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世の中のアパレル事情

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長い事アパレルで仕事していて感じた事っていうか、まあお仕事のお話。問題叩き潰しがメイン業務だったので、わりと端から端まで並列処理してた日々。 まあ実際のところ、アパレルから離れ… もっと読む
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2019年1月の記事一覧

アパレル業界で私が知ってること(予算管理篇2):ブランド単位は先行して予算構築してるのでつじつま合わせが大変。

 さて、月別ブランド別店舗予算が出来上がるのって、期末か期初にたたき台がでそろいます。まあ考えりゃわかるんですけど、企画としてはこの段階で夏物生産に入ってたりするんですよね。春物なんか下手すりゃ店頭にあります。  ですから、月別ブランド別合計予算はもっと前の段階で組んでおく必要があります。でも、まあ至近になればなるほど精度が上がるのも事実ですし、出退店の情報とかもでてきますから、この段階で決めるのはプロパー/マークダウンの比率を考慮した生産量を決めるっていうのが本義です。

アパレル業界で私が知ってること(予算管理篇1):予算は戦略を反映していないとわけがわからなくなる。

 さて、いきなりトップ的な話になっちゃってあれなんですけど、全体の流れの中で予算管理ってのは重要に決まってますから、そろそろ真面目に書いておこうかとか思ってたりします。いや、正直ここは本当に無意味に苦労させられたところでして。いや無意味にっていうと語弊があるな。意味を持たせるように修正するのが大変だったっていうか、実現性の問題っていうか。  端的に言えば、理屈がわかっていないままに予算を組んだら必ず失敗するというか実現性がない予算とか組みがちです。これ、アパレル業界内でもわり

アパレル業界で私が知ってること(生産管理篇):生産管理ってマジで大変すぎる。

 いやー。これな。マジこれ。  NewsPicksで上がっていた記事なんですけど、本当にこういうのが山ほどありまして。  私そのものは生産管理としてダイレクトに仕事をしたことは無いんですけど、商品の入荷数量とか入荷予定とかにダイレクトに響きますからその関係でこういうのはいろいろと聞いていましたので、ちょっと感慨深いといいますか、あるあるだよなーと思いまして。 座波ケニアさん とおっしゃる方がtwitter上で記載していらっしゃるようなのですが、なかなか面白くて面白くて。

アパレル業界で私が知ってること(データ分析篇6):消化率60%だったら40%残していいよね?

 まあ、表題そのままの意味に受け取っちゃうとさすがに問題はあるわけですが。苦笑。まあ、このあたりをこういう感じで都合のいいように解釈する事も重要です。  前回までで、まあ、比較的安全ベースで消化率があげられるってのが見えてきたわけですから、ここからは単純にチャレンジです。というより、チャレンジする枠をつくりたいから手間をかけて既存ベースの消化率が取れるように持っていったってのも半面です。  チャレンジ商品は、実際問題売れるかどうかは未知数です。また、どういう方向性でチャレン

アパレル業で私が思ってる事。3:のその2今後どうすりゃいいだろうかの素案(デザイン的な話)

 前回は、今に至るまでの状況で、  こんな感じになってるんじゃね?  ってところまで書いたとおもうんですけど、じゃあどうしようかって話のうち、比較的真っ当な方法って言うと、  こういう感じで、感度が高いものを(成功するにせよ失敗するにせよ)作ってみる。折角のinstagramとかなのに、正直一般的なアパレルではこういう尖った、インスタ映えとかと縁がありそうな商品が少なすぎるってのも思ってたりします。失敗したらそれまでですが、ここが上手くいけば、  と言う風に、近い感性の

アパレル業で私が思ってる事。3:過去からの流れ的なのをイメージで書いてみる 。その1 。画像の貼り方覚えたのでテスト的な?

 まあグダグダ書いてきているうちに、なんとなくイメージしていた事とかを思い出してきまして。で、思ったわけなんですけど、ファッション業界、特に衣料の場合、いわゆる衣食住的な「衣」の機能は概ね完成に近づいていて、その上の「オシャレ」的な部分で付加価値を稼いでいたってのが現実に近いのかなって思ってたりします。図で書くと、  なんかこういう感じです。縦軸が付加価値っていうか単価的なイメージで、面積みたいなのがブランドの強さっていうか魅力っていうか、まあそういうものになると思います。

アパレル業界で私が知ってること(データ分析篇5):売れる理由や売れない理由が大事だった。

 大きな枠組み的なお話は、まあある程度書いた気がします。書き出したらキリがありませんからそろそろ細かいというかミクロ的というか、まあ単品分析的な話に切り替えていこうかとか思ったりします。  ものすごく当たり前の話なんですけど、POSデータでわかるのは「売れた」「売れなかった」的な話だけです。アイテムバランスとかそういう面では参考にできるんですけど、単品ベースで考えた場合、ぶっちゃけ次の企画にどう生かすとかそういうお話にはならないんです。っていうかしちゃいけないんですよね、本

アパレル業界で私が知ってること 余談。アパレル業界のリストラは割と大きな落とし穴があるよね?

 アパレル業界っていうか、アパレル商社の立て直しっていうのが困難な理由として、わりとみんながはまり込む大きな落とし穴があるからじゃないのかな?ってのを思ってたりします。  いやなんで急にそんな話をし始めたかって言うと、単純にデータ分析の話を進めていく中でそういやこういう事とかがあったなーってのを思い出したからです。枝葉の部分を思い出したら幹のところも思い出した的な感じです。  さて、アパレル商社がリストラに向かうまでの道筋そのものは割と一つしかありません。  端的に言えば売

アパレル業界で私が知ってること(データ分析篇3.5):そういやいろいろ変えてたっけ。

 前回の話を書いていてふと思い出したんですけど、この段階で各店舗発注から本部一括発注、本部一括納品っていう、セントラルコントロール的な事を始めていたりしました。あんまりくどくどと書くのもあれなんであっさり目で書いとこうかと。  まず、それまでの話をしておかないと変わったもなにもわかりませんからそこからスタートですかね。  それまでっていいますか、元々が卸売業的な方法でしたから、店舗別で発注→集計→合計に追加分をプラスして生産量決定、って感じでした。当然なんですが各店舗の発注

アパレル業界で私が知ってること(データ分析篇3):やっぱり52週分析が基本だった。

 まあ、いろいろ予防線的な事を書いてたりしたわけですが、そろそろ実際のところどうなんよ的な話を始めたいなという事で。  実際、分析始めの段階ではかなり手探りだったってのは事実です。参考文献とかがいまいち見当たらなかったってのもありますが、積極的に参考文献を探しにいっていなかったのも確かです。ですので、2000年代前半段階でどれほどの参考文献があったのかって正直わかりません。でも、まあ、そんなにあったとも思えないんですけど。  とは言え、マーケティング分析的な話としての52

アパレル業で私が知ってる事 雑記。オンワードの今を勝手に想像してみる。

 オンワードがどうもZOZOから撤退しようとしているっていうか実質的には撤退したっていうニュースとかが入ってきて、オンワード側ってよりZOZO側が目立っていたのでオンワードの撤退が大きく取り沙汰されてきたわけで、ZOZO側ってどうなるのだろうなー、とか思いつつ、逆に「オンワードって今どうなってんだ?」っていう疑問が生じまして、オンワードホールディングスのホームページを見たりなんかしてたら、丁度1月11日に決算短信と業績下方修正のお知らせが出てまして。  本来、四半期ごとで利

アパレル業界で私が知ってること(データ分析篇2):昨年通りに売れる保証なんてどこにもないよね?

 さて、世の中的にはPOSデータがあるのが当たり前になっていますが、実のところ私のPOSデータへの取り組み方ってあんまり一般的じゃないかもしれないんですよ。このあたりは実はどうなのかはわからないんですけどね。まあ私の取り組み方って、端的に言ってしまえば「POSデータを盲信してはいけない」って考え方からスタートしているってだけなんですけど。  POSデータが参考になるのは事実です。実際に参考にしたからこそ上手くいった事も多くありますし、POSデータが無ければそもそも生まれなかっ

アパレル業界で私が知ってること(データ分析篇1):なんでデータ分析しようと思ったのか

 さて、データ分析とかの話に入る前段階なんですけど、ちょっと話は遡ります。  なんで遡るかっていうと、個人的には、ファッションブランドって表現でしょ?新しいもの出すのにデータ分析ってそもそも必要なの?っていう、なかなか微妙なところでのジレンマがありまして。ここのところをまず書いておかないとデータ分析でできる事できない事、もっと言えばやっちゃいけない事なんかが明確化できないってのがあるんですよ。  このあたり、本当に誤解して欲しくないところなんですけど、ファッションアパレルに

アパレル業界で私が知ってること(システム周り篇3):データは整理しないと使い物にならなかった。苦笑。

 昔いたアパレル会社は昔からPOSが充実してまして、百貨店の全店舗のほぼ80パーセントがPOSデータを送ってくれてたんですけど、ぶっちゃけ死蔵されてまして。  まあ、計数的なMDを行う上でPOSデータほど役に立つものなんてさほどありませんから、当然自由自在に扱う事を考えたわけです。  ってことで、システムに相談に行ったら「担当者がリストラ対象なのでわからん」という、なかなか斜め下の返答。一応データとしてはオープンされていたのですが、Dr.SumというExcelアドインソフト。