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花見のブルーシートを嫌悪する

どんな宴会もほぼ苦手なのだが、特に花見が嫌なのは、地面を埋め尽くすブルーシートが不快だからだ。
シートの色が、花の美しさを殺いでいる気がするから。

世に、これ以外のレジャーシートだってあると思う。
地面の土や草の色になじむ色合いとか、自然の雰囲気を損ねないもの。

でも、ほとんどの人はブルーシートだ。
私のイメージでは、これは地震や台風で壊れた屋根や壁の部分を補うためとかのものである。
工事中や修復中などで、そばを通る人に「ここは危険ですよ」と注意を促すために鮮やかな青色にしてある。
あるいは、災害などで避難したり、理不尽に住まいを失った人がやむなく使う。
救援のヘリコプターに「SOS」を知らせるための目立つ色。

周囲の風景にわざとなじまないようにしているのだと思う。
花の下に、こういう色を使う感覚が私にはわからない。

そうして。
ブルーシートは、父の撒き散らす排泄物から、借家の床を守るためのものでもある。
ウンコがついてもしょうがないというもの。

場所取りというのがまた嫌だ。
最低限譲って、場所を取るなら人がいろよ、と思う。
そうして、宴会以外でそこを通って花を見る人に「ごめんなさいね」と胸の中で手を合わせる。
人が集っていれば、その人たちの衣服のとりどりの色合いで、シートは見えにくくなる。

それがどうだ。
工事用みたいなシートに自転車で重しをして人は立ち去る。
私には、これはゴミにしか見えない。

美しい桜の下に廃棄されたゴミ。
無許可は違法なのだろうけれど、もしゴミの回収で身を立てている人がいたら、これは持ち帰っていいと思っている。
というか、どうか誰か回収してくれ。

梅はほころび始めがいいが、桜は散り際がいい。
風に飛ばされ、雨に叩かれ、土にまみれる花びらも私は好きだ。
踏まれても朽ちても、私はその美しさを愛おしむ。

それゆえ、いっそうブルーシートを嫌悪する。

「西行のように逝きたしと思う 毎の春」



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