声だった。
息をゆっくり吸って、ゆっくり吐く、そんな事も忘れていた頃だ。
吐き出す息は夜道に放たれる。
その白さは溜まりに溜まった何かみたいだった。
なんでこんな頭の悪い考え方してんだろって、自分の中ではわかってるよね笑。
すごい冷めた言い方で言ってさー、阿保らしいなーって。
この時間無駄だな笑、とか思いながら心の中でその人のこと潰してるもんねー。
あー、ひどいなぁ、自分、あ、いつもか、とか思いながら。
本当は1番自分がひどいのにね。
自分の酷さもクズさもダメ人間であることも、ずっと前から知っている、自分だからだ。
そしてそれが根底にあるために他者の事を見抜いてしまう。
第一印象で思ったことは、その後もずっと続く。
これは自分の中でのことで誰かにしたら違うこともある。
イライラすれば顔にも態度にもすぐに出る。
「あー、それ言っちゃったねー」とか心の中で思って関わる必要の無さを1ミリでも思ったらもうその人とは関わらない自分がいる。
マイナスな事やネガティブな事が得意ではない。
だが弱音や本音は別だと思う。
今これだけ頑張ってこうしてめちゃくちゃ大変でツラい、とか少し間違ったかもしれないとか正直に話す分には別である。
誰かの失敗、悪口で笑い合うような仲に私はいたくないのである。
周りもこうだから自分もそう、当たり前でしょ?
そんな当たり前ならば自分はずっと1人でいたい。
自分には必要のない要素だから。
愚痴ばかり言う人も自分には必要ない。
たとえそれが親だとしても。
下ネタとかで笑える関係とかもっと明るい、一緒に頑張ろうぜ!みたいなのが自分は元来好きである。
お互いがお互い無い物で助け合えたり高め合える関係、良いところは褒め、そうではないところも頑張ろう、みたいなのは多分、キレイゴトだけどそういう関係しか自分にはなかった。
相手の良いところは徹底して盗んで自分テイストにした。
そうではない所は自分と照らし合わせ、自分にもある部分だとその部分を徹底して改めた。
自分はそういう人間なのである。
完璧じゃないのに完璧をしようとして、どこかで潰れ、またどこかで回復する。
その繰り返しだ。
時に弱って号泣し、それでも這い上がった。
だが今は微妙な所で止まっている。
意気消沈したり、誰かの言葉を聞き過ぎて本来の自分の考えとは逆方向に進もうとしていたり。
軸や芯がないのかと自信すら失った。
そんな生き方がいつもの自分の生き方であると気付きながら。
こんな事を考えたり時に口に出して白い息となって消化していた。
自分に嘘や偽りも付けない真夜中の白い息は全て本音でまるで誰かと素直に抱き合った夜みたいだ。
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