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冷たい土

その溝は 広がり続け

言葉は塵となって
飛んでゆく

散ったはずの桜の花びらが
春の嵐に 逆さに宙を舞う

耐え難い
その質量の軽さは
溜め息ひとつ 耐えられそうにない

半分に欠けた朧月は 遠すぎて
僕らを照らすこともできない
電灯の灯だけが落ちる
黒光りのアスファルト
 
僕はもう土の冷たさを忘れてしまった

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先週か先々週の職場の帰り道の1場面
巻き上がる桜
ビル
電灯
遠すぎる月
土のない地面

美しい時はたぶん巻き戻りはしない


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