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突然の小説・ポエムご容赦ください。

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小説やポエムの格納場所。甘酸っぱいラブストーリーから、ちょっぴりダーティーな物語まで。note編集部おすすめ記事入り/企業ピックアップ/プロの作家から賞賛……など、実力派作品ばか… もっと読む
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なぜ人は“今あるもの”を数えるのか

なぜ人は“今あるもの”を数えるのか

私の読書記録によると、「自己啓発本にはおおよそ同じ内容ばかり書かれている」と気づいたのは、社会人4年目になった26歳の頃だった。

20代を通して、私は自己啓発本にハマっていた。きっかけは、大学3、4年生のときの就職活動だ。私は、「就活が不得意」な学生であった。曲がりなりにも文学部で、文芸創作ゼミに所属していたため、文章はまあまあ書けるほうだったのだと思う。エントリーシートなどの書類選考で落とされ

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【お知らせ】再春館製薬所様のWebサイト『読み薬』に、私の言葉が掲載されました!

【お知らせ】再春館製薬所様のWebサイト『読み薬』に、私の言葉が掲載されました!

とってもお久しぶりなハッピーなご報告です♡

あっ、もしかしてnoteでは新年のご挨拶がまだでしたね……?!
明けましておめでとうございます。
昨年はびっくりするくらい、noteを書きませんでした笑
更新は少なかったけれど、そのぶん1記事1記事に濃い内容が書けたのではないかなと思っています。

そして、noteを始めて8年が経っていたそうです。

今年はスクラップアンドビルドな1年にしていくので、

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32歳のスクラップアンドビルド

32歳のスクラップアンドビルド

「あきちゃんは引き出しが少ない」

――と、ライターの佐藤友美さん(以下、さとゆみさん)に言われたのは、4月に行われた「さとゆみゼミ卒業生インタビュー」のときだった。その言葉は、今も私の耳に残っている。「おっしゃる通りです」と思ったからだった。

私は、今年の1月から3ヶ月に渡って開講された、「さとゆみビジネスライティングゼミ3期(以下、さとゆみゼミ)」を受講していた。読んで字のごとく、長年ライタ

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書くために生まれてきたんじゃなかった。

書くために生まれてきたんじゃなかった。

……と、思うようになったのは、春先のことだった。

いや、春先ではなかったかもしれない。心の底では薄々気づいていたのだけど、頑張って見ないふりをしていた。本当は、ずっと前から気づいていたのだと思う。私は、書くために生まれてきたんじゃなかったんだろうなって。

それを自覚した頃、私は毎日のように誰かの話を聞いていた。以前は、「面白い話をして爪痕を残さなければ!」と、バラエティ番組のひな壇に座っている

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7年間ありがとうございました!公式LINEからニュースレター『Medy』へお引越しのお知らせ

7年間ありがとうございました!公式LINEからニュースレター『Medy』へお引越しのお知らせ

2023年上半期。こんなにも「文章」――もとい、「書くこと」に向き合うことになるとは思っていませんでした。

すっかりnoteではご無沙汰してしまいました、玄川阿紀です。noteが本拠地なのに……! 1ヶ月に1回は実りのある記事を更新しようと頑張っていたのに……!!

2023年1月から文章力を鍛える教室に通い、卒業すると同時にライターとして仕事を再開。この数ヶ月、ありがたいことに呼吸もままならな

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幸せは半熟卵のお味

幸せは半熟卵のお味

「人の生きる目的は、幸せになることなんだよね」

3年ほど前だろうか。いつも聴いているラジオで、ある声優さんが「幸福願望」について話されていたのを、今もぼんやりと覚えている。彼は「幸福願望」という言葉を尊敬する先輩から学んだのだと、柔らかい声で話していた。

演じるときには、まずその役がどんな「幸福願望」を持っているか考えるようにしている。善人だろうと悪人だろうと、人は「幸せ」に向かって生きている

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長編小説の執筆に役立ったものリスト🖋️

長編小説の執筆に役立ったものリスト🖋️

小説投稿サイト「エブリスタ」に長編小説『0組の机にポエム書いてるの私です!』を応募しました!✨

※元々noteに掲載していた小説を大幅改稿してアップしています。

この記事の本題に入る前に、少しだけ小説の宣伝をさせてください🙏💕

『0組の机にポエム書いてるの私です!』
ポエマー女子高生、あざとかわいい系イケメンに秘密がバレて溺愛される。

【📚STORY📚】
目立たないようにひっそりと

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「0組の机にポエム書いてるの私です。」第14話(最終話)

「0組の机にポエム書いてるの私です。」第14話(最終話)

「2年3組、1年間お疲れ様でした! かんっぱーい!!」
「かんぱーいっ!!」

 もんじゃ屋『よしこ』に、2年3組の生徒一同が集結していた。木村の音頭に合わせて、ジュースの入ったグラスをカチンとぶつけ合う。2年3組最後の“打ち上げ”が幕を開けた。

 もんじゃ屋『よしこ』は、桂冠高校の最寄り駅付近、学校側の出口とは反対の出口を、真っ直ぐ20分ほど歩いた線路沿いに位置している。文化祭や体育祭の打ち上

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「0組の机にポエム書いてるの私です。」第13話

「0組の机にポエム書いてるの私です。」第13話

 シンデレラみたい。

 清水坂を駆け下りていく央の後ろ姿を、悠日は呆然と眺めていた。お城から去っていくシンデレラを見送る王子様って、こんな気持ちなのかな。追いかけたいけど、追いかけてもどうにもならないことはわかっていて、黙って見送るしかない――……みたいな。――って、シンデレラは王子様にキレて帰っていったんじゃないか。

「悠日のバカ! アホ! ドジ!!」

 悠日に罵声を飛ばして、郁が横を通り

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「0組の机にポエム書いてるの私です。」第12話

「0組の机にポエム書いてるの私です。」第12話

 桂冠高校の修学旅行は、2学年の3学期、2月末に行われる。

 年度によって行き先は異なるものの、たいてい沖縄に向かうことが多い。しかし、央たちの学年は、生徒投票の結果、関西地方に決定していた。学年の教師たちに「沖縄よりも関西のほうが近くて交通費が浮く。そのぶんいいホテルに泊まっておいしい料理を食べよう」と、多くの生徒がそそのかされたからだ。古文や漢文、日本史を担当する教師が多く、単純に彼らが沖縄

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「0組の机にポエム書いてるの私です。」第11話

「0組の机にポエム書いてるの私です。」第11話

「ねぇ央。それ、悠日くんにあげるの?」

 2月13日の夜、央は夕飯の食器を片づけたキッチンで、いそいそとお菓子づくりに励んでいた。直子と暮らし始めてから、料理は生活に困らない程度にできるようになったけれど、お菓子づくりは初めての経験である。

 リビングから直子の声が聞こえて、央は手を止めた。卵と牛乳を入れたボウルに、ブラウニーミックスを注いている最中だった。学校の帰り道、駅ビルに入っている無印

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「0組の机にポエム書いてるの私です。」第10話

「0組の机にポエム書いてるの私です。」第10話

「ねぇ、央ちゃん。進路希望調査用紙、なんて書いた?」

 窓際の列の前から3番目の机で、ガリガリと日直日誌を書いていた央の手が止まった。ハッと顔を上げると、いつの間にか前の席に悠日が座っている。窓に背をもたれながら、右手に持った進路希望調査用紙をひらひらと空中に漂わせていた。

 放課後の教室は、央と悠日の二人きりだった。暖房がついている教室はぬくぬくと温かい。窓の向こうの空には、重たい曇が立ちこ

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「0組の机にポエム書いてるの私です。」第9話

「0組の机にポエム書いてるの私です。」第9話

「あ~~なんっっか違う」

 桂冠高校最寄り駅付近にあるカラオケボックスでは、2年3組のクリスマスパーティーが行われていた。本日は2学期の終業式。学校も午前中で終わるし、職員会議が重なっているから部活もオフだ。木村が企画したクリスマスパーティーには、クラスの生徒のほとんどが参加していた。

 歌詞を映した大きなディスプレイの横で、木村が野球部の連中と恋ダンスを踊っている。木村は、丸刈りを原則として

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「0組の机にポエム書いてるの私です。」第8話

「0組の机にポエム書いてるの私です。」第8話

 16時19分、新幹線は予定通り金沢駅に到着した。

 悠日はInstagramのDMを開いた。夏目先生からのメッセージが届いている。

「兼六園口の鼓門の下にいます」

 いよいよ、2年ぶりに央と夏目先生が再会を果たす。悠日ですら口から心臓が飛び出そうなほど緊張しているのだから、央の緊張はいかほどのものだろう。横目で央の様子をうかがう。しかし、いつものツンとした表情からは、残念ながら何も読み取る

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