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ごっこ遊びの人気役

ウサギ仙人(ウ仙)から子育てについて伝授してもらっていた亀子であったが、

亀子「最近うちの子がごっこ遊びをよくしているんですが・・・」

ウ仙「3歳くらいになると、○○ごっこをよくするようになるからのぅ」

亀子「『鬼滅の刃』の煉獄さんの真似をしたりするんですが、将来乱暴な大人にならないんでしょうか?」

ウ仙「心配することはない。とくに男の子は、昔からヒーローごっこをしようとする傾向がある。女の子だと、ままごとが始まるのも3歳くらいなんじゃよ」

人気はペット役

亀子「最近、ままごとの人気がペット役だと聞いたんですが、本当ですか?」

ウ仙「それは事実じゃな。わしが講演の仕事に行った幼稚園でも、子どもたちの大半が犬や猫になり切っていたんじゃ。わしはてっきり『動物になりきる』遊びをしているのかと思ったら、それがままごとじゃと園長先生が教えてくれたんじゃよ」

亀子「なんでペット役が人気なんですか?」

セリフを考えるのが面倒くさい

ウ仙「セリフを考えるのが、面倒くさいからじゃよ。ちなみに2番目に人気なのは、赤ちゃん役」

亀子「『ホギャーホギャー』と泣いていれば、すみますものね」

ウ仙「わしは昔、青年会議所で対談をしたことがあってな。対談の相手は『サザエさん』のマスオ役声優の増岡弘さんという方だったんじゃ」

亀子「ジャムおじさんの声優もされていた方ですよね」

ウ仙「そうじゃ。増岡さんと控室でしゃべっておったら、『サザエさんの声優の中で一番楽なのはタマの声優。ニャーンしかセリフパターンがないから』と仰っておられた」

亀子「タマがしゃべったら、びっくりですね」

ウ仙「続けて『2番目に楽な声優は、イクラちゃんの声優。「バブー」と「はーい」と「ちゃーん」の3種類しかセリフパターンがないから』と仰っておられた」

亀子「今の子どもたちの『ままごと人気』にそっくりですね」

屁理屈には長けている子どもたち

ウ仙「あるとき、幼稚園の園長先生が我慢できなくなって、子どもたちのままごとに介入したそうなんじゃよ」

亀子「介入?」

ウ仙「『クレヨンしんちゃん』のネネちゃんみたいな仕切り屋の女の子を呼んで、『あなたがお母さん役をやって、お父さん役とか子ども役とか決めたらどう?』と提案したらしい」

亀子「どうなったんですか?」

ウ仙「その子がお母さん役になって、ままごとらしいままごとが始まったんじゃよ」

亀子「よかったじゃないですか」

ウ仙「ところが園長先生に電話がかかってきて、いったん職員室に行くことになってしまい、またままごとの現場に戻ってきたら、子どもたち全員が犬か猫の役に変わっていたそうなんじゃよ」

亀子「どうしてですか?」

ウ仙「仕切り屋の女の子に『お母さんはどうしたの?』って訊ねたら、その子は『お母さんは病気で死んじゃったの』と答えたそうなんじゃ」

亀子「脚本家ですね」

ウ仙「園長先生は『最近の子どもたちは屁理屈ばかりで困ります』って嘆いたおったぞよ」

ごっこ遊びは自立の第一歩

亀子「ごっこ遊びにしても、ままごとにしても子どもたちがそういう遊びをすることは問題ないんですか?」

ウ仙「もちろんじゃよ。ごっこ遊びをするということは、自立の一歩を踏み出したということじゃ。大人の真似事をして、大人になりたいという気持ちの現れじゃからのぅ。見守るのがよかろう」

亀子「そういうことなんですね」

こうして亀子のレベルが上がった。
『ごっこ遊び』と『ままごと』の術を覚えた。(つづく)


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