あいこ@小説編集者

フリーランスの小説編集者。 小説の編集歴20年以上。 講談社、白泉社、ハーパーコリンズ…

あいこ@小説編集者

フリーランスの小説編集者。 小説の編集歴20年以上。 講談社、白泉社、ハーパーコリンズ・ジャパンなどで 100冊以上出版。 ジャンルはエンタメ、ファンタジー、恋愛、BL、TL小説。 https://aikonovels.hp.peraichi.com

最近の記事

冗漫や冗長って、どう直したらいい?

「小説が冗長です」とか「無駄な部分が多いです」 などと言われた場合、どうしますか? プロ作家でも、改稿の際に直すのは、 この「冗長部分」というのがトップ5に入るくらい、 やはり多いですね。 作家さん本人ではたぶん、気づかないことが 多いんじゃないかな~と思う、「冗長」。 「冗長」ってなに? とまずは基本的なところから ご説明しましょう。 読者が読んでいて 「えー、つまんなーい」「退屈~」 「なんかダラダラしてるから、読み飛ばしちゃえ!」 って思うところです。 もちろ

    • 自分で自分をプロデュースする時代

      アマチュアの方の小説の講評サービスをするように なって気づいたことは、みなさん結構、悩んだり迷ったり しているのだなぁ……ということです。 いや、もちろんプロの作家だって日々悩んでますよ? どの出版社で書いたほうがいいか、 どの設定がいいか、販促はどうしていこうか…などなど。 けれども、プロ作家は基本的に自分の道は 自分で決めていかなければいけない、というスタンスでいます。 まぁいうなれば「自営業者」みたいな感じというか、 「一人起業家」みたいなものというか。 今は情報

      • あなたの作家としての個性を見極めます!

        今年1月から始めた 「プロ編集者が、あなただけの個性や魅力を発掘します」 というこちらのサービス。 長編小説の場合は5作品ほど読んで、強みと弱みを見極めて、 今後の方向性のご相談に乗る、というものなのですが、 意外と好評のようで、ご感想をいただいたので こちらにもリンクを貼っておきます。 詳しいやりとりの掲載の許諾をいただいたので、 いろいろ書きたいところではあるのですが、 それは後日にさせていただきまして、今回は 私のほうでも感想を書いていきたいと思います。 一人の作

        • プロ作家とアマチュアの一番大きな違い

          プロ作家とアマチュアでは確実に大きく 違うことが一つあります。 それは何かというと―― 自分が書きたいものと読者が読みたいものは違う ということをわかっている ということです。 書きたいもの=読みたいもの であることは、非常にまれです。 正確に言うと、完全には一致していない、ということです。 もちろん、物語の大枠、大きな部分は合致していないと、 すり合わせることすら無理なのですが、 細部やちょっとした方向性などが、 書きたいものと読みたいもので違っているのは通常です

        冗漫や冗長って、どう直したらいい?

          Q&A 絶対にプロット通りに書かないとダメ?

          プロットについては、前にも記事を書きましたので、 プロットの書き方について知りたい! という方は、 ぜひこちらから読んでみてくださいね。 さて、今回はプロットを作った後の話、 プロット通りに書くか書かないか、 について話したいと思います。 というのも今、プロット通りに書かなかったために、 大変なことになってしまっている作家さんがいるためです(笑)。 アマチュアの方はたとえプロット通りに 書かなかったとしても、出来上がりが違った、 というだけで大問題にはならないかもしれま

          Q&A 絶対にプロット通りに書かないとダメ?

          Q&A プロ作家になりやすいジャンルってありますか?

          小説を書く時に、「ジャンル」って大切ですよね。 もちろん、私の作品は無ジャンル、 ジャンル分け不可能だわ! というものもあるかもしれませんが。 しかし、ジャンル分けできないとなると、 どうやって売ったらいいか難しいところもあります。 出版は、読者ありきです。 読者がいなきゃ、買ってくれる人がいなきゃ、 本が出せないんです。 すばらしい商品を開発しても、 誰も買ってくれる人がいなければ 商売が成り立たないのと同じです。 とんでもなくいい食品ができたけれども、 お菓子でも

          Q&A プロ作家になりやすいジャンルってありますか?

          電子書籍と紙書籍の違い

          電子書籍と紙書籍では、作る際に、 最初からコンセプトや作り方が違います。 紙書籍は大体が電子書籍として売られていたりしますが、 電子書籍は必ずしも紙書籍になるとは限りません。 つまり、電子のみで売られている作品も多くあります。 電子のみで売る作品と、紙&電子で売る作品。 編集者の中では、それは明確に違いがあります。 まずは、電子書籍は簡単ですよね。 個人でもkindle出版できてしまうくらいなので、 印刷する手間もないし、各書店への物流もない。 ですので、気軽に作れる

          電子書籍と紙書籍の違い

          講評で気をつけなければいけないこと

          小説の講評って、実はちょっと難しいと思いませんか? だって、「この小説は良い」「この小説は悪い」 ……そんな風に良し悪しがはっきりしてるものでは 本来はないですよね、小説って。 確かに、「万人受けする」「万人受けしない」 という作品の違いはあるかもしれませんが。 小説を読んでいると「これは駄目だな」 「これはすごくいい!」と、今までの編集経験から 照らし合わせて、良し悪しが見えてくるのも事実です。 そしてそれは往々にして、「出版」ということを考えると 当たっていることが

          講評で気をつけなければいけないこと

          売れる小説を作るテクニック ~隙間を探す~

          出版界ではやはり、二番煎じというのは多いですね。 ドカーンと売れるものがあると、「お、これ売れるんだ」 とみんなが気づいて、次々と似たものが出てくる、というアレです。 まぁこれは当たり前というか、どの分野でも 起こることではありますけども。 しかし、売れたものとまったく同じものを出す、 というわけにはいきませんので、 少しアレンジしたり、違う要素を付け加えたりします。 「売れる小説」を考えるときに大事なのが、 売れた作品の隙間を探す、という考え方です。 売れているもの

          売れる小説を作るテクニック ~隙間を探す~

          売れない作家が売れる時

          「売れない作家」が急に「売れる作家」になった瞬間、 という話をしてみたいと思います。 割合的には徐々に売れていく方や、あまり変動のない作家さんのほうが 多いとは思いますが、何年も作家をやってきて売れていない方が、 ある作品を境に急に売れていく時、というのは確かにあります。 例えば、ジャンルを変えた時。 これはBL作家さんなどでは結構あるので、 ご存じの方も多いかもしれませんね。 BL=ボーイズラブで力のある作家さんが、 一般文芸にいって大ヒット、というのは 少し前から一

          売れない作家が売れる時

          アマチュアにあってプロ作家にないもの

          実は、アマチュアが持っていてプロ作家が持っていないものもある、 と言ったら驚きますか? もちろん、逆にプロ作家だから持っているもの ――読者とか人気とか名声とかお金とか―― というのは、いろいろあるかもしれませんが。 アマチュアだからこそ持っているもの。 それは―― 【自由】です。 執筆の時の「自由さ」と「気楽さ」です。 プロ作家もね、ある程度自由にものを書いている人もいますよ。 でもね、「読者からの期待」や「編集部からの要望」や、 「ジャンルの制限」や「売れるものを書

          アマチュアにあってプロ作家にないもの

          短編では作家の力量はわからない

          短編と中長編の小説って、 実は書き方も評価の仕方も違うって知ってました? ここをあまりわからずに、「どっちも小説なんだから、一緒でしょ」と してしまうと、公募などで大失敗してしまうこともあります。 端的に言うと、中長編の小説はいわゆる「小説」ですが、 短編は同じように考えてはいけません。 短編は特殊なのです。 短編というのは、ここでは一万字以内のものとしますが、 アイディア勝負、ネタが全てです。 一方で中長編は、描写や造形など、作家としての本来の力量が問われてきます。

          短編では作家の力量はわからない

          小説は「テーマ」が大事?

          小説を投稿する時、あらすじとともに、 「テーマ」も書いてください、と言われたりします。 小説のテーマ。 この小説で言いたいこと、伝えたいこと。 小説のテーマは大事です、って言うけど、ほんと? なら、まずはテーマを考えないと! この「テーマ」ですが、後付けで大丈夫です。 だって最初から、「このテーマで書こう!」と思って、 よい小説が書きあがるとは、ちょっと思えません。 小説のテーマは例えば…… 主人公が数々の困難を乗り越え成長する物語。 とか、 禁じられた相手との切なく

          小説は「テーマ」が大事?

          プロを目指す小説講座2. 自分の個性を知り、弱みを克服する

          第一回目は「自分の強みを見つける」 ということで、記事を書きました。 最初はこちらから読んでいただいたほうが、 理解が深まるかと思います。 第二回目は「自分の個性を知り、弱みを克服する」です。 弱みを知ることは、実は自分自身の個性を知ることでもあります。 第一回目の最後にもちょっと書きましたが、 「強み」の裏には、「弱み」があります。 実は、「強み」と「弱み」はセットなんです。 「強み」を知り、自分自身の「よいところ」を 最大限に活かしていく、ということは、もちろん 大

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          弱みを克服する――構成力

          今回は、「構成力がない」 「小説の構成って難しい」 という方向けのお話です。 いま、プロを目指す小説講座の第2回目、 【その2.自分の個性を知り、弱みを克服する】 を書いています。 「弱点を克服する」方法について、 「自分の小説の弱い部分を見つけ、 プラスに転じていくやり方」について記事にしているのですが、 けっこうなボリュームになっております。 今回はその中から、ちょっと抜粋して、 お届けしようと思います。 弱点は構成力。 構成に問題がある――という場合。 構成っ

          弱みを克服する――構成力

          官能シーンを上手に書くには?

          今回は、「ボーイズラブ(BL)」「ティーンズラブ(TL)」に 必須の「官能シーン」について書きます。 関係のある方だけ読んでいただければ、と思います。 さて、官能シーン。 通常、我々は「官能シーン」なんて言わないですけどね。 なんて言うかというと、普通に「エッチシーン」です。 これは「ラブシーン」とは違うものです。 ラブシーンは、恋愛小説なら、そしてラノベなら、 結構な頻度で出てくるものですよね。 いわゆる、「告白シーン」「キスシーン」などが それに当たるかと思います。

          官能シーンを上手に書くには?