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LBOモデル作成ステップ|Path to Modeling Test|Step5

【本講義で使用したモデル:末尾に付属】
今回は今までのLBOモデル作成ステップ講義の最終章になる。駆け足ではあったが、最後にKey statsの作成とリターンの分析である。

これまでの演習でPLのプロジェクションの作成と、Pro-forma BSの作成、BS項目およびdebt scheduleの作成を行い財務3表を回すことまでは出来ている。
後は、LBOモデルを回した結果として利益率、純資産、経常利益、主要指標 (Debt to EBITDA, Net debt to EBITDA等)を計算し、投資対象の会社がLBOをした結果、コベナンツにヒットしない程度に財務安全性があるかどうかを確認するとともに、所望のリターンが得られる投資であるかどうかをモデル内に置いて検証することになる。


Key stats: PL関連

利益率はプロジェクションを作成する際に要になる要素であるが、ケース別に色々と変数をいじった結果、主要な利益率(主にGross margin, EBIT margin, EBITDA margin)が対象会社の過去の実績から比較して現実的なものになっているか(急に非連続な増加になっていないか)、そもそも達成可能な水準か、という事を一覧して分かるようにするためにモデル内で Key statistics といった形でサマリーを作成することが多い(以下イメージ)

利益率サマリー

製造業の場合は売上高から変動費を控除した限界利益も重要な指標なので、モデル内において計算することができれば示しておきたい。

利益率以外にも製造業であれば主要な費目(人件費、研究開発費、広告宣伝費等)に関しては対売上高比率の推移を投資実行前と買収後でリニアに推移しているかを見ることは重要である。特に人件費の推移は買収後の経営陣の入れ替え、リストラ等を踏まえてどのように変化するか、結果的に利益率にどのようにはねてくるのかということを確認できるようにしておきたい。

Key stats: BS・CFSに関する項目

Key statsはPLのみならず、BSやCF項目に関しても作成する。モデルで参照されるべき主な指標の例は以下のようなものが考えられる。

FCF conversion
EBITDA – Capex
(全てのCapexのみならずmaintenance capexのみ引く場合もある)
DSCR
(1.2以上が望ましい)
純資産の推移
(コベナンツの純資産維持条項、前期比75%以上等)
Debt to EBITIDA, Net debt to EBITDA
(Senior debt to EBITDA, (Senior debt + revolver) / EBITDAでブレークダウンすることもある)
Debt / capitalization
D/E ratio

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