Reiko Asakura

お題の“バルゼレッタ”とは伊語で【笑い話】と言う意味です。私がオリーブオイルのオルチョ…

Reiko Asakura

お題の“バルゼレッタ”とは伊語で【笑い話】と言う意味です。私がオリーブオイルのオルチョと出会うまで、そして出会って今にいたるまでの泣き笑いの物語を2004年からHPに書いていました。今回バックナンバーをこちらに転載します。http://www.orcio.jp/

マガジン

  • バルゼレッタ barzelletta

    お題の“バルゼレッタ”とは伊語で【笑い話】と言う意味。2004年からHPで連載した話をまとめている進行形のマガジン

最近の記事

バルゼレッタ barzelletta vol.35

人生の転機 ナポリ湾沿いの農家民宿での生活もだんだん慣れてきた 滞在が長くなるとともに、 冬が近づき寒さが増すとともに、私の心も隙間風が。。。 日本に残してきた懸案事項はまだ片付いていない、 ずるずるとイタリア滞在している私。 初めはうじうじ、 別居中にイタリアには来たはいいが、 イタリア(フィレンツェ)の生活に馴染めない、 日本は恋しい、 イタリア語もわからない、 都会(フィレンツェ)の生活も合わない、 しかし南イタリアに移動してから すっかりリセットされた自分

    • バルゼレッタ barzelletta vol.34

      イタリアのオトコ オリーブオイルへの疑問、頭に電球が灯ってしばらくして とある日。 民宿には定休日はもちろんないが 雇われ人は週休一日、 私はお客さんが全くない日で何もない時には休みをもらった。 その日私は一人で街に遊びに行ったのだが 行きはフランコに車で街まで送ってもらったのだが、 帰りは数日前の豪雨でがけ崩れが起き バスが出ていないことにバス停に行って初めて気づいた。 民宿のフランコに電話しようとも思ったが、 どういうわけかその時は行ける所まで歩いてみようと

      • バルゼレッタ barzelletta vol.33

        オリーブオイル屋への道 ナポリ近郊の農家民宿での生活が始まった。 ナポリ料理とはどんなものか? 全く想像できないまま滞在先でだんだんと知ることとなる。 海に近く魚介類が豊富、そしてナポリ界隈はトマト生産量が多いので トマト中心に味付けをする料理。 あっさり、というイメージを勝手に妄想していたが少し違っていた。 今だから言えるのだが、その家庭家庭によって オリーブオイルの使い方がまちまちだ。 驚くほどの量のオリーブオイルを料理に使うイタリア(地中海沿岸全ての地域も)

        • バルゼレッタ barzelletta vol.32

          シチリアからナポリへ! 時も過ぎ。。。。 美味しいシチリア滞在、 そろそろおいとましなければならなくなった。。。。。 勝手気ままな行き当たりばったり、食の修業も あと残り数か月しかないし、 もう一つ料理修業したい地がある。 やはり最後はナポリでしょ! 農家民宿にあった民宿ガイドを見漁り 次の滞在先は意外に早く見つかった。 電話をかけまくり、 一軒、ナポリ近郊のこれもまたオリーブ農家の民宿を みつけ、働かせてもらう約束ができた! 今回は自力で自分の力で見つけること

        バルゼレッタ barzelletta vol.35

        マガジン

        • バルゼレッタ barzelletta
          29本

        記事

          バルゼレッタ barzelletta vol.31

          はじめての食材 アンジェラは毎食の料理に 違う献立、という約束をちゃんと守り、 あれやこれやといろいろな料理を作ってくれた。 つくる時は材料の調達からほぼ一緒に、 メルカートに行ったり、漁師の営む魚屋だったり、 時には農園の周りの自生のハーブを摘むところからだったり、 料理は必ず工程をきちんと説明してくれた。 雨が数日降り続いた後の晴れ間のある日 散歩しようとバケツを持たされ ぬれた中、何で散歩?と不思議だったが 庭に出ると エンツォがバケツ片手に何か探して歩いて

          バルゼレッタ barzelletta vol.31

          バルゼレッタ barzelletta vol.30

          シチリアの不信 シチリア島の最南端シャッカという町の農家民宿。 この農家ももちろん有機栽培のオリーブ農家だ。 どんな料理にもふんだんに 自家製オリーブオイルをたっぷり使うのは当たり前。 ココの前に滞在していた プーリア州の農家民宿・ニーナさんちでもびっくりしたが 料理に使うオリーブオイルの量は半端ではない。 なべ底にたっぷり、 または材料直にた~っぷりかける。 それはたぶん、私以外の日本人がみても ぎょっとする量だ。 この農家民宿の奥さんアンジェラも同じく。 私

          バルゼレッタ barzelletta vol.30

          バルゼレッタ barzelletta vol.29

          シチリア料理 郊外にある新しい滞在先の農家民宿に無事 着いてホッと一息。 しかし、私は一体どこに来たんだろう、 初めは位置が全くわからなかった。 しかも予想通り 夕食が終わると夫婦は街の家に帰り、 私だけ一人、ぽつんとその民宿に取り残されるのには閉口した。 玄関の外にある頑丈そうな鉄格子は牢屋のよう。 鍵を閉めて夫婦が車で去って行った後は それはそれは恐かった。 初日の夜はあまりに恐くて初めての夕食がなんだったも 思い出せない。 少しずつ慣れてはいっ

          バルゼレッタ barzelletta vol.29

          バルゼレッタ barzelletta vol.28

          シチリアのはじまり 長い電車とバスを乗り継いで さらに内陸に向かい車で数十分。 やっと目的地の農家民宿に着いた。 車から降りると アンジェラはちょっと待ってと 家には入らず、 「こっちにいらっしゃい」と促され、 隣といってもずいぶん離れたお隣さんの家に連れて行かれた。 おじいさんとおばあさんが2人だけで住んでいる風で、 テーブルに置いてあるものや調度品から そのつつましい暮らしぶりがうかがえた。 私を除いたシチリア人4名は 世間話で盛り上がっているが

          バルゼレッタ barzelletta vol.28

          バルゼレッタ barzelletta vol.27

          シチリアの人 目的地シチリア島の南のはずれ シャッカという名の街の中心部にようやくついた。 バス停そばで迎えを待っていると すぐ農家民宿の夫婦が現れた。 日本人は珍しいんだろう。 「すぐわかったわ」と 奥さんのアンジェラ。 夫のエンツォともども、2人とも独特な顔つきだ。 肌の色が茶褐色。 目の色もイタリア本島の人とまったく違う。 茶色の目に茶褐色の肌。 アラブ系なのかとぼんやりと思いながら しかし人懐っこいアンジェラが車に乗ると 私に矢継ぎ早に質問

          バルゼレッタ barzelletta vol.27

          バルゼレッタ barzelletta vol.26

          アフリカの風と埃 シニョーラにどのように言ったか全く覚えていない。 それはこの農家民宿を出て シチリア島に行くということを。 10月も終わりの頃だったと思う。 しかし 出発の日のことだけはよく覚えてる。 そしてついにその日はやってきた。 目が覚めるとすぐは理解できなかったが 数分もすると ああ、今日は出発の日なんだ。 ここを発つ日だ! シニョーラと共に寝た部屋の天井を見ながら一瞬ぼんやりとそのように思い、 すぐ、飛び起きた! だって、今日は長旅!

          バルゼレッタ barzelletta vol.26

          バルゼレッタ barzelletta vol.25

          プーリアの終焉 民宿の周りもすっかり秋の深まったある日。 シニョーラは私にきのこを取りに行こうという。 二人で5分もかからない裏庭にいくと 茶色の見たことのないキノコがわっさわっさと生えていた。 日本のなめこの二回り大きく丈の長い。 見るからにおいしそうなキノコだった。 夏ふんだんにあったトマトやズッキーニはすっかり終わり 食材も秋深しモードのプーリア。 そのとったキノコは二人で丁寧に処理をして パスタソースに変身。 天然のキノコというのもあり、それはそれは濃厚

          バルゼレッタ barzelletta vol.25

          バルゼレッタ barzelletta vol.24

          長い長~い一日 おいしかったフォカッチャの余韻に浸りながら車で帰宅。 すぐ昼ごはんを食べ早速ワインの仕込みが始まる。 ワインってどうやってつくるんだろう? 見た事も聞いたことも無いので全く見当がつかない。 木の桶にブドウを入れて足で踏みつぶすのか? そんなわけないよね。 息子ドメニコと使用人のアルバニア人(名前が思い出せない。どうしても、思い出せない) ともう一人近所のおばさんジョバンナ、もちろん私も頭数に入って4名で仕込みが始まる。 え?私も? そうだ君もだ

          バルゼレッタ barzelletta vol.24

          バルゼレッタ barzelletta vol.23

          ~ 長い一日 ~ 滞在しはじめて数日後家族だけでの昼ごはんでのことだった。 シニョーラもドメニコモ、 アルバニア人の使用人も、皆せわしなく働いており、殺気立っている。 なぜ? 変だ! 何がなんだかわからず、皆があ~だこ~だと話す内容もイマイチ。 イタリア語もまだまだの頃であった。 皆が眉間にしわを寄せながら話す中、 次男ドメニコがぱっと表情を変えて笑顔で私に 「レイコ、明日はブドウの収穫だよ!君ももちろん手伝ってくれるだろう!?」 「え?」 「ブドウって」

          バルゼレッタ barzelletta vol.23

          バルゼレッタ barzelletta vol.22

          イタリア家庭料理 ~オリーブへの道~ 翌日気持ちのいい朝を迎え3階から下の台所に行くと もう朝食の準備が始まっていた。 シニョーラは大きな巨大エスプレッソポットでコーヒーを沸かしている。 ん~~いい香り。 濃厚なエスプレッソは朝に飲むカプチーノやカフェラッテには必須だ。 牛乳を鍋に入れて温めて、とシニョーラに言われ パックを見てみるとロングライフミルクとありぎょっとする。 この辺りは牛よりも羊の酪農が主なので フレッシュ牛乳が貴重品。気候風土上、仕方ないか、と後

          バルゼレッタ barzelletta vol.22

          バルゼレッタ barzelletta vol.21

          「植物に導かれて」 - 幸運のはじまり - ひと通り出された料理に舌鼓を打ちながらも 先ほどの厨房でのシニョーラの料理を思い出してみる。 本当に信じられない事だが あれだけの量のオリーブオイルを使って料理したにもかかわらず なぜこんなにもあっさりと油臭さもなくスープにオイル分が浮くこともなく、 素材の味がそのまま そして尚且つ、旨みが引き出ているんだろう。 素材がひとつにマッチし調和している。 テーブルには自家製だという赤ワインも並び、それがものすごい強烈な味

          バルゼレッタ barzelletta vol.21

          バルゼレッタ barzelletta vol.20

          「植物に導かれて」 - カルチャーショック - 晴れて料理修行先(と言っても有料の)が決まりご馳走になったうさぎの煮込みの昼食も大満足。 夕ご飯の支度までしばらくあるので部屋で休ませてもらう事になった。 この日はお客としてゲストルームをあてがわれる。素朴だがなかなか素敵な部屋だ。 農家民宿といっても3階建てのお屋敷なのだ。 そのゲストルームは最上階の一番いいお部屋。出窓を開けると一面に畑が広がっている。 ここプーリア州のカステラーナという街は 山のないまっさらな平

          バルゼレッタ barzelletta vol.20