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あたしは可愛くなんてない。

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「その感情が愛でも、憎しみでも、悔しさでも。あたしの、あなたへの感情は誰とも違うのだから」…… 1話5000字ほどの読み切り形式で送る、女性同士の感情シリーズ。
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2019年9月の記事一覧

『あたかわ』プチ 「あたし」から「ぼく」へ

『あたかわ』プチ 「あたし」から「ぼく」へ

 あたかわ最終話に向けてぼちぼち考えつつも、新作のネタをぼんやりと。

 大体が以前の流用だったりするのですが、その「以前ってどこから?」っていうと実は15年前までさかのぼります。

(これはもう二度と書けないし書きたくないと思った)

(やっぱりこれも二度と書けないし書きたくないと思った)

 あまりに古いとpixivに載せてたりとかしてたので、昔の小説はほとんど残っていません。

 ノベルゲー

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恋じゃなくても、僕らはきっと(2)

恋じゃなくても、僕らはきっと(2)

 胸の膨らんだ自分のことなんて、絶対受け入れられないと思っていた。
 なのにどうしてだろう。
 藍里ちゃん……どうしてだろうね……?
 僕、本当はこれを望んでいたのかな……?

 聖は本当に意地悪だ。
 このインラン、と言い放ち、上に乗っかる僕をくすぐる。
 そういう彼は今、僕を抱いてくれているのだ。
「や、やめ……っ!? おっぱい触んな、それズルい!」
 僕は彼に抱かれて、いやらしくて細い声を我

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恋じゃなくても、僕らはきっと(1)

恋じゃなくても、僕らはきっと(1)

 そこそこ前の話だが、僕はかなり無理な形で診断書をもらった。
 女に戻りたい奴だとでもしないと、治療もなかなかやりづらいだろうという判断だった。
 分かっているよ、これは諦めであり裏切りだ。
 両親も友達も、僕はてっきり女性になるものだと思っている。
 大晦日のあの舞台に立った、あの美しい声をした歌い手みたいに。
 彼女は「あたる」という読みの名前をした人だったけど、僕からすれば似て非なる世界の人

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どうせ死ぬのに

どうせ死ぬのに

 飄々(ひょうひょう)としているという言い方があるらしいが、彼女はまさにそうだ。
 どうして、私とキスしようなんてことを言うんだろう。

 弓琉(ゆみる)……本名はちゃんと別にあるのだが、彼女はよく分からない。
 女子校にいる女子高生で、私の先輩で、十七歳。
 背が大きいのだが、それ以上に胸がヤバイ。
 一緒にゲームセンターに遊びに行くと、いつも『conflict』っていう曲のフルコンボを狙っては

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恋を知らないあなたでも

恋を知らないあなたでも

 私は、姉と血が繋がっていない。
 そんな風に見えないように努力して、ネガティブな自分を吐き出さないようにしている。
 それが、役者でありアイドルである私の仕事だから。
 アイドルユニット、「Lシス」ことLively Sisters(ライブリー・シスターズ)のオファーは、まさしく本領発揮する場を獲得できたというわけだ。
 でも、それを姉は快く思っていない。
 彼女は正直者で、生真面目なのにどこか頭

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