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短歌「読んで」みた

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短歌の鑑賞と、そこから得られたインスピレーションによるミニエッセイ。週一回、週の後半に更新。
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記事一覧

『サラダ記念日』と出会った日、それから

 7月6日。午後になって、検索ワードとかそういうのでサラダ記念日の日だと気づいた。俵万智さ…

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短歌「読んで」みた 2022/03/12 No.24

短歌の鑑賞とミニエッセイ24回目。年齢を経てその立場になってわかることと、自然を見つめる確…

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短歌「読んで」みた 2021/12/29 No.23

雪が降るとすぐに歌人たちは「ゆひら」と言いたくなる。その端にいる私も数日前の初雪に言いた…

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短歌「読んで」みた 2021/12/12 No.22

肌寒さと少しの甘さを持つ、初冬のこの時期にぴったりの短歌。愛とは誠実さとは、またそれを測…

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短歌「読んで」みた 2021/12/03 No.21

 究極の別れのかたちとは。私たちが恐れるものの本体について。そのことを深く考えさせられた…

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短歌「読んで」みた 2021/11/28 NO.20

在り方はその一心に宿りおり雨の街路に薄明かり見ゆ  古賀大介『三日月が小舟』2018年 六花…

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短歌「読んで」みた 2021/11/01 No.19

 短歌「読んで」みた第19回。今回は「星」を詠んだ短歌を探していて目に止まった一首を。私たちはいつから星に住む自分を意識し始めたのだろうと思いつつ、人との関係の終わりの頃の歌を読んでみました。 どんな遠くに逃げてみたところであなたもわたしもこの星にいる  佐藤りえ『フラジャイル』(2003年 風媒社)  特別な関係であった2人の現在。その関係がどのようなものであったのかはこの一首の中からは読み取ることは出来ない。でも今、2人はもう違うものを見ている。明確な主語がないために

短歌「読んで」みた 2021/10/10 No.18

人が逃れられない、「暮らし」。 人の数だけある暮らしを自分はどう営んでいくのか。正しい答…

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短歌「読んで」みた 2021/10/02 No.17

眠るまでをあづける闇のまなうらに無花果は生るむかしのいろに  近藤かすみ『花折断層』(201…

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短歌「読んで」みた 2021/09/26  No.16

凹凸の見本としてのワッフルはレゴブロックにあこがれている  九螺ささら『ゆめのほとり鳥』…

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短歌「読んで」みた 2021/09/19 No.15

海港のごとくあるべし高校生千五百名のカウンセラーわれは  伊藤一彦『伊藤一彦自選歌集-宮…

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短歌「読んで」みた 2021/09/12 No.14

いつだって風は一人で吹いているさみしき者の洞をめがけて  上野春子『雲の行方』(六花書林…

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短歌「読んで」みた 2021/09/03 No.13

ひとりでみてしまうひとりでみてしまうひとりでデジタル時計のぞろ目  穂村 弘『ラインマー…

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短歌「読んで」みた 2021/08/24 No.12

すまいらげん 決して滋養強壮に効くくすりではない smile again  笹井宏之 『ひとさらい』(Book Park 2008年) 英単語 smile againを連結して発音することでスマイラゲン、すまいらげん。それが薬の名前のように感じられての着想。滋養強壮ではない薬なのだ。歌の中ではそれだけしか言っていない。あとはsmile again。 外国のことわざに「笑顔は最良の薬」というものがある。おそらくそれも踏まえているだろう。笑うだけで免疫力がアップする、自律神経が