クリスマスなんかクソ喰らえ
その彼が、私が最後に恋人としてクリスマスを一緒に過ごした男だった。
クリスマスにどこかの大きなイルミネーションを一緒に見に行った。彼の笑顔は可愛かったが、私はクソ寒かったことしか覚えていない。こんな大量の電球をこんな大勢で見て何が楽しいねん・・・と、心も体も冷め切っていた。
まもなく今年もクリスマスがやってくる。この時期になると病む人が増えるのは、クリスマスという煌びやかな恋人たちのイベントが原因の一つだということは容易に想像がつく。
それだけじゃなく、年末年始やバレンタインデーといった大きなイベントまで待ち構えている。
私は毎年この時期になると「クリスマスもバレンタインも、ただの経済効果を高めるための商業的な戦略でしかない」と言う発信をする。
日本のクリスマスにおける経済効果はなんと約7,000億円になる。キリスト教徒が多い欧米がクリスマスを祝うのはわかるが、宗教も関係ない上に恋人同士のイベントとされていることは欧米人からみても滑稽にうつっている。
そんな事実をわかっていても、一人でいることに劣等感や孤独を感じてしまう人は少なくない。ここメキシコでも、先日ある男友達が私にメッセージをしてきた。
「クリスマスは何か予定ある?」
その子とは、私の住むホテル兼賃貸に泊まりにきていて、そこで知り合いご飯に行った。その次の日は彼の誕生日だったようで、一人でTulumというとても有名なリゾート地の美術館とビーチに行くという。よかったら一緒にどう?と誘われた。
まだ知り合ったばかりで誕生日はヘビーだなと思ったが、私も今一番行ってみたい場所だったことあり、いい奴で常識のある人間なので一緒に行くことにした。紆余曲折あり、大変なこともあったけどいい思い出が出来た。大切な日を一緒に過ごさせてもらったことを感謝している。
が、クリスマスとなると話は別だ。私自身はもう何年もひとりで過ごしてきたし、クリスマス自体にあまり関心がない。今年は家のオーナーが外国人の私に気を使ってくれたのか、ディナーパーティに誘ってくれたので一人ではないが、誰と過ごそうが私は気にしない。
ただ、相手がそうじゃなかったら話は違ってくる。
「24日はディナーパーティに誘われているけど、なんで?」
と返事をした。既読になり1日経っても返信がないのでムカついて、「質問してきて無視すんじゃねーよ」と半ば強めに返した。笑
すると意外にも、「自分はクリスマス一人だから、あなたが予定がなければ一緒に何かしたかったけど...予定あるんだね...」という内容が返ってきた。文面から全力で拗ねているのが伝わってくる。
私はびっくりした。日本と同じように、メキシコでもクリスマスで一人で過ごすことに孤独を感じる人がいるのかと。
しかも彼はクリスチャンではなく、キューバに多いサンテリアという宗教を信仰している。かなり厳格で、食べ物にも厳しくタバコなども一切吸わず、プレイボーイの多いラテン男性だが彼は恋愛関係にも厳しい。そこまでまじめに信仰をしているのを知っていたので余計にびっくりした。
「あんたはクリスチャンじゃないでしょ。なんで気にするの?」
すると、笑いながら「私はクリスチャンじゃないが、パーティを楽しむのにクリスチャンである必要はない」と返ってきた。
まあ、それも一理あると思ったが、クリスマスは別にパーティではない。しかもこの子はさほどお酒も飲まないし、クラブにも行かなければ、タバコもマリファナ(メキシコは合法)もしないので、パーティを好むタイプではないのを私は知っている。なにせ誕生日に一人でリゾート地に行こうとする男だ。パーティがしたいわけじゃないのは明らかだった。
孤独を埋めたい。みんなが華やかに楽しんでいる日に自分だけ一人でいたくない。日本と同じ問題を抱えていることを手にとるようにわかった。
「私と一緒に過ごしたい」という理由ならまだしも、彼の孤独を埋めるためだけに一緒に過ごすのは色々と気が引けるので断った。孤独は、誰かで埋めることはできない。
その孤独はクリスマスが原因でも、みんなが楽しんでいる日に一人で過ごさなくてはいけないからでもない。「寂しい」と思うのは、自分と対話ができないからだ。
その寂しさを利用するのが今の社会であり、クリスマスという商業ビジネスだということを多くの人が理解していない。孤独になって自己と対話できない人は、どんどんバカになり、搾取され、社会(クリスマス然り)に振り回される人間になっていく。
2日前、元彼からフォローをされた。相変わらず可愛らしい私のタイプの顔をしていたが、なんだかまさに社会に振り回されてますねというような投稿をしていて、すこし苦い気持ちになった。正直言うと、私はフォローされるその日まで彼の名前も付き合っていたことも忘れていた。
なにせ1ヶ月で別れたので付き合っていたと言えるかどうかもグレーだ。付き合ったことも忘れてしまっているのだから、なぜ別れたかもわからない。きっとその時は私も寂しかったのだと思う。
そしてその彼が、私が最後に恋人としてクリスマスを一緒に過ごした男だった。
クリスマスにどこかの大きなイルミネーションを一緒に見に行った。
彼の笑顔は可愛かったが、私はクソ寒かったことしか覚えていない。こんな大量の電球をこんな大勢で見て何が楽しいねん・・・と、心も体も冷め切っていた。まさにクソみたいなクリスマスだ。相手が楽しませようとしているのに、楽しんであげられない自分はもっとクソだった。
一人でいるより、誰かと一緒にて楽しいはずの時間が楽しめないのはよっぽど惨めで寂しい。それでもクリスマスを億劫に感じる人は、「クリスマスなんかクソ喰らえ!」と心の中で唱えるといい。
一人で家にいるのが一番です。
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