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ガムトーク・小説類

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ガムトークのお題で書いた小説たちです。
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記事一覧

【職務質問された話】4分読

【職務質問された話】4分読

※お題写真消えましたすみません。
※お題はガムトークで決めています。

「ちょっとお時間いいかな?」
聞き飽きたセリフに顔が歪んだ。

声の方向へと振り向くとガタイの良い警官から手帳を見せられ身分証を要求された。
この後はポケットとバッグの中身を確認されてから
「ご協力ありがとう、いい1日を!」
と言われるのだ。
そんなことが36回も起こっていた。

トラックに轢かれたのが前世の最後の記憶だった。

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【課金の話】6分読

【課金の話】6分読

「はーい、紙や木の六文銭をお持ちのかたはこちら~並んでください!」「おおい、まだかよ~こんなに待たされたら死んじまうよォ」
怒号の飛び交う白い列を横目に、するすると進んでいく。

三途の川は大繁盛で、長蛇の列だった。
最近は貨幣損傷等取締法で六文銭が紙や木になったので、低い等級の渡し船の利用者がこんなにも増えてしまったのだと言う。

いっぽう、私は座席付きのモーターボートで反対まで送られるそうだ。

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【しいたけの話】6分読み

【しいたけの話】6分読み

▲暴力的な内容があります。▲
SF要素があります。

「なんと、こちらのしいたけは原木をハンマーで叩くと収穫量が2倍になるんです!」
少女はテレビに釘付けになっている。
テレビではマイクを持ったリポーターがしいたけ農園を紹介している。
「なるほど、じゃあもっと叩けば何百倍にもなるかもしれませんね~!」アハハハと、テレビからの笑い声があがった。

…とんでもない発見をしてしまった。
少女は興奮に震え

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【ピザの話】5分読

【ピザの話】5分読

友人の事を思い出させるような天気だった。

台風にピザを頼む人間は一体どれくらいいるのか?
天気が良かったりキャンペーンの時ほどではないが、確実に“いる”
それは閑古鳥の鳴く店への配慮かもしれないし、ただ単純な好奇心や昨日のうちに食材を買えていなかった準備不足からかもしれない。

ともかくだ。従業員の安全確保のため、こういう日にはベテランのドライバーを出動させるべきである。が、台風を狙ってベテラン

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【カレーの話】5分読

【カレーの話】5分読

『カレーが好きです。』
妻との初対面で私はそう告げた、
出会ったのはどういう名目の飲み会だったか…
本当に他愛もない集まりだった気がする。

『カレー作ってみました。』
初めて彼女の家に招かれたとき食べたカレーは自分好みの家庭的な味で、とても美味しかった。
彼女はとても勤勉で、カレーについても沢山の試行錯誤をしていた。
器用にタイカレーにグリーンカレー、バターチキンカレーもスパイスから作って見せた

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【新聞の話】3分読

【新聞の話】3分読

俺は治安の悪い町に住んでいる。
この街は飯の種に困らないからだ。

毎日毎日どこかしこで犯罪が起きるので紙面を埋めるのに困ったことはない。事件の詳細をみるために飛ぶようによく売れる。会社も立派だ。

しかし、ある時からぱったりと犯罪が減った。
何かがおかしい…
たまたまかと思ったが3日、5日、1週間経っても事件が起こらない。
どんなに町を歩いてもただただ平穏が広がっている。

「こんにちはぁ」

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