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日活ロマンポルノ『桃尻娘シリーズ』ネタバレ感想/竹田かほりと亜湖の名コンビ

竹田かほり演じるレナと、亜湖演じる裕子の青春模様を描いたエロティックコメディ。『桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール』、『桃尻娘 ラブ・アタック』の前2作は日活ロマンポルノとして制作されたが、3作目の『桃尻娘 プロポーズ大作戦』は一般映画として公開された。

日活ロマンポルノの中でも若い層向けで、女性でも見やすい印象。しかし、平成っ子の私には70年代のティーンのリアルが分かりかねるので、妙に芝居がかったセリフ回しなど、どこまで当時のティーンを再現しているのかは気になる。

では、それぞれの作品についてみていこう。


桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール

©︎日活

これは3作を通して言えることだが、竹田かほりがとにかく可愛い。1作目である本作は、先輩と初体験を済ませたレナ(竹田かほり)が生理が来なくて焦っているところから始まる。そんなレナの焦りなど知らず、性に興味があるものの不潔だわと拒絶している裕子(亜湖)。

性に関することでショックを受けた裕子は突如置き手紙を残し、どこかに行ってしまう。裕子を鬱陶しく思いながらも放っておけないレナは裕子を追いかけ、その道中で刑務所帰りの夫とその妻子のゴタゴタに巻き込まれていく。

レナを散々不潔と言っていたくせに、いざ初体験を済ませてしまうと、レナちゃんより私の方が大人な体験したのよ、と大人ぶり、裕子の鬱陶しさは増していく。日活ロマンポルノらしいねっとりとした絡みはそう多くなく、基本はレナと裕子を取り巻くドタバダ劇で進んでいく。

レナが裕子を追いかけて乗った列車の中で、「裕子、あんたってどこまでanan、non-noふうなの」と呟くのが何ともおかしい。anan、non-noは今もある女性誌だが、そのイメージは恐らく当時の70年代と今では違うのだろう。それに雑誌を読む人々が激減し、ファッションなどを取り入れるメディアが多様化した現代では、“non-noふう”といった言葉はまず使われない。

ラストとも素晴らしい。ベッドインしたレナが行為を終えるとシーツに血がついている。相手の男は処女だったのかと驚くが、レナは飛び跳ねて喜ぶ。そう、生理が来たのである。冒頭の悩みがラストで解決されるのだ。


桃尻娘 ラブ・アタック

©︎日活

レナ&裕子コンビの2作目。2作目以降裕子のキャラは何がしたいのかよく分からないが、とりあえず恋愛に盲目な体質というテイになっている。裕子のゴタゴタに巻き込まれるレナという構図に、時折同性愛者の源ちゃん(高橋淳)が絡んでくる。

今回は裕子が妊娠し、子供を堕ろすために手伝ってほしいという。レナは処女同盟にカンパを募るが、そもそも処女の人数が減っているため大して集まらない。ここら辺は平成っ子としては、はははと笑って受け止めにくく、複雑な気持ちになる。

レナはひょんなことからおっとりした同級生・涼子(栗田洋子)と仲良くなる。すると涼子の父親はピンクサロン『ロリータ』の経営者だという。涼子に頼み込み、高校生ということを隠してレナと裕子はそこで働くことに。

ナンバーワン嬢のド・ヌーヴ(カトリーヌ・ド・ヌーヴからきているのだろう)の営業テクニックに驚きつつも、なぜか裕子は私もナンバーワンを目指すと言い始める。レナは、人気がなくクビを言い渡された女のために体を張って経営者と関係を結んでクビを撤回してもらう。

そもそも働く気がなかったのにサロンで働くことになったレナがそこまで体を張る必要があるのか…と思わなくもないが、日活ロマンポルノである以上ヒロインのレナのベッドシーンが必要だったのかも。そのシーン以外にレナが脱ぐシーンは出てこない。

学園ムービーらしく、本作は文化祭が出てくる。出し物はお化け屋敷。おっとりとしているけれど少し変わっている涼子の発案だ。涼子は赤ちゃんそっくりのパンを作ってその赤ちゃんを食らう役を自ら望んでやる。なかなかのホラーだが、その直後涼子と同級生、裕子と同級生がそれぞれ文化祭の真っ只中に行為を始めるという日活ロマンポルノならではのシーン。

ここでレナはただ見ているだけの側になり、続く三作めではもはやベッドシーンはなくなる。


桃尻娘 プロポーズ大作戦

©︎日活

冒頭でも説明したが、3作目となる『桃尻娘 プロポーズ大作戦』は日活ロマンポルノではなく、一般映画として制作・上映された。そのため、ベッドシーンはそう多くない。

とうとう高校卒業を迎えたレナ&裕子。レナは早稲田大学に受験したが、不合格、浪人となった。(それまで学業熱心だった姿は全く描かれていなかったため、早稲田か、と驚いた)

一方、裕子は相変わらず恋に生き、アングラの劇団員の彼を追って北海道に行くという。レナは一人東京で浪人生活。飽き飽きしていたところに、青大に入学した源ちゃんが片想い中の先輩に会いに北海道に行くというのでレナもついて行くことに。

アングラ劇団は型にとらわれないフリーな生を謳歌し、表現しているという。裕子は劇団にすっかり感化されているようで、内実恋に生きているだけの模様。北海道でレナが出会ったのは、父親を亡くし、母親は男に体を売り子供2人を育てているという一家。そこの末の男の子にレナは慕われる。

ボクにはまだ早いよ。これぞ、大人のお姉さんポジションにレナがなるのがミソのようだが、何とも青年漫画のような展開であまり良いとは思わなかった。

レナと裕子の名コンビで3作まで乗り切ったが、青春エロティックコメディとして面白かった(トンデモ要素も楽しめたのは)2作目までかもしれない。3作目も面白くないわけではなく、サクッと楽しめる映画ではあるが、色々と弱いな、と思う部分はある。

とはいえ3作を通して、過激な性描写もなく日活ロマンポルノとして非常にライトである上に、とにもかくにも竹田かほりが可愛いので気軽に見るにはおすすめである。

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