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公開ネガティブ・ケイパビリティタイム

さて。今回も前回に続いて、マイブームである「ネガティブケイパビリティ」について書いていきたいと思います!
タイトルにした「公開ネガティブ・ケイパビリティタイム」って何か?というのは最後まで読んで頂ければわかるように書きます笑
(ただの気分なんですが桜の画像をトップにしてみましたー^^)

最近、SNSや配信などでこのワードを出して発信していると、この概念がある意味私の予想通り、社会から今求められているんだな、ということを実感します。
何人もの人から、最近自分が感じていたことに近い!とか、ワードは知らなかったけど、すごく大事なことだと分かったとか、レスポンスをもらってます。とても嬉しい^^
ということで今日も前回の続きで「ネガティブケイパビリティ」についての記事になっております!
そこまで長文にならずに今回は終わりたいな~と思っています。
こちら。前回の記事。まだお読みになっていない方がありましたら、どうぞ。長いんですが、読みにくくはないかな?とは思いますおそらくw

タイトルは「経営者としての・・」とかなんとか書いておりますが、実は書きたかったのは「ネガティブケイパビリティ」についてでした。
さて前回も触れたんですけど、解釈も表現も少し難しいこの概念の定義からまた始めたいと思います。



ネガティブケイパビリティの意味

ネガティブケイパビリティの概念について、前回触れなかった書籍から、少し引用してみます。

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哲学者の谷川嘉浩氏はこの「ネガティヴ・ケイパビリティで生きる」の中では
「物事を宙づりにしたまま抱えておく力」
「謎や不可解な物事、問題に直面したときに、簡単に解決したり、安易に納得したりしない能力」
「説明がすぐにはつけ難い事柄に対峙したとき、即断せずにわからないままに留めながら、それへの関心を放棄せずに咀嚼し続ける力」
「加速する社会が失いがちな能力、個人が何とか自分の業務や生活を回していく上で後回しされがちな能力」

だと言っています。

前回も書きましたが、いわゆるMBAで学ぶようなビジネスフレームワークとか仮説思考、ロジカルシンキングとは対極にあるような概念です。
谷川氏の言葉の中にもあるように、困難に直面した時に、簡単に解決したり、安易に納得したりしない、、、んですから面倒な話です笑

ただ、今はとにかくクイックソリューションの時代でこの問いにはこの答え、この問題にはこの解決法、スマホ1つでそれこそすぐに「安易」かつ「拙速」に道筋が示されてしまう・・・
またそれを無条件に善と信じて疑わない状態になっていることへの疑問が私には以前からありました。
簡単に言えば、本当にその答えが正しいと言えるの?ということです。

学生さんが学校で、ビジネスマンが会社で、研究者が大学で、目立った成果を上げようとしたら、いかに積極的に素早い処理と対処、行動をする。これ以外にないわけですよね。(決して一方的にそれを悪というつもりはない)
それを突き詰めていったらどうなるか。
AIの奴隷になってしまうんじゃないんでしょうか・・・@@@


https://amzn.asia/d/e4VAHmI

この前ご紹介した、「答えを急がない勇気」の中で枝廣淳子さんも、64~66ページにネガティブケイパビリティについて様々な文献や資料からの知見をもとに整理してみた、ということで以下示されています。
ネガティブケイパビリティを育み、発揮するための心構えと、向き合い方、その成果についてです。

<心構え>
・世の中には自分のコントロールの及ばないものがある
・世の中にはわからないこと、不確かなこと、一貫性や整合性のないものもある
・迷ってもよい
・その先には発展的な理解が待っている
・しっかりした自己を持っていうからこそ、謙虚でいられるし、不確かさに耐えられる

<向き合い方>
・曖昧さに苛立たない
・早急な結論・判断や見解に飛びつかない
・自己や思考を閉じずに、拡げ、理解しようとする
・相反する現実を同時に受け止める
・不確かさ、決められないこと、わからないことから生じるプレッシャーに屈しない

<結果>
・創造的なアイデアが生まれるためのスペース
・より深い理解・共感、寛容さ
・対象の本質に深く迫ること


上記、並んだ言葉、私としてはとても刺さります。ネガティブケイパビリティの大切さに気付かずにいた時代を振り返るとまさにこの逆を行っていたなと。

曖昧さをとにかく嫌い、早く答えを出したい。そしてまた次の課題へ。
ポンポンとスマホで見る動画も数十秒で入れ替わっていくように、我々の人生の課題もそんな風にはいこれ、次これ、その次これ、そんな風に回転させて行けるものでしょうか?

人によってはわざわざ立ち止まってモヤモヤしている状態でいることに意味あるの?問題をわざわざ難しくしたいの?なんて思われる方があるかもしれませんが、そうではないんです。
前回のnoteでも書きましたが、ポジティブケイパビリティが必要ないと言っているわけではなくて、それを駆使しつつも、答えがでない課題があって、それについても早急に答えを出さなければと思うことで実は息苦しくしている傾向があるんじゃないの?とか効率よくやろうとすることでクイックになり、物事の本質に迫ることを放棄してしまっているんじゃないの?ということを言いたいわけです。私。

定義についてはこのあたりで。
次は由来。





ジョン・キーツ

イギリスの詩人、ジョン・キーツが由来

実はこの「ネガティブケイパビリティ」という言葉を歴史上一番初めに使っているのはイギリスの詩人、ジョン・キーツなんです。
といいながら私このことを調べるまで知らなかったです。存在を。
18世紀末に生まれてわずか25歳で結核のために亡くなった詩人キーツ。
シェイクスピアか、キーツかと言われる程の美しい詩が残っているということです(私、ほんと知らなかった><)。
こちらwikipedia ↓↓

婚約者との悲恋の物語がこんな風に映画にもなっていて・・。


そのキーツが弟に宛てた手紙の中でネガティブケイパビリティの考え方を書いているんですよね。。。


<以下引用>

ディルクとさまざまな問題について論争ではなく考え合いをした。いくつかのことが、ぼくの心の中でぴったりと適合しあい、すぐに次のことが思い浮かんだ。
それは特に文学において偉大な仕事を達成する人間を形成している特質、シェイクスピアがあれほど膨大に所有していた特質、それが何であるかということだ──僕は、消極的能力(ネガティブ・ケイパビリティ)のことを言っているのだが、つまり人が不確実さとか不可解さとか疑惑の中にあっても、事実や理由を求めていらいらすることが少しもなくていられる状態のことだ。

出典 : ジョン・キーツ『詩人の手紙』


キーツは「偉大な仕事を達成する人間」の持っている特質として、「事実は理由をせっかちに求めず、不確実さや不思議さ、懐疑のなかにいられる能力」と説明してます。
そのお手本はシェイクスピアだったようです。(この辺りは自分も知識が浅いので触れないでおきますが)
ところがキーツがネガティブケイパビリティについて触れたのは上記の手紙だけなんですよ。(今では辞典にも収録されている確立した言葉です)


その後170年経って、今度はイギリスの精神分析医のウィルフレッド・ビオンによってネガティブケイパビリティが改めて見出されて、心理臨床の現場で広まっていたようです。

ウィルフレッド・ビオン

ビオンは精神分析医も、患者との間で起こる現象や言葉に対して、「事実や理由をせっかちに求めずに、不可思議さ、神秘、疑念をそのまま持ち続けること」が必要だと考えたと。(答えを急がない勇気より)


また、私も書籍が好きで数冊読んだことのある臨床心理学者の河合隼雄先生は迷いを持ちこたえる力のことを「葛藤保持力」と呼んでいたとのこと。
悩みや迷いがあるのが問題なのではなくて、問題があるのにちゃんと悩んだり迷ったりしないことが問題なのだと。
「いろいろな葛藤を持ちながら、ぐっと耐えてそれを持ち続ける。それがおとななのだというのがぼくの定義なんです」(河合氏)





恋人岬(柏崎市)


米山大橋(柏崎市)

ネガティブケイパビリティの発揮とは

ここまでくるとですね、ネガティブケイパビリティとは何かということは大体わかったと。
じゃあ次に、それはどうやって実践するの?みたいな話になると思うんです。それについては「答えを急がない勇気」には非常に具体的に様々書いてあります。是非読んで頂きたい。
印象深いのだと松下幸之助氏の「素直な心」の話とか、黒田長政の「腹立てずの異見会」の話が出てきました^^
黒田の異見会の話はあ~そういう解釈で・・と面白く興味深く読みました。

さて、ここでしっかり見てみたいのはですね、枝廣氏が、「共有ビジョンと結論を出さないルールの場」の章で書かれている柏崎市の事例のことなんです。

3・11後、日本のエネルギー政策が転換期を迎えて、柏崎市も原発との向き合い方に関連してこれからのまちづくりをどうしたらよいのか、立場や意見の違いを超えて話し合いの機会が作られたそうです。
それが「明日の柏崎づくり」事業。そのファシリを枝廣氏が依頼され、務めることになられたと・・。

私、新潟県民ですからある程度知っていますが、柏崎には東京電力の原子力発電所があり、東電の社員の人も多いですし、またそれに反対している人もありますし、市民真っ二つに分かれてしまうんですよね。原発の向き合い方の議論となれば感情的な争いになってしまう。

そこで枝廣氏は原発の再稼働の可否を議論するよりも、そのトピックを変えて、「50年後にどのような柏崎市であったらよいと思いますか?」
と問うたと。
いわゆる抽象度を上げたのでしょうね。
するとわかったことは、参加者自身をびっくりさせたと・・。

「50年後のありたい柏崎市の姿」は原発の賛否に関わらず、一致していたんです。それは「子どもや孫たちが、誇りを持って帰ってこられるまちでありたい」ってことでした。
原発推進派も、原発反対派も目指したい目的地は同じ。しかしそこにたどり着くまでの、必要と思う手段が違うだけだった。(ここ重要!!)

その後開かれたシンポジウムでも「結論を出す場ではない」ことを最初に協調して始めたと。お互いに意見をしっかり聴くこと、どの考え方は一緒で、見解が異なるのはどこか、それは何が違うからか、ということを丁寧に見ていく、というプロセスを踏んでいったと。。

「君の意見に賛成はしないが、君がそう考える気持ちはわかる」とお互いに言えるようになるまでは共に重ねる時間が必要。
お互いに葛藤を抱えながら、自分の確固たる意見はもちつつも、結論や判断を急がない。そして自分とは異なる意見も丁寧に聞き、自分の意見も丁寧に伝え、思考停止することなく、異なる見方や考え方に対する共感や寛容度を上げていく・・・

これを枝廣氏は言ってみれば「公開ネガティブ・ケイパビリティ大会」だったのだと書いています。

ざっくばらん、はネガティブケイパビリティなしには実現しない。
「結論を出す場ではない」を強調する。
いずれも納得感ありすぎて、何度も頷いてばかりでした。



結論に飛びつきたい衝動(言い換えれば私が正しい、お前が間違っていると主張することもこれに入ると思います)を押さえて、
自分の意見と他人の意見を一緒に受け容れる。
相手の意見や思いもちゃんと尊重しつつ、自分の意見も丁寧に説明して聞いてもらう。そういうことば可能な「場」を作り、ホールド(維持)することがカギ。
こうした対話の中でこそ、信頼関係が生まれる。
信頼関係があれば、自分とは異なる意見でも、即否定じゃなくて、自分の中にひとまずホールドできる。(同意することではなく)

あれ??? ちょっと待て。
これって、ネガティブケイパビリティというワードを知る前から、自分が会社の中でテーマにして取り組んできたことに他ならない・・・
って思いました笑

チームや組織の中には多くの複雑な問題がありますよね。どこの会社でも。
急ぐのはわかります。そして回答をすぐ欲しいという思いも十分分かります。
でも「とりあえずの解決策」に飛びついてしまうと、それこそより大きな問題や激震があった場合に、その衝撃にしなやかに耐えて立ち直ったり、継続して立ち続ける力は持ち合わせていないのでは???

それこそネガティブケイパビリティの強度によって、その組織の強靭さが測れるのではないでしょうか。

目の前の問題や解決策に飛びつくのではなく、思考停止のポジショントークに陥るのでもなく、「唯一の正解」を求めて互いに戦うのでもありません。
多様な人々の意見に互いに耳を傾け、「少しでも質の高い解決策が生まれる」可能性をもつ「場」を形成し、維持する。そんなプロセス自体が、先に進んでいくために必須の信頼関係を築いていきます。
(答えを急がない勇気引用)

まさにこれ。ほんとこれ。
なぜ私が「対話」「対話」と言ってきたかというとこれですわ。



公開ネガティブ・ケイパビリティタイム実践

これ、何のことかというと、結論を出さない対話の場をあえて設けるっていう意味です。そんな時間。
ネガティブケイパビリティタイム。笑

企業活動、あるいはチームで協働で何かに取り組む。
確かに、ポジティブケイパビリティ重視、クイックソリューションでどんどん課題解決していく人、スキル、必要かもしれません。
ただそれだけでは本当に解決困難な課題が発生した時に、その組織、チームはもろくも崩れ去ってしまう。
たとえ激震が起きても、そこをしなやかに生きていけるか。
それは繰り返しになりますがネガティブケイパビリティの強度によるんだろうと・・。
だから、ネガティブケイパビリティを発揮する場として、「対話」を重視していこうと。そうした対話から、個人と組織の可能性が開けるんだと。
それが言いたいってことなんです。笑
ここまで来るのに5600字くらいかかった><
もっとこの概念を自分の中でよく味わって理解して腹に落とし込んでこれからの自身の人生とか、組織活動に活かしていきたいなって本当に思いますね。
まだ今日は個人のネガティブケイパビリティをどう上げていくかという話はしていないから、またいつかこのnoteで触れられたらなあと。

さて最後にここまで読んで頂いた方にお知らせ。
この3月10日、なんと朝6時に私がアドバイザーを仰せつかっております、介護系のYouTubelive配信において、今日のネガティブケイパビリティをおかずに私入れて4名で対話をする予定です!
朝6時からですから、まさに変態変人の集まりなんですけどね笑
関心のある方は是非リアルタイムで視聴しに来て頂きたい^^

ただ、こちらはlive配信終わった後もそのままアーカイブとして残りますので、後からでもクリックして頂いて、YouTubeを観てもらえると嬉しいな~~と思います!!!(別にこの宣伝でこんだけ長い文章書いたわけではございません。。笑)
是非観てみてくださいませ☆

このブログに書いた内容を中心にお話するとは思います^^
お楽しみに☆


あとそうそう、色々とご案内があってすみません。
実は今、介護事業所の職員間のコミュニケーションについてのアンケートをお願いしています^^
私の方でこの調査を基に研修やこうした投稿でデータとして活かしたいと思っているものです。もし協力してもいいよという方がいらしたら是非!
まずは下のリンクをクリックしてみて下さいませ☆

https://forms.gle/usRiscaCJYYd5Pn99
(介護業界の方いらしたら是非お願いします!)


さてさてこんな感じで週1回はnoteを更新している私ですが、他のSNSもやっていますので是非繋がって下さいませ☆
Xのアカウント、いつものようにこちらにも貼っておきます!
ではでは^^



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