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わたしと演劇:声優養成所名古屋編

日ナレに入って2年目、ひどく悩んでいた。

全くもって、芝居というものがわからなかった。講師からのいい評価は貰えなかった。オーディションなど、到底受からなかった。


大いに困ったわたしが行き着いたのは、名古屋市にある劇場での公演だった。恥ずかしながら、芝居を勉強し、生業としようとしているのに、舞台というものを一度も見たことがなかった。

どのようにしてその公演を知ったかは忘れてしまったけれど、『テアトロ☆マジコ』さんという、ファンタジーな題材を扱う劇団の本公演だった。衣装が華やかできらびやかで、内容もおとぎ話や童話をアレンジしたもので、しかし、いい意味で汗臭い、舞台だった。終演後のロビーなど、本当に華やかで、ディズニーランドのパレードのど真ん中にいるみたいに錯覚した。

そこで行われているものはわたしが知っている『演技』とはほど遠かった。


「わたしがやっていたのって『演技』じゃなかった!!!!」


そこからわたしは、その時のパンフレットの折り込みチラシをもとに、名古屋の小劇場を回っていくことになる。

タイトルの響きがいいとか、チラシが可愛いとか名古屋駅から近いとか安いとか、単純な理由だけ決めてとにかく週1回、多い時は2回観劇した。1日に劇場を2つはしごする日もあった。三重県から名古屋駅、そこから地下鉄に乗って・・・と決して安くない交通費とチケット代でお給料の大半を使い込んだ。

よく通ったのは、G−pit、七ツ寺スタジオ、それからナンジャーレあたり。お気に入りの劇団は廃墟文藝部さん。YouTubeにたくさん動画が上がっているから、ぜひ一度見てもらいたい。短めの短編から見てもらうといいと思う。今後のnote.で詳しくレビューをしたい。

話が逸れてしまった。

そうして、劇場に通い、そこで観た芝居の『真似』をした。すると、台本を見た時のイメージが今までよりもはっきりと浮かぶようになり、大きく演じられるようになっていった。周りや講師の反応も日増しに良くなっていくように感じた。

演技が楽しくなってきた。


日ナレに通って3年目の内部オーディションで、初めて2次審査への切符を頂いた。おそらくは、講師のお陰なのかもしれなかった。名古屋校で平日昼間のクラスと講師は少なく、2年目3年目の講師は同じ方だったし、わたしの変化を感じてくれていたようだったから。

3年目の夏の課題だった、自分で脚本を書いた一人芝居を大変気に入ってくれたようで、発表会ではオオトリを任せていただいたことが大きかったのだと思う。陽気なフリをした孤独な女の子、シュガーちゃんとクラリネットと劣等感と憧れについて書いた。あの芝居は、未だに大切にしているし、それこそわたしの原点であると思っている。

全く面識のない方がわたしの芝居を観て泣いてくれて、素晴らしかったと声をかけてくれた。


とんでもなく、嬉しかった。涙が出た。



もし、この脚本に興味がある方がいるようならこちらで掲載しようと思うから、コメントを入れていただけると嬉しい。

結果はもちろん3次審査には届かなかった。

けれども、わたしにとっては大変大きな一歩であったし、未だにわたしの自信と勇気のもとであるし、大切な思い出だし、紛れもなく、上京する決め手となった。


それなのに今はこんなになってしまって、


ごめん、シュガーちゃん。

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