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【心理学とABAでひも解く】子供が人を叩いた時の対処法

ご機嫌で遊んでいた幼児が突然、他の子や近くの大人を叩くという行動を目の当たりにしたことがあるかもしれません。幼い子供は自分の要求を満たすためのスキルも持ち合わせていないため、どうしていいかわからず、暴れたり叩いたりしてしまいます。また、感情のコントロールや社会的スキルがまだ未発達なため、すぐにイライラしてしまい、叩いてしまうことがあります。これは発達上正常なことですが、奨励されるべきことではありませんよね。

私たち保護者や保育者の責任として、よりよい問題解決ができるように優しくしっかりと導いてあげる必要があります。ここでは、幼児が叩いてしまったときの対処法や、より健全な行動をとれるようになるための育成方法をいくつかご紹介します。


1. 叩いた瞬間に対応する

  1. 叩いた手を取る

  2. 子供の目の高さまで下がる

  3. 目を合わせ、顔は無表情、落ち着いた低い声で、

  4. 「人を叩いてはいけません。怒ってもいいけど、叩かないよ」

  5. 叩かれた子に対して、親/保育士が代わりにあやまる。(親や大人があやまっている姿を子供に見せる)

2. 興奮していたら、その場を離れる

かんしゃくを起こしている最中は、何を言っても聞くことはできません。安全なところで落ち着くまで静かに待つか、叩いてかんしゃくをおこしている子の気持ちを代弁しながら、落ち着くのを待ちます。

おもちゃを取られて悔しかったね。残念だったね。
怒ってもいいけど、人は叩きません。

どうしても叩きたくなったら、クッションやぬいぐるみを叩いてもいいよ。それかママ/先生のところに来て。

3. 「してはいけないこと」ではなく「すべきこと」を教える

子どもが落ち着いたら、優しく触る練習をさせましょう。

  1. まずは大人が見本を見せる。

  2. 「こうやって優しく触ってみて。トントンって」と言いながら、子どもを優しく触る。

  3. 子供も優しくトントンできたら、「そう、上手にできたね。そうやってくれると嬉しいな」

  4. 子供の気持ちも落ち着いたら、また遊び場に戻す。

叩く癖のある子の場合は、注意深く見守ります。叩きそうになったら、そっと手を捕まえて「優しく触ってごらん」と言いながら、優しく触るように誘導しましょう。

あやまることを強制しない

自分の失敗を反省して謝ることを学ぶのは大切なことです。しかし幼い子供に無理やり謝らせても、本当に反省しているとは限りません。幼児はまだ認知、感情的なスキルが未発達であり、謝罪の概念やその重要性を十分に理解できません。この段階で謝罪を強制すると、心のこもっていない謝罪を奨励してしまいかねません。心のこもった謝罪は、十分な理解と共感の発達に従って成熟していきます。私たち大人は、子供が自然な形でそのスキルを習得できるように支援することが大切です。

あやまるスキルの育成法

親/保育士を叩いた場合

後で子供に、叩かれた人の気持ちを言ってみましょう。

「ママ、叩かれて痛かったのよ」
「とっても悲しかった」

「もしママがあなたの気持ちを傷つけるようなことをした時は、ちゃんとあやまりたいから、伝えてね。」

「悪かったな」と思ったら、ママにあやまってね。」
「あやまってくれたら、ママはうれしいな。」

お友達を叩いた時:自分の行動と相手の気持ちを結びつける

幼児は、自分の行動が他人にどのような影響を与えるかを理解することができません。お友達が叩かれたときにどんな気持ちになったかを理解する必要があります。

「Oちゃんが叩かれて、痛かったね」
「Oちゃんを嫌な気持ちにさせちゃったね」
「お友達に嫌なことをされたから怒るのはわかるけど、人を叩いてはいけません」

けんかの仲裁

おもちゃの取り合いをしている場合は、まずその争いを解決できるかどうか、少し時間を与えましょう。
もし暴力に発展し始めたら、
「乱暴するなら、おもちゃを片づけます。また後で遊ぼうね」
と言って、そのおもちゃを片付けてしまいましょう。

けんかで強引にひったくったおもちゃを子どもに持たせたままにしてはいけません。返させることで、乱暴に扱っても欲しいものは手に入らないと分からせるのです。

叩かない子に育てる

幼児が叩くのは発達上正常なことです。
幼児がより効果的なコミュニケーションの方法を学ぶ準備ができるまで、優しく毅然とした態度で見守り、対処するのが保護者の仕事です。

言葉を話す前の乳幼児

注意深く見守り、他の子供とトラブルになりそうな時は、その場を離れたり、好きなおもちゃを見せて気をそらせたり、方向転換をさせましょう。

親の注目や愛情を求めている場合

保護者の関心や愛情、関わりを求める時、暴力を振るうことがあります。忙しい大人は、いつも子供と遊んだり、くつろいだりする時間があるとは限りません。
「ねえ、ママ、こっち来てー」
「ママ見てー」
と言われても、無視したり、「あとでね」と言ったり、子供と十分に関わらない時、子供は暴力を振るったり、保護者が無視できないような迷惑な行動をとり、確実に親が自分のところにくるようにします。子供にとっては、保護者に無視されるよりは、叱られる方がまだましなのです。子供にとって、問題行動が保護者と関われる唯一の方法だったとしたら、今後も問題行動はさらに悪化してしまいます。

言葉を話す子ども

言葉を話す子どもには、感情と行動は違うことを教えましょう。ネガティブな感情は決して悪いものではありません。しかし、たとえ腹が立ったとしても、他人を殴ってもいいわけではないのです。

叩いてしまった子供の気持ちを理解しましょう。たいていの場合「やられたからやり返すのは当然」だと信じています。そのような子どものつらく、苦しい気持ちを受け入れ、肯定した上で、「暴力でやり返す」以外の方法で問題を解決できるように手助けしてあげると、子どもは励まされた気持ちになります。

1つの例として、嫌な気持ちになったことを親や先生に言うことです。
腹が立った時はその場から立ち去るという方法もあります。

子供が落ち着く場所

子供が落ち着ける場所があるといいですね。
かんしゃくを起こした時や怒りがおさまらない時など、気分が落ち着くまで安全で一人になれる場所にいることができます。リビングの一角にクッションやぬいぐるみを置いたコーナーを作っても良いですし、シーツのような大きな布を被せて、テントのようにしても良いです。

タイムアウトにも使えますが、お仕置きに使うのではなく、ちょっとした安全基地として使ってみましょう。

ごっこ遊びで問題解決の練習

子どもたちがごっこ遊びをしている時に、敢えて困った状況を設定し、遊びの中で問題解決の練習をさせてみましょう。
お気に入りのおもちゃを取られてしまった幼児になりきって、どう返せばいいか教えてあげましょう。

大人の見本例
「それは私のだよ、返して!」
「じゃあ順番に使おう」

それでもだめなら、大人に助けを求めるように教えます。

まとめ

幼児が叩くことは、正常な発達の一部です。親・保育者として、共感、理解、そして優しい指導を通して、子供をより良いコミュニケーションと問題解決型学習に導くことができます。保護者自身が子供を叱り飛ばしたり、暴力に頼るのではなく、スキル育成に重点を置くことで、子供はやがてこの行動を卒業するでしょう。


References

https://starthereparents.com/sensory-processing-disorder-and-aggressive-behavior/

https://www.parents.com/toddlers-preschoolers/development/behavioral/tough-toddlers-4-common-triggers-for-hitting-and-biting/

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