読書まとめ『戦略は歴史から学べ』→既存戦略の打破の積み重ねが歴史

『戦略は歴史から学べ 3000年が教える勝者の絶対ルール』鈴木 博毅

一言でいうと

既存戦略の打破の積み重ねが歴史

どんな人にオススメしたいか

・組織の戦略を考える立場の人
・歴史の流れをざっくり理解し直したい人
・戦史動画を見るのが好きな人

著者はコンサルタント。戦略史、戦争史、企業史からイノベーションのヒントを探っているとのこと。
古代ギリシャから湾岸戦争まで、各時代の指導者の戦争戦略を分析し、現代の企業戦略と対比して語られている。章立ては時代順になっており、ある勢力が台頭して、それを倒す勢力が現れて、という歴史の流れがわかるようになっている。ネイティブ・アメリカンの戦争やベトナム戦争など、あまり知識がなかったと反省。
歴史上の戦略から学べる、組織の戦略を考える上で重要だと思ったポイントを3つ挙げてみる。

① 強みを活かせる環境を作る

・強みを持っているだけでは勝てない。それをどうやって活かすかが重要。
・ex.戊辰戦争の大村益次郎。最新式の火砲を最大限活用することを念頭に戦術を決める。
・どんな強みでも、破られる時が必ず来る。次の一手を考える。
・人や組織の強みは簡単には変化しないが、変わり続ける努力をする。
・敵の強みを活かせなくしたり、有利な場所で戦うのも有効。
・ex.元寇(弘安の役)。元軍は海戦が苦手なので、上陸させず、船への夜襲などで撃破する。

② トップにしかできないことをすばやく決断

・細かい部分にとらわれず、大局を見る。
・ex.アメリカ南北戦争のリンカーン。トップにしかできない人事、外交、運輸政策、民心掌握を実施。
・部下に時間を与えるか、部下の時間を奪うかは、決断のスピードがカギ。
・特定の手段にこだわらず、目的を達成することを意識する。
・ex.太平洋戦争。射撃精度にこだわる日本、命中しなくても撃墜できるVT信管を開発したアメリカ。

③ 情報を収集・伝達して人を動かす

・現実を直視して情報収集。外界の翻訳者になる。
・ex.遠征の意義を味方に説いた征服者コルテスと、コルテス達侵略者を神々の帰還と誤認したアステカ王モンテスマ。
・ex.トラファルガー海戦での英軍。ネルソン提督が仏軍の弱点、それに対する英軍の作戦を共有し、部下は自律的に判断して行動。
・学習を共有することで、自然増殖が起きる組織にする。
・ex.ベトナム解放戦線の強み。なぜ・誰のために戦うかを伝え、当事者意識を醸成。教育を受けた者が、次の教育をする側になる。

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