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【AMMON TOKYO】野村絵梨個展『垢も身のうち』

この度 AMMON TOKYO では野村絵梨個展『垢も身のうち』を開催しております。水の 1/30 の重さである断熱材、スタイロフォームにカービング技法を用いてミニチュアの 世界を彷彿とさせる彫刻作品を作られています。


大理石とは真逆の軽い素材との出会い

野村さんは、学生時代に石彫を学び、卒業後は平面作品、粘土、さらにスタイロフォームを使った立体造形へと変化していきました。一見するとミニチュアのように見えますが、 実寸大の生活用品をモチーフにしており、実在する物との違いを体験していく楽しさがあります。
野村さんは2019年から1年間ドイツに渡来し、 制作環境の変化によって石彫から離れたことをきっかけに、新しい素材や表現の研究を始めました。帰国後もしばらく絵画や刺繍の作品を作ったあと、やはり彫刻を作りたいと思い、小さな粘土の彫刻を作り始め、その後軽量な素材であるスタイロフォームへと素材が変化していきました。
ホームセンター等の日常と地続きの場所で購入できること、石彫で制作していたカービングの技術を生かせることなどから、この素材を選んでいると言います。

それぞれの作品が"日常あるある"のように展示されています。

作品の形
デフォルメされた物の形は PC で CG ソフトで設計されています。物と物のスケール感を合 わせ、モチーフをデフォルメしています。ラベルなどの文字はフォトショップを使い、ドッ トの表現へと変化しています。制作のきっかけにドローイングとして CG ソフトで設計をし、 デジタル上で構成された空間を見ながら、スタイロフォームの大きな塊を手作業で削ってい きます。青い断熱材が徐々にデフォルメされた物へと変化していく工程はレジデンスに作家がおり、見学することができました。

WADA GAROU TOKYO Lab.2F レジデンス作業中の様子

気軽に美術に触れてもらいたい。そんな作者の意図は作品が放つ可愛らしさ、自然に身近に ありそうな雰囲気に現れています。 作品のシリーズ 「Living』 を制作し始めたきっかけは、 在宅で家にいる時間が増えた時にふと部屋の中にあったミニチュアハウスのおもちゃと、雑然とした自分の部屋を見比べたことだと言います。
同じような形であっても、生活感や人間のいた痕跡がおもちゃに反映されていないことにインスピレーションを得たとのこと。 野村さんの手によってミニチュアの作品が実寸大になった時、まるで自分がミニチュアの世界に引き込まれてしまったかのように、作品の世界観へ浸ることができるのです。

作品を見て細かいことに気付く発見は、今回の展示ならでは。



INFORMATION
野村絵梨 個展『垢も身のうち』
会期: 2023年10月20日(金)–11月25日(土)


■会場:AMMON TOKYO
営業時間:⽉〜⽇ 10:00 - 18:30(休廊⽇:祝)
〒101-0051東京都千代⽥区神⽥神保町2-11-4
メゾン・ド・ヴィレ神⽥神保町1F (神保町さくら通り)
Tel/Fax:03-6261-0018 / Email:info@ammon.co.jp
Website: www.ammon.co.jp

※同時開催会場:WADA GAROU TOKYO Lab. 2/3F
Website:https://www.wadagarou.com/


展覧会メインビジュアル『Living 』シリーズより

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