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日系から外資系に転職したので比べてみた

所謂「新卒カード」を、私は創業約100年の老舗日系大手食品メーカーに使った。
日本の新卒就活において、国立大学(の、底辺であっても)理系院卒という後ろ盾はそれなりに力を持つもので、私みたいなポンコツでもなんとか研究の世界で食べていくことを許された。

それから3年も経たない今、私はとある外資系医薬品メーカーの日本支社で働いている。
ちなみにこちらも歴史は300年を超える老舗だ。
職種は、研究ではなくマーケティングだ。

転職に至った動機は決してネガティブなものではなく、明るいキャリアチェンジだ。
人生の大部分の時間を費やす場所を変えたので、やはりたくさんの想いがあるのだけれど、今回は割愛する。

このNoteでは、題名のとおり日系企業と外資系企業の違いとして今私が認識していることを綴りたい。
私の背景を書いたのは、日系/外資系の違いに加えて研究職/マーケティング職、食品/医薬品、新卒/中途の違いも含んでおり、どれに起因する違いなのか混同しているかもしれないと言いたかったからだ。

また、私は上記の2社しか経験がなく(インターンでお世話になった外資系食品企業を含めると3社)、日系 vs. 外資系というより、某日系食品メーカー vs. 某外資系医薬品メーカーという、非常に狭い視点での比較になっていることをご認識頂きたい。

さらに、外資系といってもアメリカなのか、中国なのか、デンマークなのかによって文化は全然違うことも分かっている。
ちなみに私の現職はドイツ系だ。

ただ、いちいち「新卒で入社した日系食品メーカーの研究職」とか「中途で入社したドイツ系医薬品メーカーのマーケティング職」と書くのは面倒なので、以下、単に「日系」、「外資系」と記させていただきたい。

違いその1: ミーティングの終わり

コロナ禍入社のあるあるだが、私は前職でもオンラインミーティングしかやったことがなく、現職でも引き続きそうだ。

対面ミーティングの場合を知らないが、日系ではとにかく時間超過は当たり前だった。
だから、ミーティングの直後に他の予定を入れるのはリスキーだという共通認識があったように思う。
または、後の用事に遅れる/ミーティングを中座するというのが前提となっていた。
(研究職という職柄が色濃く出ているような気もするが、日本人はミーティングのお尻を気にしないという風潮は多少あるのではないかと思う。)

外資系では、今のところ分単位できっちり終わっている。
質問をする方も終わりの時間を意識して調整しているように思う。
だから、平気でミーティングの直後に次の予定が入ってくる。
前職の経験から、次のミーティングの5分前に前のミーティングが終わっていない時、遅れる旨の連絡をしたくなるのだが、それが未だ機能したことはない。
30秒前にはThank you, all.でクローズするため無事にon timeで出席できるのだ。
また、ミーティング開始時間ぴったりに人が集まる(早めに来たりしない)ため、私が遅れそうだったことも誰も知らないのだ。

違いその2: 人の呼び方

日系では「課長」「部長」「所長代理」というように役職のある人は役職を付けて呼ぶことがマナーだった。
オーラルのコミュニケーションでは「さん」呼びもあったが、メールの文面上は必ず役職呼びだった。
(特に私のような年次の若い平社員は。)
異動や昇進が多い節目の時期には、新しい役職名を覚えるのに苦労したものだ。

外資系では上司でも、社長であっても「さん」呼びだ。
さらには、日本人同士や、日本人以外が日本人を呼ぶときは「さん」が付くことが多いが、その他はファーストネームで敬称は付けないのが普通だ。
(日本人はファミリーネーム+さんで落ち着いている。)

日系では縦の階層を非常につよく意識していて、どんなことでも自分の上司、指示系統を通すのが普通だ。
だから、役職名をしっかりと覚えておく必要があった。
管理職の下に部下が居るという構図が一般的だ。
組織が縦割りでしっかりしているので、自分の管理職になんでも聞いていた。
指示を仰ぐ場合には非常にわかりやすい構造である。

外資系では、日本の管理職にあたる業務を担う「マネージャー」も、正確には誰の上司でもない。
いまの私にも、自分の業務をレポートするマネージャーはいるし、日本的な理解で「上司」ということになっている。
しかし、そのマネージャーは「管理」という業務をしている人であるだけで、管理職が現場職より上というわけではないのだ。
だから、「マネージャー」は役職名ではなく職種名ということになる。
「○○マネージャー」と呼ぶのは「○○総合職」と呼んでいるのと同じでちょっと仰々しいのだ。

とはいえ、もちろん外資系でも昇進はする。
でもそれは必ずしも管理職になることとイコールではない。
現場にいながら職位レベルを上げることが可能で、マネージャー職と同じくらいの給与を貰うことも可能だ。
外資系で指示を仰ぐとき、それぞれがそれぞれのプロフェッショナルなのでピンポイントで人を選ぶ必要がある。
会社に慣れるまではこれが割と大変だ。

違いその3: 組織再編頻度

日系では、部署ごとなくなったり増えたりするような変化はそれほど多くないと思われる。
メーカーで言うと、管轄の製品群を部署間でトレードしたり、分け与えたり引き継いだりなんていう変化は頻繁には起こらない。

外資系では、それはもう頻繁に起こる。
去年統合した部署が今年はまた元通り分断され、管轄の製品もコロコロ変わる。
その度に覚えることが増えるのだが、飽きなくて良いとも言える。
ただ、組織改編のお陰で空きポストができてしまうことも多く、それが長らく(少なくとも数ヶ月)不在になってしまうのもよくあることのようだ。

違いその4: CCに入る人

日系はとにかくCCに上司はマストであり、管理職の知らないところでコトが動くのはあってはならない。
とりあえず上司をCCに入れておけば、上司の確認済みというお墨付きをもらえるし、責任もとってもらえるので、部署外(社内であっても)へのメールにはガンガン入れていた。
むしろ、あまりメールで煩わせても申し訳ないと思って外した上司から注意を受けたこともある。
(それくらい小さなことだったのだ。)

外資系では、上記のように上司という概念が薄いため、基本的には実業務に携わっている人しかCCに入れない。
こういう風潮なので、1日に受け取るメールの数は日系より少ない傾向があるように思う。


こんな風に、大きな違いはいくつかある。
ただ、外資系といっても私が働いているのは日本支社であり、頻繁にコンタクトを取るのは日本人同士であるため、異文化空間という程ではない。
フレックスタイム制なのにだいたい皆同じ時間に来て同じ時間に帰る傾向にあるのも、前職と現職で同じだ。

帰る時間が揃っているといいことがある。
会社終わりのビールだ!
未だ、クリアなパーテーションが消え去ることはないけれど、この乾杯は最高だ。



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