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絶望が希望そのものということにわたしたちはいつまでたっても気付かない

前ID時に投稿した記事です。

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平成最後の冬、“Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018”に行ってきたことを綴らせてくれ。
2018年のライブ納めになるかもしれないこの日を、どんなに心待ちにしていたことかわからない。

朝からエンドレスリピートで聴いていたのはだいすきな『光』。
いつだって「最悪の事態」ばかりを先立って考えてしまう自分に「もっと今を味わうことを楽しむんだ」と勝手に励まされている。君という運命に見つけられてしまったわたしたちは、どう足掻いても翻弄されてしまうから。

どんな物語にも続きがあって、ハッピーエンドでちゃんちゃん。という訳にはいかないのが現実だ。

「光」を見つけた先に何が待っているのか、とふと考えることがあるけれど、この曲は“君という光を私が見つける”のではなく、“君という光が私を見つける”と歌う。

運命に逆らうように孤独のなかを佇んでいたというのに、眩く照らされて知るのは微かな祈り。照らされたあとも歩む道は尚も真っ暗な世界だけれど、“君という光”がいるから暗闇のなかでも進んでいけるのだ、とわたしには聴こえる。

12/08 幕張メッセ公演セトリ
1. あなた
2. 道
3. travering
4. Colors
5. Prisoner Of Love
6. Kiss & Cry
7. SAKURAドロップス
8. 光
9. ともだち
10. Too Proud
11. 誓い
12. 真夏の通り雨
13. 花束を君に
14. Forevermore
15. First Love
16. 初恋
17. Play A Love Song

アンコール
18. 俺の彼女
19. Automatic
20. Goodbye Happiness

幕張メッセは本当に遠くて、行くだけでもなかなかな気力を要したし、幕張自体は音響も良いとは言い切れなかったけれど、それすらも払拭してしまう煌めきがライブにはあった。

おそらく世間ウケ100%ではないと思われる『ともだち』『Too Proud』『俺の彼女』が、引きで見ればとてもバランスよくちりばめられているし、『Kiss & Cry』のアレンジ後半『Can You Keep A Secret? 』が使われていて、それがもう痺れるくらいかっこよかった。
“これが彼女が聴かせたい宇多田ヒカルの音楽(絶望のなかの希望)なんだな”と納得しかなかった。

絶望のなかの希望を歌うことは容易じゃない。
絶望があるから希望を持つことができるということは頭で分かっていても、表現するにはとてもセンシティブな感性と技術力が必要だ。
寄り添うために想像力は必要だけれど、誰かの絶望を想像力で賄おうとするのは非常に想像力の無い行為に等しいことだから。

ライブを目の当たりにしながら、今年一年のことが、走馬灯のようにわたしの身体を駆け巡っていた。

新ALの発売、12年ぶりのライブ開催を発表し、SONGSにプロフェッショナルへの出演、一夜限りのラジオ復活とめまぐるしく活動されていたヒッキ―こと宇多田ヒカル氏。
もしかしたら、わたしたちは“自分の意思とは関係なく変わりゆく自分自身や自分を取り巻くこの世界をどう引き受けていくのか”ということを宇多田ヒカルにまざまざと見せてもらっていた1年だったのかもしれない。

誰かが決めつけた“ハッピーエンド”や“バッドエンド”にしても、自分の良い部分も悪い部分も全て認めてその先を見せてくれるなんて至極難しいことだ。
その軌跡が生きるということなら、わたしたち人間はなんて複雑で健気で儚く美しい生き物なのだろう。
ずっと見ていられたならと、願わずにはいられないよ。

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