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Linked Horizon - 二千年... 若しくは... 二万年後の君へ・・・ ドイツ語部分和訳、解釈 【進撃の巨人 / Attack on Titan】

All citations in this article are from:
Revo. Lyrics to “Nisennen... Moshiku wa... Nimannen Go no Kimi e.” Performed by Linked Horizon, PONY CANYON INC., 2023. 
Genius, https://genius.com/Linked-horizon-nisennen-moshiku-wa-nimannen-go-no-kimi-e-lyrics.

[0:14]

An dich in zweitausend oder zwanzigtausend Jahren

二千年 若しくは 二万年後の君へ

[2:58]

Die Welt das Schwert des Jungen zerbrochen hat

世界はその男の剣を砕き※¹

Wird die Spitze des Wolkenkratzers erreichen

摩天楼の頂に達すると

Und auf den Turmbau zu Babel lachend herunterblicken

バベルの塔を見下ろし嗤うのだ※²

Hass und Zorn sind eine zweischneidige Klinge

憎悪と憤怒は諸刃の剣※³

Die Geschichte wiederholt sich

歴史は繰り返す

※¹ ここでの"das Schwert des Jungen"(その男の剣)とは、『紅蓮の弓矢』のドイツ語ナレーション部分の一節、"Der Junge von einst wird bald das schwarze Schwert ergreifen"(その少年はやがて黒い剣を手にする)を引いたものです。
その剣を粉々に砕いた世界。「世界に対するエレンの復讐心など、この残酷な世界は気にも留めなかった」ことのメタファーでしょうか。

※²「バベルの塔」は、人類の(所詮無為に終わる)発展を指していると思われます。ED映像でも、樹木の成長と共に高層建築が天に向かって伸びていく様子が描かれています。
その前段に出てくる「摩天楼」とは、いくら人類が発展したところで、世界は傲岸ともいえる構造的残虐性を聳え立たせ続け、それを克服することなど不可能であることを暗示する言葉の様に思えます。

※³『紅蓮の弓矢』の一節、"Hass und Zorn sind eine zweischneidige Klinge"(憎悪と憤怒は諸刃の剣)のリプライズになっています。



[以下私的解釈]

いったい、いつからこんなことが繰り返されてきたんだろう。
自由を求める闘争に、意味など無かった。
地獄は、また繰り返される。

生物は幸福になるために増えるのではない。増えるために増えるのだ。
複製を殖やせという遺伝子の命令と、無駄に発達してしまった自己意識から生じる感情とがせめぎ合う。
そして局所合理的な選択の結果生じる、紛争。反出生主義。ジェノサイド。

「憎しみによる報復の連鎖を完全に終結させる唯一の方法は 憎しみの歴史を文明ごとこの世から葬り去ることだ」(第87話 人類の夜明け)
連鎖が続くことこそが、人類の落日。

厳密なループでは無いにせよ、世界は残酷な姿のまま、永劫回帰する。
悪を懸命に取り除こうとする、人間存在の努力を一笑に付すがごとく。

地獄はもぬけの殻であり、全ての悪魔は此処に居る。

やはり、人類は滅亡すべきだった。


といったような特大の鬱エンドと解釈いたしましたが、皆様はどのように解釈されましたでしょうか。

このイスラエル•パレスチナ情勢下で、ロシア•ウクライナ情勢下で、人間の幸福とは何かを問いかける神作品でした。




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