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必ず理由がある

両親に暴力を振るう、あるいは殺害してしまうような事件もしばしば起こっています。またアルコール依存症や薬物依存症、いじめ、虐待、引きこもり、窃盗、摂食障害などの問題もテレビや新聞などでよく取り上げられています。しかし、その原因について掘り下げて伝えているものは、見たことがないように感じています。
『両親を殺害してしまった少年はとても優秀な生徒だった、なぜ?』とか『アルコールや、薬物、ギャンブルなどの依存症は人生を棒に振る』とか『いじめのない社会へ』など誰でもわかるような事しか伝えていないような気がするのです。
しかし、どんな物事でも必ず原因があって起こっているのです。それを掘り下げなければ、情報など何の意味もないと思うのです。
私たちは情報を受け取って「かわいそう」とか「怖い」とか「何でそんなことするの」とか「気持ちが弱いから」とか、表面だけを見て感想を述べ、そして家族に「こんな事してはいけないよ」と注意するのです。
大切なのは注意する事ではなくて『なぜ、そのような事が起きたのか』という原因なのです。人は意識で「やろう」と決めるから動きます。意識で「やろう」と思った事には理由があります。この理由が無意識下にあると思うのです。
悲惨な事件や問題は、その人が無意識下に抱えている悲しみ、怒り、憎しみが表面化したものであると思います。自分の中では抱えきれなくなり、表面化する事で自分のバランスをとっているのです。それは表面的にはひどい事件や問題であり、家族や周りの人にも被害を与えてしまう、本当に恐ろしく悲しい事です。しかし本人は、そうしなければいられない程苦しくて、この苦しみのやり場が無くて、常に吐き出す場所を求め続けていたのです。それが何かのきっかけで、衝動的に殺人を犯す事になったり、アルコール依存症になったり、薬物依存症になったり、いじめや虐待などの形で表面化しているのです。
もし家族の中で何か問題を抱えている人がいたら、その事実、表面だけを見て指示したり、注意したり、言い聞かせようとするのではなくて、本人が抱えている悲しみや怒りを語れる環境を作ってあげる事が、一番大切であるように思います。
特に子供は、両親に対して複雑な思いを抱いているケースが多いと思います。本当は大好きでいたいのに、そう思えない自分、そう思わせてくれない両親の言動、迷惑はかけたくない、がっかりさせたくない、でもそうせずにはいられない、など様々な葛藤を抱えていると思うのです。そういった思いの表面化が外に向いて攻撃的であったり、逆に自分に向いて自滅的であったりすると思うのです。
いずれにしても、本人が抱えている悲しみや怒りやは、抑圧せざるを得なかった感情です。そうする事で家族の平和を守ってくれていたと思うのです。自分の感情を殺して、家族を優先していたのです。しかし本当は子供に背負わせてはいけないのです。
純粋で優しい子程、家族の違和感を察してバランスをとってくれているものなのです。
その事実を両親や家族は知るべきであるし、責任を感じるべきです。そしてその純粋な子供に対して、素直に心から謝るべきだと思うのです。そうする事でその子供の思いが報われるのではないかと思うからです。
その問題の表面だけを見て、解決しようとするのではなく、原因となっている悲しみや怒りを両親や家族が理解し、心から謝罪の意を示す。この謝罪を受け止めてもらうまでには忍耐が必要かもしれませんが、何を言われても、裏切られても続ける事だと思うのです。
その先には必ず、お互いに笑顔で話せる時間が待っていると思うからです。

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