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世界のふしぎおよびそのステキさ

自分の育ってきた文化とか、当たり前に思えていることと
遠く離れた価値観や、生活、文化などに触れるのがことごとく好きだ。

日本にいてもそれは可能で、たまたま行き合った人から
「ほえ〜〜、そんなことがあるんですね」という話を聞かされたり、
自分とは畑違い(noteでも度々書いていますが、いわゆる"理系"と呼ばれる方々を初めとして、ちびっこやら、とても年配の方やら、まあとにかく自分
以外の他者であれば誰だって)の方の見ているものをちょっと覗き見できた
時なぞに、私の心は、ぽよんぽよんと飛び跳ねるのであります。

でも、やっぱり国が違うとその面白みはさらにグッと増し、「なにそれ!
おもしろい!」とか「なんだかその様子、想像するとほんわかするなぁ」と
思わされることが多くなってくるのもまた事実。「そうくるか!」という
いい意味での裏切られ感がね、最高なんですね。

先日、ふとそんなことを思い出したので、これまで遭遇したそんなステキさをちょっと書いておくことに勝手に決めたのです。書くぞー。

1. 魔女の一撃

これは、東日本大震災のボランティアをしていた時に出会った女性に教えてもらった言葉。本当に能力のある人って、どことなく佇まいが穏やかで
落ち着いている、司書みたいな人が多いよなというのが持論なのですが。
その方も、お仕事でも使っているほどドイツ語が堪能と聞いていたのですが
ご本人は極めて物静かで、控えめな方でした。すごい人に変な質問をする
のが大好物(ただのアホともいう)の私は、彼女に聞きましたよね。
ある日。

「あのー、ドイツ語でおもしろい言葉を教えて欲しいんですけど。
そうだな例えば、ぎっくり腰とか?ドイツにもそういう概念あります?」

それに対する彼女の返答が、↑これ。
ホントにすごそうだ……。
魔女の拳でやられても痛そうだけど、魔女が乗ってるほうきの柄の部分で
ドーーン!と、ど突かれるみたいな絵が浮かぶ……。
因みに、ドイツ語だとHexenschuss(ヘクセンシュス)と発音するそうな。
ギクってやっちゃってすっごく痛い時に、この言葉をちゃんと発音できる
ドイツ人もすごい。

2. ◯スカフェはかき混ぜろ

イギリスに留学していた時、寮には色々な国から来た留学生が集まって
いました。そうなるともう、ジロジロ見たり聞いたりしたいわけですね。
それぞれのお国の違いや、その国特有のルール(当たり前にしてる事)を。

友人が住んでいた寮に行って、共有のキッチンでお茶飲みながらダラダラ
話していると、ギリシャ人の学生が2人入ってきました。彼らは電気ポットのスイッチをONにすると、棚からネス◯フェを取り出し、それぞれの
マグカップにサラサラ〜と入れた。その後、湧いたお湯をちろっとだけ
カップに注ぐと10分くらいずーーーっとカチャカチャとスプーンの音を
させて一心不乱に混ぜている。

「何してるんですか?」我慢しきれなくなって、私は訊ねた。
「え?何って、かき混ぜてるんだよ。かき混ぜるでしょ?みんな」
「いや、お湯入れてからかき混ぜるでしょ。何でそんなちょっぴりで?」
「えーー、こうした方が柔らかい(柔らかい?)コーヒーになるじゃん!」

そうなの?

そのあと、自分でも何度か試してみたがまだ「かき混ぜ道」の初心者
なせいで、私には、その深みが理解できなかった。
ただ1つだけはっきりわかったことがある。
その日の自分の精神状態が安定しているかどうかを、そのスプーンの
カチャカチャ音x10分間をどう感じるか、でジャッジすることができる。
ギリシャ人、忍耐強いな。時間と音に

3.  ふっくらさんにはご配慮を

友人の寮の友達で、中国からの留学生がいました。あ、イギリスでの話
です。度々すみません。彼女は櫛を頭につけたままなのを気付かないまま
街に出かけて行って
、帰ってくるなり「何か、すれ違う人がみんなジロジロ見てきたんだけどどうしてだろう?」と言っちゃうようなチャーミングな
人だったのですが、食べることが大好き、そしてご飯を振舞うのも大好きと
いういい人で(美味しいものをくれる人はいい人→私のヒト判断基準)
我々も、レストランでは出会うことのない中国の家庭料理と
いうものを度々ご馳走になっていました。

ご飯を食べるのが大好きだけど、やはりそこは年頃の女の子。多少自分の
体型も気にしていたみたいで、なぜか部屋にはフラフープが。「これで
運動すれば大丈夫!」と力説して、ノースリーブのシャツとジーンズで
一生懸命フラフープを回していました。

その姿を見た、我が友人が私に「確かに二の腕とか、ちょっとぱんぱんに
なってきたね〜」と冗談交じりにぽそっと呟く(日本語です)。

すると、フラフープやってた彼女が、「ちょっと!今何か言ったでしょ!」と急に真剣になって詰め寄ってきた(でもいい人だから怖くない)。

聞けば、ぱんぱんは中国語でも同じような意味らしく
太っちょさん
を表すそうで。悪意なく、本質をついてしまっていた我が友。

でも、食べるのが大好きで、ご飯を振舞うのが大好きなのが
彼女の素敵なところだからな〜。
彼女がよく作ってくれたジャガイモとニンニク+パクチーの炒め物とか、
茹でたほうれん草と揚げピーナツの和え物とか、茹でてるところに
おろし生姜とトマト放り込んで、塩とごまだけで味付けした煮麺とか、
豚肉と青唐辛子&干した湯葉の炒め物とか、素敵に素朴で美味しくて、
今でもたまに作る。
太っちょさん、サイコーだよ。

4.  YUKIKO

スペイン人のおばちゃん同級生は(イギリスの大学には、世代もまちまちの
学生がたくさんいました)故郷に帰った時に持ってきたよ、と
ハモンセラーノをたっぷり食べさせてくれて、パンにバターでもマーガリン
でもなく、切ったニンニクの断面をなすりつけた後、オリーブオイルと塩を
つけて食べる
というお洒落な(イギリス人はほぼ取り入れない方法)食べ方も教わった。マッシュルームって皮(?)を剥いて生でも食べられるんや!
とか、ヤギのチーズって臭いって聞いてたけど全然平気、おいし〜とか。
そういう開眼の機会を与えてくれた人でもあった。そして、
何度も言いますが、美味しいものをくれる人=いい人なのであります。

そんな彼女は日本の食べ物も好きで。特に海苔がお気に入りで、「NO-RI-」と呼んでいました。ハモンセラーノとかチーズのお礼をしなくちゃ!と
思った私は日本から持ち帰った海苔とごま油、塩で叩ききゅうりを和えたのを作り、Japanese pancakeと称してお好み焼きも作ったのであります。

大学3年の時に住んでいた家に招待して、ジャーン!と出したのでありますが、あれ?なんだか彼女の反応が微妙……?

海苔は大好きだが、きゅうりが苦手だなんて……先に言っておいてよ〜。
そして、到着してすぐ食べられるように、と前もって作ってオーブンで
保温していたお好み焼きは、若干水分が飛んでしまっていて……。
それでもさりげなく気を使って頑張って食べてくれる、ラテンの国の人。

家賃が安いからという理由で信仰する宗教の施設に住んでいたが、あまりにセクシーな黒人留学生と出会ってしまい、one night standに走って
しまったりというお茶目なところもあった、天使の名前を持つおばちゃん。

彼女は、谷崎潤一郎の細雪の大ファンらしく(私、日本人なのに読んだことないよ……)「子供が生まれたらYUKIKOってつけるんだ〜」と言っていた。
スペインの地で、YUKIKOさん、ハモンセラーノ食べてるだろうか。

5. 実はお父さんのため

これまたドイツのお話。これは、以前働いていたところでお知り合いに
なったドイツ人の研究者から教えてもらったのですが。

ドイツでは、男の子が生まれると電車の模型(◯ラレール的な?いや、
N◯ージみたいなのかな)を買うんだそうで。家の屋根裏に電車の走る模型とか周囲の家とか木とかそういったものを少しずつ買い足して行って
世界を作っていくらしいです。忍耐力と美的センスに難ありの私ですが、
ジオラマとか模型なんかを見るのはとても好きなので、「へ〜、それって
いい文化ですね」と言ったら「違うんだよ、実は」と。

「息子のため、を装って、実はお父さんが欲しいだけなんだ」

ですって(笑)。どこの国も、自分の好きなものに対するお父さんという
人種の飽くなき探究心てば……。一緒ですな。女の子が生まれたらそれは
それでもちろん嬉しいんでしょうけど、お母さん(奥さん)に怒られずに
模型を買い増やして行っていい、という大義名分はなくなっちゃうわけで。
口に出して言えないし、女の子について悪く言う意図は微塵もないですが、
「男の子じゃないんだ……ね、そうか……」という絶対に表には出さない
父さんの落胆が、時々ドイツのあちこちで生まれているのかと思うと、
何だかキュートですね。娘は大好きだよ、大好きなんだ、それは嘘じゃ
ないんだよ!!!……でもね、っていう。

ちなみに、その方がとても小さい頃には、駅のホームにも電車の
模型があって
、そこでよくお父さんとそれを一緒に見てたらしいです。
その話を聞いて、なぜか、雪が降る寒い日に、仕立てのいいウールの
コートを着た父さんと、首の後ろに回された紐でつながったミトンを
つけた、くりくりした幼い男の子が、手をつないで「シャーーー」と
小さな音を出しながら走る電車の模型を、飽きずに言葉を交わさずに
眺めている映像が浮かびました。じんわりきます。

彼に教わった、ハンブルクにあるミニチュア博物館。楽しそう。

https://www.miniatur-wunderland.com

彼は現在、理工学系の機械やその歴史なんかを専門とする研究者を
しています。電車の模型、お父さんのためだけじゃなかったね。

日本に来た時に、入り口で施錠して手ぶらで室内に入れる傘立てがCool!と写真をパシャパシャ撮って、本場からやってきたはずなのに「いや〜日本のIZAKAYAのビールは最高だね」と感嘆した、生粋のドイツ人です。



もしサポート頂けたら、ユニークな人々と出会うべくあちこち出歩きます。そうしてまたnoteでご紹介します。