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【本に寄せて】老後に楽しみをとっておくバカ(和田秀樹・青春出版社)

タイトルは、ちょっと過激に「バカ」がついている。
しかし内容は至極まっとうだった。

ほおっておくと脳は老化してしまう。
老後に楽しみをとっておいても、老化した脳では何もできない。
だから脳の老化を遅らせる習慣を身につけよう。

こういう主旨だと思う。

ほおっておくと脳は老化する。
思い当たることは多々ある。

たとえば私は趣味でピアノを弾く。
小学生から20代半ばまで習い続けていた。
仕事や子育てでしばらく中断したが、30代後半から現在までまたレッスンを受けている。

これだけの期間、「弾くこと」を続けているのに、ピアノを弾くという作業の中で「己の老い」を感じてしまうことがある。

とくに顕著なのが新しい曲の譜読みをするとき。

譜読みとは、新しく弾く曲の楽譜を見て、すらすら間違いなく音が出せるようになるところまでの作業をいう。
音楽的に美しく弾くための作業は含まない。

若い頃は、自分に見合うレベルの曲であれば、事前に楽譜を眺めたりしなくても、いきなり楽譜を見ながら弾き始めて、だいたい弾けていた。
最近はいきなりサクッと弾けるのは、簡単な曲に限られるようになってきたのだ。

要するに譜読みをするのに時間がかかる。
一瞬で譜面を読む力が衰えた。

それでも、ピアノを弾き続けていて、新曲を定期的に譜読みする機会があるからこの程度で済むんだと思う。
まとまった期間、譜読みすることをやめていれば、さらに力は衰えるだろうと予想できる。

もし老後の楽しみにピアノを…と考える人がいるなら、今すぐ始めるようお勧めしたい。
よく言われるように、「このあとの自分の人生で一番若いのは今」だからだ。
譜読みの力がもっとも強いのも、今だ。

そういうとこれまでピアノを習ったことがなかった人は絶望的になってしまうかもしれない。
これまでに訓練してないから今さら無理!と思いたくもなるだろう。

ところが案外そうでもないと思う。

私自身、「新曲の譜読み」を頻繁に続けていると、譜読みの力が向上するのを感じるからだ。
訓練次第でこの能力は上がる。

さて、本の内容を少し。
本では「脱・常識」「脱・洗脳」ということが提唱されている。

常識にとらわれるな。
常識という洗脳を解け。

そして「老後に楽しみをとっておくバカ」というタイトルである。

私は納得した。

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