あいこ@小説編集者

フリーランスの小説編集者。 小説の編集歴20年以上。 講談社、白泉社、ハーパーコリンズ…

あいこ@小説編集者

フリーランスの小説編集者。 小説の編集歴20年以上。 講談社、白泉社、ハーパーコリンズ・ジャパンなどで 100冊以上出版。 ジャンルはエンタメ、ファンタジー、恋愛、BL、TL小説。 https://aikonovels.hp.peraichi.com

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固定された記事

本当に読者に届く小説の書き方とは?

1.自己紹介 出版社って、閉ざされた世界ですよね。 本や電子書籍が出版されているのは知ってるけど、 数々の新人賞や小説の賞もあるけれど、 その裏側って実はほとんど…

小説を書くレベルの話

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恋愛小説は「感情移入」が肝という話

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冗漫や冗長って、どう直したらいい?

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自分で自分をプロデュースする時代

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講評で気をつけなければいけないこと

小説の講評って、実はちょっと難しいと思いませんか? だって、「この小説は良い」「この小説は悪い」 ……そんな風に良し悪しがはっきりしてるものでは 本来はないですよ…

売れる小説を作るテクニック ~隙間を探す~

出版界ではやはり、二番煎じというのは多いですね。 ドカーンと売れるものがあると、「お、これ売れるんだ」 とみんなが気づいて、次々と似たものが出てくる、というアレで…

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アマチュアにあってプロ作家にないもの

実は、アマチュアが持っていてプロ作家が持っていないものもある、 と言ったら驚きますか? もちろん、逆にプロ作家だから持っているもの ――読者とか人気とか名声とかお…

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短編と中長編の小説って、 実は書き方も評価の仕方も違うって知ってました? ここをあまりわからずに、「どっちも小説なんだから、一緒でしょ」と してしまうと、公募など…

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小説を投稿する時、あらすじとともに、 「テーマ」も書いてください、と言われたりします。 小説のテーマ。 この小説で言いたいこと、伝えたいこと。 小説のテーマは大事…

本当に読者に届く小説の書き方とは?

本当に読者に届く小説の書き方とは?


1.自己紹介

出版社って、閉ざされた世界ですよね。
本や電子書籍が出版されているのは知ってるけど、
数々の新人賞や小説の賞もあるけれど、
その裏側って実はほとんどの人が知りません。

私はフリーランスの小説編集者です。
小説の編集歴は長く、20年以上になります。
主にライトノベル、恋愛小説をメインに編集をしてきました。

出版の裏側は実はあまり面白いものではないのですが(笑)、
アマチュアの方

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小説を書くレベルの話

小説を書くレベルの話

小説を書く人のレベルって
本当にさまざまなんですよね。

プロ作家にももちろんそれはあって、
プロになりたての新人作家とか、
何十年もやってきたベテラン作家とか、
プロの中でもレベルがあります。

私は今、アマチュアの方向けの講評サービスで
いろいろな方の小説を読んでいますが、
全体的にわりとレベル高め、プロ作家並みの力量を持つ方も多いです。

とはいえ、「初めて小説を書きました!」という人から、

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恋愛小説は「感情移入」が肝という話

恋愛小説は「感情移入」が肝という話

女性向けライトノベル、ティーンズラブ、ボーイズラブ。
どれも女性読者が主人公に「感情移入」して読む小説です。
だから、共感性の高い主人公、感情移入できるヒロインが大切です。

そんなのわかってるよ!

……と、思うかもしれません。
ライトノベルや恋愛小説を書く上では
基本の「キ」ですから。

だからみなさん、共感性の高い、魅力ある主人公を
作ろうと、そして動かそうと頑張っていると思います。

が、

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冗漫や冗長って、どう直したらいい?

冗漫や冗長って、どう直したらいい?

「小説が冗長です」とか「無駄な部分が多いです」
などと言われた場合、どうしますか?

プロ作家でも、改稿の際に直すのは、
この「冗長部分」というのがトップ5に入るくらい、
やはり多いですね。

作家さん本人ではたぶん、気づかないことが
多いんじゃないかな~と思う、「冗長」。

「冗長」ってなに?
とまずは基本的なところから
ご説明しましょう。

読者が読んでいて
「えー、つまんなーい」「退屈~」

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自分で自分をプロデュースする時代

自分で自分をプロデュースする時代

アマチュアの方の小説の講評サービスをするように
なって気づいたことは、みなさん結構、悩んだり迷ったり
しているのだなぁ……ということです。

いや、もちろんプロの作家だって日々悩んでますよ?
どの出版社で書いたほうがいいか、
どの設定がいいか、販促はどうしていこうか…などなど。

けれども、プロ作家は基本的に自分の道は
自分で決めていかなければいけない、というスタンスでいます。
まぁいうなれば「自

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あなたの作家としての個性を見極めます!

あなたの作家としての個性を見極めます!

今年1月から始めた
「プロ編集者が、あなただけの個性や魅力を発掘します」
というこちらのサービス。

長編小説の場合は5作品ほど読んで、強みと弱みを見極めて、
今後の方向性のご相談に乗る、というものなのですが、
意外と好評のようで、ご感想をいただいたので
こちらにもリンクを貼っておきます。

詳しいやりとりの掲載の許諾をいただいたので、
いろいろ書きたいところではあるのですが、
それは後日にさせて

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プロ作家とアマチュアの一番大きな違い

プロ作家とアマチュアの一番大きな違い

プロ作家とアマチュアでは確実に大きく
違うことが一つあります。
それは何かというと――

自分が書きたいものと読者が読みたいものは違う
ということをわかっている

ということです。

書きたいもの=読みたいもの

であることは、非常にまれです。
正確に言うと、完全には一致していない、ということです。

もちろん、物語の大枠、大きな部分は合致していないと、
すり合わせることすら無理なのですが、
細部

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Q&A 絶対にプロット通りに書かないとダメ?

Q&A 絶対にプロット通りに書かないとダメ?

プロットについては、前にも記事を書きましたので、
プロットの書き方について知りたい! という方は、
ぜひこちらから読んでみてくださいね。

さて、今回はプロットを作った後の話、
プロット通りに書くか書かないか、
について話したいと思います。

というのも今、プロット通りに書かなかったために、
大変なことになってしまっている作家さんがいるためです(笑)。

アマチュアの方はたとえプロット通りに
書か

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Q&A プロ作家になりやすいジャンルってありますか?

Q&A プロ作家になりやすいジャンルってありますか?

小説を書く時に、「ジャンル」って大切ですよね。
もちろん、私の作品は無ジャンル、
ジャンル分け不可能だわ! というものもあるかもしれませんが。

しかし、ジャンル分けできないとなると、
どうやって売ったらいいか難しいところもあります。

出版は、読者ありきです。
読者がいなきゃ、買ってくれる人がいなきゃ、
本が出せないんです。

すばらしい商品を開発しても、
誰も買ってくれる人がいなければ
商売が

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電子書籍と紙書籍の違い

電子書籍と紙書籍の違い

電子書籍と紙書籍では、作る際に、
最初からコンセプトや作り方が違います。

紙書籍は大体が電子書籍として売られていたりしますが、
電子書籍は必ずしも紙書籍になるとは限りません。
つまり、電子のみで売られている作品も多くあります。

電子のみで売る作品と、紙&電子で売る作品。
編集者の中では、それは明確に違いがあります。

まずは、電子書籍は簡単ですよね。
個人でもkindle出版できてしまうくらい

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講評で気をつけなければいけないこと

講評で気をつけなければいけないこと

小説の講評って、実はちょっと難しいと思いませんか?
だって、「この小説は良い」「この小説は悪い」
……そんな風に良し悪しがはっきりしてるものでは
本来はないですよね、小説って。

確かに、「万人受けする」「万人受けしない」
という作品の違いはあるかもしれませんが。

小説を読んでいると「これは駄目だな」
「これはすごくいい!」と、今までの編集経験から
照らし合わせて、良し悪しが見えてくるのも事実で

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売れる小説を作るテクニック ~隙間を探す~

売れる小説を作るテクニック ~隙間を探す~

出版界ではやはり、二番煎じというのは多いですね。
ドカーンと売れるものがあると、「お、これ売れるんだ」
とみんなが気づいて、次々と似たものが出てくる、というアレです。

まぁこれは当たり前というか、どの分野でも
起こることではありますけども。

しかし、売れたものとまったく同じものを出す、
というわけにはいきませんので、
少しアレンジしたり、違う要素を付け加えたりします。

「売れる小説」を考える

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売れない作家が売れる時

売れない作家が売れる時

「売れない作家」が急に「売れる作家」になった瞬間、
という話をしてみたいと思います。

割合的には徐々に売れていく方や、あまり変動のない作家さんのほうが
多いとは思いますが、何年も作家をやってきて売れていない方が、
ある作品を境に急に売れていく時、というのは確かにあります。

例えば、ジャンルを変えた時。
これはBL作家さんなどでは結構あるので、
ご存じの方も多いかもしれませんね。

BL=ボーイ

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アマチュアにあってプロ作家にないもの

アマチュアにあってプロ作家にないもの

実は、アマチュアが持っていてプロ作家が持っていないものもある、
と言ったら驚きますか?
もちろん、逆にプロ作家だから持っているもの
――読者とか人気とか名声とかお金とか――
というのは、いろいろあるかもしれませんが。

アマチュアだからこそ持っているもの。
それは――

【自由】です。
執筆の時の「自由さ」と「気楽さ」です。

プロ作家もね、ある程度自由にものを書いている人もいますよ。
でもね、「

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短編では作家の力量はわからない

短編では作家の力量はわからない

短編と中長編の小説って、
実は書き方も評価の仕方も違うって知ってました?

ここをあまりわからずに、「どっちも小説なんだから、一緒でしょ」と
してしまうと、公募などで大失敗してしまうこともあります。

端的に言うと、中長編の小説はいわゆる「小説」ですが、
短編は同じように考えてはいけません。
短編は特殊なのです。

短編というのは、ここでは一万字以内のものとしますが、
アイディア勝負、ネタが全てで

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小説は「テーマ」が大事?

小説は「テーマ」が大事?

小説を投稿する時、あらすじとともに、
「テーマ」も書いてください、と言われたりします。

小説のテーマ。
この小説で言いたいこと、伝えたいこと。
小説のテーマは大事です、って言うけど、ほんと?
なら、まずはテーマを考えないと!

この「テーマ」ですが、後付けで大丈夫です。
だって最初から、「このテーマで書こう!」と思って、
よい小説が書きあがるとは、ちょっと思えません。

小説のテーマは例えば……

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