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『王妃の首飾り』-その2 マリー・アントワネットの過ちとは?ベルサイユのばらの首飾り事件とは全く異なる驚きの展開-

(Spoiler Alert!ネタバレ注意!)

みなさん、こんにちは!

前回の記事では、ベルばらの首飾り事件との違いをみながら、アレクサンドル・デュマが描く『王妃の首飾り』の冒頭をご紹介しました。

ベルばらの首飾り事件とは全く異なる、驚きの展開にびっくりでしたが、今回も驚きの連続です💦

では早速、続きからみていきたいと思います。

また、ベルばらのYouTubeも記事の最後に貼っておくので、宜しければご覧くださいね。

前回は、ジャンヌがロアン枢機卿のつてで、ヴェルサイユ宮殿に入ることが出来た(!)ところまで、ご紹介しました。

このヴェルサイユ宮殿を訪れた時に、ジャンヌはとんでもない神業⁉をやってのけます。

なんと王妃マリー・アントワネットと王(ルイ16世)に謁見し、部屋(恐らく王妃の部屋)で、例の首飾りをジャンヌが実際に見るという場面があるんです。

その上、ジャンヌは、首飾りを実際に目にした後、王妃が最終的に、首飾りの購入をあきらたことを見聞きします。

王妃と同じ部屋で過ごし、王妃と話したというジャンヌに、ロアン枢機卿は驚き(読者も驚く😲)、「あなたは魔法使いだ!」と言う。

そして、ジャンヌは、「王妃は首飾りの購入を断ったが、本当は欲しがっている」とロアン枢機卿に言って、「1週間後にあの首飾りで身を飾れるように取り計らってくれた人を大臣にするでしょう」と、うまいことを言う。

その後、ロアン枢機卿は、ジャンヌにそそのかされた形で、パリの宝石商ベーメルの店に行って、首飾りを買う。

しかし、第1回目の支払いだけ済ませていて、残りの代金は、期限までに支払うということで、首飾りを手に入れたのだった。

ベルばらのジャンヌは、金銭欲が強い印象がありますが、こちらのジャンヌは、「ヴァロア家の末裔として見られること、そして王妃のお気にいりと呼ばれ、マリー・アントワネットを通じて、王を支配し、ひいては国を支配する」という野望を持っていて、この時点ではまだ詐欺事件を起こす考えはなかったようです。

そして、ここからさらに全くベルばらとは異なる展開なのですが、ジャンヌからロアン枢機卿が首飾りを購入したことを知ったマリー・アントワネットは、お金をロアン枢機卿に渡してくれるよう頼み、ヴェルサイユ宮殿において、王妃自らロアン枢機卿と会って、首飾りを受け取るんです!!

ベルばらのマリー・アントワネットは、首飾りを受け取ることはしなかったし、ましてやロアン枢機卿は王妃に嫌われていたので、えー!!!という感じでした。

でも、このストーリーの王妃は、ロアン枢機卿を嫌ってないんです。

これなら、マリー・アントワネットにも非があると思いませんか。

首飾りを一度、(ロアン枢機卿経由で)買っているんですからね。

でも、この後、王妃の思惑通りいかないことが起こります。

ルイ16世からもらえると思っていたお金が手に入らなかったのですΣ(・□・;)

そこで、王妃は、ロアン枢機卿に50万リーブルずつ支払っていく期限を先に延ばしてくれるよう、ジャンヌに頼む。

しかし、ジャンヌは、ロアン枢機卿は無一文(!)になっていることを告げる。

(ロアン枢機卿は、カリオストロに借金をしていたので、この時点では無一文だったのですが、前回の記事にも書いた通り、首飾り事件の主要人物のみに焦点をあてたいので、カリオストロの件は、ここでは省きます)

これを聞いた王妃は茫然とし(そりゃそうだ)、「私にはあの首飾りは必要なかったのだ」、そして「罰が当たった」とも言って、宝石商に首飾りを返すよう、ジャンヌに例の首飾りを渡してしまう。

なんということを!!!

なんで、軍艦1隻が買えるほどの首飾りを、ジャンヌに渡すの⁉

こうなれば、王妃にも責任があると思いませんか??

王妃は、ダイヤや高級な宝飾品等、見慣れているけど、元々貧しいジャンヌ(前回の記事でご紹介したように、彼女は施しを受けていた)が、途方もない首飾りをみたら、そりゃ魔が差すのも分からなくもない。

やはり、「ベルサイユのばら」の首飾り事件とは、全く別物のストーリーだと思って読まないといけませんね。

ダイヤが煌めく首飾りを、一旦家に持ち帰ったジャンヌは、その美しい首飾りを宝石商に返したくなくなっていた。

そうなるでしょう・・・。私もそうなるかもしれません。

私は、この時に、ジャンヌが詐欺のことを思いついたのではないかと思っています。

それまでは、ただヴァロア家の末裔として認められたい、最終的には国を支配していきたいという壮大な野望を持ってはいたものの、詐欺を起こすなんて考えていなかった。

まさに、首飾りを手にした瞬間、変わってしまったんですね。

その後、宝石商から首飾りは受け取ったという手紙をもらって、マリー・アントワネットは一安心。

しかし、宝石商のもとには、「3か月後に50万リーブル、残りは半年後に支払う」という手紙が届いていた・・・。

続く。




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