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【詩】 Bluesのように

見知らぬ土地の雑踏

ほんやりと浮かぶ街灯達

見知らぬ花の香り

見知らぬ人が流れた髪に手をやり

季節を婉然とつま弾いた

サクラはとうに散ることを止めて

宵の時を静々と迎えていた

月は明るく 注意深く  

その時を迎える

急いでいたはずの光の出口から

聞こえてくる…

闇夜に囁く銀飾の不可思議な音色

存在を主張し得ない強さをはらみ

異国の情緒を体に組み込んでいく…

エキゾチックな曲線を描く音の構成

私はどうやら迷い込んだらしい

見知らぬ蕾を咲かせた意識の中に

よく磨かれた店内

カウンターに薄暗く照らされた

ウイスキーやスピリッツの艶めかしさが

五感を刺激する

琥珀の語りかけに

絶えず意識が目覚めていく

グラスの氷は絶えずうわずり 

ロック・グラスの中をかき回していた

人の心に必要以上に入り込まない照明

自己の意思は酩酊と共に 
空間と一致していく


マホガニーで作ったギター
妖しく煌びやかなリゾネーター・ギター

人の感情は音によって刺激される

聞こえてきた演奏

むせび泣くような陶酔感

決して理解しがたい不一致な音色

ブルース。

ふと気付く

見知らぬ婦人の顔を光が反照する

リゾネーター・ギターの倒錯的な鈍い輝き

その残光は

不均衡で慕情を刺激する

そして

オリエンタルな音色は

闇夜に混ざり合い

よりブルージーに

不可思議な言葉を咲かせていく…。



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