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記事一覧

無数の見知らぬ手 ~車椅子旅行で感じた韓国人の心~

無数の見知らぬ手 ~車椅子旅行で感じた韓国人の心~

 私は五十三歳にして心臓発作の低酸素状態の後遺症のため、身体障碍となった。若い頃からバックパッカーだった私はそれでも旅をあきらめられなかった。電動車椅子を手に入れた私はいくつかの国内旅行の後、外国へのひとり旅に挑むことにした。その時、最初に選んだのが韓国の釜山である。韓国語の初歩を勉強していた私は、SNSの韓国フアンのページでのやりとりから、釜山の地下鉄がすべてバリアフリーであることを教えられたの

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鉛色の冬の出米事

鉛色の冬の出米事

<作品集『黎明・複葉機物語』より>

鉛色の冬の出米事     長澤靖浩 17歳(初出『大阪府立長尾高校紀要第4号』1978年) 

第一章

 時々、わけもなく苦しくなったんだ。何故なのかは自分でも分析しきれない。ぼくは精神病なのかもしれなかった。あるいは苦しみの見えない奴らの方こそちょっとおかしいのかもしれなかった。
しかし、多い方を正常と定義するならば、ぼくは異常だった。ぼくの精神は何だかわ

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かもめのジョナサンは聖書である

かもめのジョナサンは聖書である

「かもめのジョナサンは聖書である」   

長澤靖浩(初出「SEIN」59号 1979年7月7日 18歳)

 リャード・バックは究極的な本を書き著わそうと思いはじめてから八年間も何も書けずにいた。ある日のことだった。リチャードが渚を歩いていると、どこからか神の声が聞こえた。
「ジョナサン・リヴィングストン・シーガル」
 その天啓を受けた彼は家へふっとんで帰るとたった五時間でひとつの物語を書きあげ

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放射線副読本の配布から見えてくる教育の危機           長澤靖浩

このノートは私の全記事の中で最もビュー数が多い。
ダッシュボードによると2039ビューである。

しかし、二位の1756ビューの「男たちの中に眠る女たちへ」のいいねが102であるのに対して、

「放射線副読本の配布から見えてくる教育の危機」は46いいねと、いいね数が半分以下である。

私の考えでは、ここに何が書かれているのかが気になった「放射線副読本」を配布する立場の人々も、このノートを多く偵察し

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食人華

(1)

 僕の鼻が敏感な性感帯になったのはママンのせいだ。僕が幼い頃、子ども布団の中で寝たふりをしていると、ママンは足音を忍ばせてやってきた。そしてそばに膝をつくと、僕の鼻の頭にキスをした。僕はくすぐったくて、笑いだしそうになるのを我慢して眠っているふりを続けた。ママンの鼻キスは夜毎、エスカレートしていった。絖った長い舌が鼻先を舐めると、僕はママンに食べられるような、あるいは秘密のトンネルからマ

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男たちの中に眠る女たちへ

男たちの中に眠る女たちへ

男たちの中に眠る女たちへ         長澤靖浩

文藝春秋社クレア創刊エッセイコンクール入選(賞金100万円) 1989年

選評より

柴門ふみ(漫画家) 私はこれが全部の中で一番おもしろかったです。

林真理子(作家)  男の人がこういうことを言うのって、本当に時代だなと思って、目からウロコが落ちたみたい。

柴門ふみ     男の人がここまで弱さを書いちゃったというのは、逆に強いんじゃな

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父と子の光景

父と子の光景

死を知ることで直線的時間の感覚が脱落し永遠の今ここを知った。

父と子の光景    長澤靖浩
(共著『生存権はどうなった』(詩文集)コールサック社 所収

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アオムシ

 夏の真っ盛りの、とても暑い日だった。
 僕はTシャツに半ズボンという姿で、だらだら汗を流していた。
 あまりに暑いので、部屋の窓はぜんぶ開け放してあった。
 僕は窓に近づいて空を見上げた。
 真っ青な空のとても深い場所で、鮮やかに白い雲がゆっくりと流れていた。
 ふと上腕に違和感を感じた僕は、視線を落とした。
 すると僕の腕に黄緑色をした一匹のアオムシがいた。たくさんの脚をもぞもぞと動かしながら

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岸のない河

岸のない河

(詩)岸のない河

せまい入り口をはいっていくと

奥には

岸のない河がひろがっている

さざ波もなく

流れる音もなく

ぼくもなく

あなたもなく

光さらさら

あふれかえる

岸のない河(1)

abhisheka様

こんにちは。

突然のお手紙申し訳ありません。

このことはかくかかかないかとても迷いました。

けどあの頃のことを含めてまたいろんなことをお話したいとおもい、本当のこ

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